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「犬王」に柄本佑・津田健次郎・松重豊、ヴェネチア国際映画祭で湯浅政明が作品語る

劇場アニメ「犬王」の第2弾キャストが発表された。足利義満役を柄本佑、犬王の父役を津田健次郎、友魚の父役を松重豊が担当。「古い面」の声を現役能楽師として活躍する片山九郎右衛門、谷本健吾、坂口貴信、川口晃平が務め、足利家の従者や公家をはじめとしたキャラクターを石田剛太、中川晴樹、本多力、酒井善史、土佐和成ら劇団・ヨーロッパ企画のメンバーが演じる。

湯浅政明が監督、松本大洋がキャラクター原案、野木亜紀子が脚本を手がけるミュージカルアニメ「犬王」。古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を原作に、室町時代に活躍した実在の能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚の友情が描かれる。柄本演じる義満は犬王や友魚の運命を翻弄する室町幕府第3代将軍。津田演じる犬王の父は究極の美を求める猿楽の一座の棟梁で、松重演じる友魚の父は友魚とともに平家の呪いにかかり、現世を彷徨う亡霊だ。柄本、津田の2人からはコメントが到着している。

またイタリアで開催中の第78回ヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ・コンペティション部門に選出された「犬王」がワールドプレミアを迎え、湯浅監督が登壇。上映後にはQ&Aに応じた。

湯浅監督は「今日はこの映画を観に来てくださってありがとうございます。このふたりのような若者がかつていたことを知ってもらうために作品を作りました」と挨拶。そして「当時は生まれたときに生まれた場所で、その人の運命が決まってしまう時代でした。その中で上に行くには武士として身を立てるか、芸術家になるかしかありませんでした。犬王はとても明るい性格で、まったく諦めずに自分の夢を実現しようとしているところに感銘を受けました。犬王も友魚も自分のやりたいことを実現させようとした。そんな姿を見ると、自分も周りに左右されず自分の生きたいように生きたいと、勇気づけられます」と話した。

続いて松本の原案から犬王の外見を作ったことについて語り、作中で使われたロック・オペラの制作過程についてもコメント。音楽を手がけた大友良英との作業について「現代的なロックをイメージしたのですが、それを琵琶の音を使ってやるというところで大友さんはとても苦労されたと思います。先に絵がほしいと言われ、ストーリーボードとムービーを用意して送りました。そして音楽が出来上がり、歌入れのときには(犬王役の)アヴちゃんに歌詞をまとめてもらい、(友魚役の)森山未來さんへ歌唱提案もあり、大友さんのコーラスが追加され、現在のような形の歌になりました」と明かす。音楽については「昔の音楽から始まり、犬王が踊っているうちにそれが徐々に変わり、ダンスも『雨に唄えば』のようなものがあったり、いろいろなものが混ざっていきます。それに伴ってキャストの二人も70年代や80年代のロックミュージシャンのイメージを入れて歌ってくれてると思います」と述べた。

さらに湯浅監督が犬王と友魚の友情について触れる一幕も。「誰かの理解者になってあげたい、誰か理解者がいた方がいい、そういう気持ちが込められています」「どうか犬王と友魚の名前を覚えて帰ってください」と言うと、客席からは満場の拍手が起こった。「犬王」は2022年初夏に全国公開される。

柄本佑(足利義満役)コメント

高校時代松本大洋先生の漫画には大変にハマっていました。まさか先生の画に自分の声を吹き込む日が来ようとは。
光栄でした。

津田健次郎(犬王の父役)コメント

能楽がアニメになる…しかも湯浅監督で!一体どんな作品になるのか?予想もつかない期待感のあるこの作品に参加出来る事がとても光栄です。アフレコの際に見た映像は、能楽がポップにエンターテイメントしてました。とても興味深い作品になっています。是非ご覧下さい!

「犬王」

2022年初夏全国公開

原作:古川日出男「平家物語 犬王の巻」(河出書房新社刊)
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
総作画監督:亀田祥倫、中野悟史
キャラクター設計:伊東伸高
監督補佐:山代風我
作画監督:榎本柊斗、前場健次、松竹徳幸、向田隆、福島敦子、名倉靖博、針金屋英郎、増田敏彦、伊東伸高
美術監督:中村豪希
色彩設計:小針裕子
撮影監督:関谷能弘
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音響効果:中野勝博
録音:今泉武
音響制作:東北新社
歴史監修:佐多芳彦
能楽監修:宮本圭造
能楽実演監修:亀井広忠
琵琶監修:後藤幸浩
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース

キャスト

アヴちゃん(女王蜂)、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊、片山九郎右衛門、谷本健吾、坂口貴信、川口晃平、石田剛太、中川晴樹、本多力、酒井善史、土佐和成