こうの史代が“福知山城のある風景”を執筆、市内で複製画の展示やポストカード配布

こうの史代「麒麟のいる街」(提供:京都府福知山市)

こうの史代が福知山城のイラスト「麒麟のいる街」を描き下ろした。

これは明智光秀が築いた福知山城を、2016年より京都府福知山市内に在住のこうのが執筆したもの。光秀の名前にちなみ、“みつひデー”である本日3月21日に福知山城の公式サイトなどにて公開された。イラストは「福知山城のある風景」というテーマで、福知山市が2020年末にこうのに執筆を依頼。原画のサイズはA3で、福知山城と城下町、さらに道路標識など福知山市に実際にある風景や物を精緻に写し取りながら、平和な世に現れる聖獣・麒麟に乗って飛来する明智光秀と妻の熙子、風に舞う明智家家紋の桔梗の花びらや、個性豊かな鳥たちが描かれた。

こうのは「福知山のスターは、明智光秀と酒呑童子。いずれも悪役です。体面よりも、こうと決めたらやり抜く我慢強さ、また、物事にはいつも別の視点があり、周りではなく自分のものさしで 判断することの尊さを、福知山の人は教えてくれます。わたしも、そんなふうに世界を見つめてゆきたいと思います」とコメント。福知山城の公式サイトではこうのによる直筆のコメントが掲載されている。また福知山市では、市外の在住者を対象とした「いがいと!福知山ファンクラブ会員証」の申し込み受付を開始。会員証には今回のイラスト「麒麟のいる街」がデザインされている。また3月21日からは京都・福知山城天守閣、3月23日からは京都・福知山市立図書館中央館にて「麒麟のいる街」の複製画、こうの直筆メッセージ入りの複製原稿を展示。福知山城天守閣では「いがいと!福知山ファンクラブ」会員に、福知山市立図書館中央館では来場者に「麒麟のいる街」ポストカードが数量限定で配布される。そのほか福知山市立図書館中央館ではこうのの著作や関連本30点、こうのが協賛する雑誌が並ぶ。

こうの史代コメント

福知山のこと
――― こうの史代
重なる山影、歴史ある街並み、深い霧、澄んだ川。瀬戸内に育ったわたしは、福知山で珍しいものにいくつも 出逢いました。
なかでも面白いのは、人々の気質です。
お国柄には、その地ゆかりの偉人が大きく影響するように感じます。子どもの頃から親しむうちに、知らず 知らず人生のお手本にするのでしょう。福知山のスターは、明智光秀と酒呑童子。いずれも悪役です。体面よ りも、こうと決めたらやり抜く我慢強さ、また、物事にはいつも別の視点があり、周りではなく自分のものさしで 判断することの尊さを、福知山の人は教えてくれます。
わたしも、そんなふうに世界を見つめてゆきたいと思います。(二〇二一年一月)