劔樹人原作による映画「あの頃。」の公開直前イベントが本日2月3日に東京・スペースFS汐留で行われ、劔とキャストの松坂桃李、仲野太賀、ロッチのコカドケンタロウが登壇した。
2月19日に全国公開される映画「あの頃。」は、ハロー!プロジェクトへの熱い愛と、大切な仲間たちとの出会いと別れを描いた劔の自伝的エッセイマンガ「あの頃。 男子かしまし物語」を原作とした物語。あややこと松浦亜弥「▽桃色片想い▽」(▽はハートマーク)のミュージックビデオをきっかけにハロプロにのめり込んでいく主人公・劔役を松坂、ミキティこと藤本美貴のファンであるコズミン役を仲野、ハロプロ全般を推すイトウ役をコカドがそれぞれ演じた。
劔は劇中で松坂が着用した、劔の私物である赤いジャケットを着て登壇。そんな劔は撮影現場にもたびたび足を運んでいたと言い、松坂は「劔さんがスタッフさんと談笑している姿やおひとりで現場を見守っている佇まいとか、ちょっとした日常のニュアンスを垣間見ることができたのがよかった」と芝居の参考になったことを明かしながら、「こんなに来てくださるんだ!とうれしい反面、緊張もありました」と述懐する。劔は「現場でカメラテストをしているときに、松坂さんのピントがぼやけたときに、『あっ、昔の僕こんなだった!』と思った瞬間があって。これをみんなに話すと『何言ってんだ!』と言われるんですけど(笑)、本当に思ったんですよ!」と興奮気味に語りつつも、「完成した映像を観ても、僕をいろいろ見ていてくださったんだなというのがわかりました」と松坂へ感謝した。
また劇中にも登場する、劔が組んだバンド「恋愛研究会。」のメンバーが撮影現場を訪問した際のエピソードも飛び出し、「現場に来られたときの存在感がすごかった」「本物来ました!って感じでした」と思い返す松坂と仲野。コカドは「(若葉竜也が演じた)西野さんとか普通に控室に座ってて。みんな『ああ……!』って挨拶して。そのあともなぜかそこから動かなかったんですよ」と、それまでキャスト陣の控室だったはずの部屋に撮影後も西野が座っていたことを明かし、「『お疲れ様です』って戻ってきたら、パソコン開いて仕事し出して! 何あれ!? そんな状況でそこにいられるっておかしいでしょ!」と会場の笑いを誘い、劔は「僕の体が熱くなって来ました(笑)」と苦笑した。
イベントの中盤には、劔が松坂への手紙を読み上げる場面も。緊張に手を震わせながらも、自身にとってかけがえのない思い出である“あの頃”を振り返りつつ「愛しき記憶がほかの誰かにとっても愛しい疑似体験となり、私の死後も残っていくことになるわけですから、こんなに素敵なことはありません」「松坂さんが私という人間に内面から向き合って、よいところも悪いところも大切に演じてくださった。きっとそれが松坂さんの人との関わり方なんだろうと思います。ありがとうございます」と感謝の気持ちを述べ、松坂は「このパーテーションがなければ握手かハグをしたいくらいうれしい気持ち。改めて劔さんと出会えてよかったと心から思います」と返した。さらに劔は自身が描いた松坂、仲野、コカドの似顔絵をそれぞれにプレゼント。3人は「うれしい!」「似てる!」「帰ったら家に飾ります」と喜びを口にした。
その後、「ロマンティック 浮かれモード」のイントロが会場に流れると、サプライズでモーニング娘。OGの藤本が登場。藤本は、コズミンを演じた仲野が「本物だー!!」と大興奮し「役に戻ってしまい汗が止まらない」と動揺する様子に笑いながらも、「私たちステージに立っていた側は知らなかったんですが、ファンの方たちがあんなに熱く人生をかけて応援してくださっていたんだなと知って感動しました」と映画の感想を語った。また藤本を前に感激した様子の劔は、「コズミンは当時、藤本さんを見ると手足がしびれるって言ってたんですよ(笑)。天国のコズミンも喜んでいると思います」とうれしそうな顔を見せた。
イベントの最後には、改めて松坂が観客に対して挨拶。「ハロー!プロジェクトに限らず、誰にとっても“あの頃”はあるはず。皆さんがそれぞれ大事にしていた友達、恋人など、いろいろな方と共有していた“あのとき”というものがあると思いますが、それが一番だったということではなく、それがあるからこそ『今っていいよね』『これからきっといいことがあるかもな』と思える、心の中に風を通してくれるような温かい作品です。ぜひともよろしくお願いいたします!」とメッセージを寄せた。
(c)2020『あの頃。』製作委員会