「弱虫ペダル」舞台挨拶、三木監督からの手紙に永瀬廉「改めて監督の愛を感じました」
渡辺航原作による実写映画「弱虫ペダル」が、昨日8月14日に全国公開。これを記念した舞台挨拶が、本日8月15日に東京・丸の内ピカデリーで行われた。
舞台挨拶には小野田坂道役の永瀬廉(King & Prince)、今泉俊輔役の伊藤健太郎、寒咲幹役の橋本環奈、鳴子章吉役の坂東龍汰、巻島裕介役の柳俊太郎、田所迅役の菅原健、杉元照文役の井上瑞稀(HiHi Jets / ジャニーズJr.)、監督の三木康一郎が登場。全国130館の映画館でライブビューイングが行われる中、初めて観客を入れた形での舞台挨拶がスタートした。
2月初旬にクランクインし順調に撮影を続けていたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言を受けて中断。宣言解除後の6月に入ってから、細心の注意を払いながら撮影を再開させ、8月上旬に無事完成を迎えた。映画の公開を迎え、永瀬は「撮影中は撮り切れるか心配でしたが、無事初日を迎えられて、皆さんのもとに届けられたこと、本当にうれしい気持ちでいっぱいです」と心境を吐露した。
作品にちなみ「あまりの感動に思わず泣いてしまった」「ぐっときた最近のエピソード」について問われると、永瀬は「試写会をKing & Prineのメンバーと一緒に観たのですが、そのときメンバーが『2時間飽きずに観れた』『泣きそうになった』とか言ってくれたことがすごくうれしかった」と明かしながらも、「(高橋)海人は『3回ぐらいは泣いた』って言ってくれましたけど、普段からよく泣くタイプなんで、うれしくはなかったです(笑)」と続け観客の笑いを誘う。また伊藤が「車で信号待ちをしているとき、目の前の横断歩道をゆっくり渡っているおばあちゃんがいたんですが、後ろからおじいちゃんが来て、手を繋いで引っ張っていくご夫婦の姿に微笑ましくて心が温かくなって、感動しました」と語ると、すかさず永瀬からは「作り話じゃないよね!?」とツッコミが。伊藤は「ちょっと前の本当の話」と笑顔で返す。
続く坂東が「自分が出演した番宣番組を柳さんと見たくて連絡したら、家でしゃぶしゃぶを作って待っててくれて」とうれしそうに語ると、柳は「お前のために作ったわけじゃない! 元々しゃぶしゃぶが食べたくて自分のために用意してたんだよ!」反論。負けじと「まず電話で何食べたい?って聞いてくれて、家に行ったら、しゃぶしゃぶ作ってくれてたよ!」と言い返す坂東に、会場からは笑いが起きた。
最近涙腺が弱くなっているという橋本は「小さいときから卒業式とか行事で泣かないタイプだと思っていたんですけど、最近『はじめてのおつかい』とか見て泣くようになって」と告白。「今年の初めに甥っ子が産まれたのもあって、精一杯ハイハイしている姿にも感動してウルっとしちゃいますね」と明かすと、柳も「俺も一緒。姪っ子がかわいくてグッとくる。姪っ子の動画を見て日々成長していく姿がかわいい」とうれしそうな表情を見せる。また井上が「僕は皆さんより年下だったので、緊張して不安でしたが、坂東くんや柳さんが気さくに声をかけてくれたことに愛を感じました。おかげで現場で馴染むことができました」と感謝の気持ちを伝えると、坂東も「一緒にホテルでカラオケをしたとき、スピッツの『チェリー』を歌ったの楽しかったよね」と撮影現場の思い出を振り返った。
さらに主演の永瀬に対し、三木監督から感謝の気持ちを綴ったサプライズの手紙が贈られる場面も。「この『弱虫ペダル』という作品は、永瀬廉でなければ完成しなかったと思います。あなたが自らの行動と情熱で皆を引っ張っていったから完成したと、今、心から思っています。伊藤健太郎の存在も大きかったでしょうか、彼と競い合い、共に目標に向かう姿はこの作品の成功を感じさせました」という監督の言葉に、永瀬は「最近ぐっと来たエピソードこれにします。5行ぐらいで終わると思ったら、すごくたくさんのメッセージが詰まっていて、改めて監督の愛を感じました」と目に涙を潤ませながら監督への感謝を語った。
最後に、永瀬は「最近暗いニュースが多い中ですが、この作品は皆さんに笑顔を与えられるような作品になってます。そして、新しいチャレンジをしようと思っている人、新しい自分を見つけたいと思っている人の背中を押すような映画になっていると思います。これからも『弱虫ペダル』という作品を温かく見守り、愛して頂けたらうれしいです」と語り、イベントを締めくくった。
三木康一郎監督の手紙全文
手紙を書いてくれなんて言われて、何書いていいかよくわからないけど、まあ、思ったことを、つらつらしたためてみます。
初めてあなたと会った寒かったあの日、僕が言った言葉を覚えていますか?「この作品は誰のものでもない、あなたの作品です。参加すると言う発想は捨てて、映画を作る責任を背負ってほしい」そんな感じのことを言ったと思います。若干21歳、映画に出演するのはこれで2回目、演技の経験も少ない、ましてや、自転車という特殊な環境で芝居をしなきゃいけないあなたに、とんでもない要求をしたと思います。普通なら、自分のことに集中してください、となるのですが、僕はあなたに作品全体のことを考え、役者やスタッフを引っ張っていって欲しいと要求したのです。
この「弱虫ペダル」と言う作品は、永瀬廉でなければ完成しなかったと思います。あなたが自らの行動と情熱で皆を引っ張っていったから完成したと、今、心から思っています。伊藤健太郎の存在も大きかったでしょうか、彼と競い合い、共に目標に向かう姿はこの作品の成功を感じさせました。
今回のあなたの姿や総北メンバーを見て、つくづくお芝居とは、テクニックではなく、「想い」なんだと痛感しました。どれだけ本気か、どれだけ努力したか、どれだけ真摯に向きあったか、そしてどれだけその作品を愛しているか、その「想い」は、上手い下手を超えて必ず見ている人の心を動かす。今回、あなたの弱虫ペダルに賭けた「想い」は、しっかり映画の中に映し出されていると思います。
そしてそれは必ずや見ている人の心を打つことになるでしょう。
あなたと共に駆け抜けた10カ月、苦労もありましたがとても楽しかったです。僕自身、自転車を撮影するという新しい挑戦で、たくさんのプレッシャーに押しつぶされそうなこともありました。しかし、あなたの真っ直ぐ未来を見据える瞳に、何度も助けられました。できる!やろう!その声に励まされました。本当に、本当にありがとう。
最後に今後、たくさんの映画やドラマに出演されると思います。今回のその情熱があれば必ず成し遂げられると思います。
真摯に取り組む姿勢、努力、作品を愛する心。それを忘れないで、さらに大きな舞台に羽ばたいていってください。
※柳俊太郎の柳は木へんに夘が正式表記。
※高橋海人の高は、はしごだかが正式表記。
(c)2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 (c)渡辺航(秋田書店)2008