「サイコト」イシグロキョウヘイが市川染五郎と杉咲花に収録中の“もらい事故”詫びる
劇場アニメ「サイダーのように言葉が湧き上がる」の初日舞台挨拶が本日7月22日に東京・新宿ピカデリーで行われ、チェリー役の市川染五郎(8代目)、スマイル役の杉咲花、監督を務めたイシグロキョウヘイが登壇した。
当初2020年5月15日に初日を予定していたものの、新型コロナウイルスの流行により公開延期となっていた「サイダーのように言葉が湧き上がる」。1年越しに初日を迎えた心境を問われると、染五郎は「なんとかこの日を迎えられて、率直にうれしいという気持ちでいっぱいです」と延べ、杉咲も「いつお客様のもとに届くのだろうかという思いがあったんですが、ようやくこの日を無事に迎えられて、この映画にぴったりな夏に公開されることがうれしいです」と答える。イシグロ監督は公開が本日になったことを「怪我の功名」とし、「今日は夏休みの初日ですし、作品の舞台にそぐうような形でこの日を迎えられたことを僕はポジティブに捉えています」と述懐した。
アフレコの感想を問われた染五郎は、俳句の達人である老人・フジヤマを演じた山寺宏一について言及。「山寺さんはトムという猫の声も担当されていて。自分はアフレコまで山寺さんが(トムの声を)おやりになることを知らなかったので、間近で見ていろんな声をお持ちなんだと感動しました」と語る。新型コロナウイルス流行拡大前にアフレコが行われ、最大25人で収録されたことから、杉咲は「まとめて声録りをする環境に参加させていただくのは初めての経験でした。自分のセリフがあるタイミングで抜き足差し足でマイクの前に移動して、終わったらまたマイクから離れて、という普段声優の皆さんがやられている姿を近くで拝見することができて、プロフェッショナルな姿勢に感動しましたし、皆さんとご一緒できて本当に貴重な経験となりました」と話した。
イシグロ監督は「監督って普段はマイクがあるアフレコブースにはいかないんです。でも僕としては直接のディレクションで演技が引き出せるならそうしたほうがいいと思っていて、この作品では僕がディレクションさせていただいているんです」と説明。続けて「本当は音が漏れないところにいるはずの僕がアフレコブースにいるので、お芝居が終わった瞬間に僕が『今のすげえよかったっすよ!』と言ってしまって、音が拾われてリテイクになる、ということが多発してしまい(笑)。2人はもらい事故が多かったと思うので、申し訳なかったです」と2人に詫びた。
「劇中で好きなシーンは?」という質問に、染五郎はクライマックスを挙げ、「チェリーがんばれ!と思いながら見られます。チェリーが感情をさらけ出すシーンなので、演じている自分も気持ちが一番高まりました。タイトル通りサイダーのようにスカッとする場面ですね」と答える。杉咲は「スマイルがチェリーの声を可愛いと思うと言うシーンが好きです。相手の『素敵だな』と思うところを素直に伝えられるスマイルが素敵ですし、そんなふうに褒められることってチェリー自身もあまり経験してこなかったからこそ、2人の関係に希望が持てる印象的なシーンでした」と笑顔を見せた。
同じ質問を受け、イシグロ監督はチェリーとスマイルのそれぞれ印象的な場面を解説していく。チェリーについては染五郎と同じくクライマックスのシーンと答えたイシグロ監督は、「(アフレコの)当時は染五郎くんが14歳で声変わりの終わりかけぐらいの時期だったんです。その時期の男の子に、がなりに近い声を出させるのは喉を痛めてしまうのでかなりリスキーで、それを説明したうえでも3回回したんです。全部全力でやっていただいて、最後のテイクを使っているんですけど、気持ちが乗っていて素晴らしいシーンになりました」と染五郎を賞賛する。スマイルについては「割れたレコードを直す長尺のカットがあるんですが、あそこはスマイルにはセリフがないんです。一生懸命直しているときのリアクションや自分の不甲斐なさに打ちひしがれて泣いてしまうという一連を、声のみで絵に寄り添ってお芝居されているのを見て、感動しました。ちなみに一発OKです」と紹介した。
イベントでは3人が“サイダー樽”を割って初日を祝う場面も。樽が割れた瞬間、ステージ老脇から勢いよく紙吹雪が飛び出し、染五郎と杉咲が驚きながらも笑う様子が見られた。
劇場アニメ「サイダーのように言葉が湧き上がる」
2021年7月22日(木・祝)全国ロードショー
スタッフ
原作:フライングドッグ
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン・総作画監督:愛敬由紀子
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:シグナル・エムディ×サブリメイション
配給:松竹
製作:サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会
キャスト
市川染五郎、杉咲花、潘めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ、神谷浩史、坂本真綾、山寺宏一
(c)2020フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会