映画「アゲ太郎」撮影現場で、北村匠海「カリカリのロース入りまーす!」とアドリブ
イーピャオ、小山ゆうじろう原作による実写映画「とんかつDJアゲ太郎」の撮影が、2019年10月に東京・フジテレビ湾岸スタジオで行われた。コミックナタリーでは撮影現場の模様をレポートする。
「とんかつDJアゲ太郎」は2014年から2017年まで少年ジャンプ+で連載された青春ギャグマンガ。渋谷のとんかつ屋・しぶかつの3代目跡取りであるアゲ太郎こと勝又揚太郎がDJに目覚め、とんかつもフロアもアゲられる一人前の男を目指す成長譚が描かれる。実写映画の監督・脚本は「チワワちゃん」の二宮健が担当。主人公・アゲ太郎役を北村匠海、アゲ太郎が憧れるヒロイン・服部苑子役を山本舞香、アゲ太郎の父・揚作役をブラザートムが演じる。
当日のスタジオにはしぶかつ店内のセットが設置され、揚作の揚げ場には本物のフライヤーを使用。セット裏では調理スタッフがとんかつを80枚ほど揚げ続けるなど、本物のとんかつ屋さながらの雰囲気が漂うなか、北村、ブラザートムらが現場に臨んだ。この日はYouTubeのDJ動画がバズったおかげで満席となった店で、ハイテンションのアゲ太郎が客にとんかつを給仕するシーンの撮影。北村は二宮監督からハイテンションな演技を要求され、声高な役作りで応じる。店の客を盛り上げるシーンでは「カリカリのロース入りまーす!」とアドリブを披露しながら、何度か撮り直す場面も見受けられた。また役作りのためキャベツの千切りを毎日練習したという北村。この日の現場でも特訓の成果を発揮していた。撮影時にはブラザートムへのインタビューも行われ、原作の魅力について聞かれると「絵の面白さです。コアですよね、原作の絵が。僕も好きですし、息子たちも気に入っていました」と、小山の画風が琴線に触れた様子。「好き嫌いがあると思いますが、いい作品だと思います」と称えた。
撮影後の囲み取材には二宮監督、北村が出席。オファー時の印象について、原作は未読だったという二宮監督は「小原一隆プロデューサーから初めてタイトルを聞いたときは『何これ、新手の詐欺かな』と思いました(笑)。でも話を聞いてマンガを読むとチャーミングで面白くて。2本続けて撮った「チワワちゃん」と「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY-リミット・オブ・スリーピング ビューティ」が近しい感じの作品だったので、新しいことができるかもしれないというワクワク感がありました」と述べた。北村は「とんかつDJアゲ太郎」に関して、自身の周囲では知られた作品だったと言い、「アゲ太郎ってエネルギッシュですよね。前にしか進まなくて、すごくキラキラ輝いていて。そういう少年役を今まであまり演じたことがなかったので(笑)、話を頂いたときは『僕!?』って驚きました。千切りの練習もしたり、本当にチャレンジングな日々を過ごしています」と語った。
次にコメディの難しさに対する質問が飛ぶ。単独初主演となる北村は「めちゃくちゃ難しいです(笑)。1度三代目道玄坂ブラザーズのみんなでご飯に行ったんですよ。そこで『(良い意味で)考えてやるもんじゃない!』『感覚で行こうぜ』って意気投合して。試しながらやっていますが、朝起きると不安な感情が生まれるので、それを1回トイレに流してから現場に向かうという感じですね(笑)」と正直な心境を吐露。一方、過去自主製作でコメディ作品を手がけてきた二宮監督も、商業映画では初挑戦となる。映画化することに対し「この映画は僕らが面白いと思うものをてんこ盛りにすることもできたと思うけど、そうはしたくないというのがあって。現場で面白いと感じるものが必ずしも面白いわけじゃないですし。目の前のことに真剣に反応していった結果、自然と面白い仕上がりになっていたらいいなと思います。僕も本当に面白いのか自問する日々なので、1度トイレに流してから現場に来ています(笑)」と思いを明かした。
「とんかつDJアゲ太郎」は10月30日に全国ロードショー。北村、山本、ブラザートムのほか、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉らが出演する。主題歌はブルーノ・マーズのアルバム「ドゥー・ワップス&フーリガンズ」に収録されている「ラナウェイ・ベイビー」が選ばれた。
映画「とんかつDJアゲ太郎」
2020年10月30日(金)公開
原作:イーピャオ・小山ゆうじろう「とんかつDJアゲ太郎」(少年ジャンプ+ / 集英社)
監督・脚本:二宮健
脚本協力:喜安浩平
出演:北村匠海、山本舞香、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉、池間夏海、片岡礼子、ブラザートム、伊勢谷友介
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会