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秋本治と高橋陽一が「男はつらいよ」の魅力熱弁、自作と寅さんのコラボイラストも

秋本治と高橋陽一が、本日11月21日に東京・MOVIX亀有にて行われた映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」記念先行上映会での座談会に参加した。

座談会には「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督と青木克徳葛飾区長も登壇。第1作公開から2019年で50周年を迎え、シリーズ50作目として公開される「男はつらいよ お帰り 寅さん」や、葛飾という土地について、山田監督は「(『男はつらいよ』)の映画を1本作るために、何度も葛飾を訪れて、それが(49作目までで)49本分になるわけなので、大変な回数亀有に足を運んでいます。僕は満州育ちだから故郷なんてあってないようなものですけど葛飾、特に柴又は故郷と同じだと思うようになりました。そこで50年かけて50本の映画を作れてよかったなと思っています」と挨拶する。

同作のファンで映画が製作される以前のTVシリーズから同作を観続けているという秋本は、「今日はあまり(自分だけ)しゃべりすぎないようにしないと」と笑いながらも、「旅行が好きなんですが、自分では行く時間がないので、寅さんが(劇中で)旅行に行くのを観るのが好きなんです。(作品を観返す際には)ストーリーは全部知っているから、今度は背景を観ようと蒸気機関車を中心に観たりして。聞いた話だと、映画で使われるってことで(蒸気機関車の運行会社の人が)機関車をピカピカに磨いてキレイにしちゃったらしいんですよね(笑)。(普段使われているものなので)ピカピカだとおかしいんですけど」と、映画の裏話を挙げるなど話が止まらない様子。山田監督も秋本が挙げた蒸気機関車のエピソードを思い返し、「そうそう。ピカピカのSLじゃ困るのに(笑)」と懐かしんだ。

葛飾区四つ木出身の高橋は「『葛飾ってどんなところ?』って聞かれると、『寅さんに出てくるところ』って説明するのが常でした。(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載がスタートしてからは)『両さんがいるところ』と答えて。そんな作品を作った両巨塔とこの場にいれることが幸せです」とコメント。さらに高橋は「男はつらいよ」の魅力は寅さんのキャラクターだとし、「正義と悪ということだけじゃなくて、男の生き様を感じることがある。そこが魅力的だし、寅さんを見習って葛飾の人間として生きている」と語った。

本日観客とともに、「男はつらいよ お帰り 寅さん」を初めて鑑賞するという秋本と高橋。秋本は「寅さんファンはもちろん日本中にいますけど、こと葛飾区に関しては近所の応援団みたいな感じで、新作について日本国内で特にいろいろと想像していると思うんです。僕もいろいろと新作について想像したりはしたんですが、山田監督がどう作るのかが楽しみなので余計な情報を一切入れないようにしていました」と明かす。高橋も「寅さんには必ず江戸川の土手のシーンが出てきますけど、僕は葛飾の川沿いの土手がすごく好きなので、新しい映画でもそういう素晴らしい絵がまた観れると思うと楽しみです」と期待に胸を膨らませた。

最後に秋本、高橋が描き下ろした「男はつらいよ」と自作のコラボイラストを、山田監督に贈呈。寅さんと「こち亀」の両さんが柴又駅を歩く様子を描いた秋本は「映画に柴又駅が毎回登場するんですね。寅さんっていうとこの駅前でのさくらとの別れっていうのが僕には印象深いんです」と説明する。高橋は「キャプテン翼」の翼と寅さんが2人でボールを追う様子を描き、「先ほども言ったように葛飾の土手が好きなんです。東京でありながらビル群に囲まれているわけでもなく、開けていて気持ちが晴れ晴れするのは葛飾の魅力の1つだと思うので、その様子を描きました」と述べた。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」は新撮映像と4Kデジタル修復された過去作の映像を組み合わせて構成。12月27日より全国で公開される。