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キャラの濃い作家登壇で沸いた次にくるマンガ大賞、担当編集も「若手芸人のよう」

「次にくるマンガ大賞 2019」の受賞作発表会が、本日8月22日に開催された。

「次にくるマンガ大賞」は、これからのブレイクが予想される作品を発掘し紹介するという趣旨で、ダ・ヴィンチ(KADOKAWA)とniconicoが創設した賞。既刊5巻以内の作品を対象とした「コミックス部門」、Webをメイン媒体として連載中のオリジナル作品を対象とする「Webマンガ部門」の2枠が用意されており、一般ユーザーからの投票で大賞を決定する。5回目となる今年は、4222作品がエントリーした。

発表会では司会をフリーアナウンサーの中倉隆道、声優の浅野真澄が担当。コメンテーターとしてマンガDX(少年画報社)の大野正拓編集長、TSUTAYA書店員の栗俣力也氏、ダ・ヴィンチのコミック担当・有田奈央氏が参加した。また発表会の模様は、会場で一般公開されたほか、ニコニコ生放送でも配信。各部門の上位3作品は作家や担当編集者が登壇し、視聴者に向けて作品をプレゼンした。

今年はWebマンガ部門の1位を遠藤達哉「SPY×FAMILY」が獲得。2位には島順太「村井の恋」、3位には島袋全優「腸よ鼻よ」が続いた。またコミックス部門では、日向夏原作、ねこクラゲ作画、七緒一綺構成による「薬屋のひとりごと」が1位に。2位には藤本タツキ「チェンソーマン」、3位にはいそふらぼん肘樹「神クズ☆アイドル」がランクインしている。また特別賞・U-NEXT賞はコミックス部門で馬場康誌「ライドンキング」、Webマンガ部門で殆ど死んでいる「異世界おじさん」が受賞している。

Webマンガ部門3位を受賞した「腸よ鼻よ」では、作者の島袋が派手なメイクで登場。トップバッターながら、会場に訪れた観客や視聴者コメントを大いに賑わせる。島袋は「こんなにたくさんの人に応援していただけて、私は幸せ者だなと思いました」と、メイクに似合わず真面目な発言をしていたが、途中からすすり泣くような声を出し、最後には「編集長、原稿料あげてください」と結んだ。担当編集者はGANMA!のオフィシャルショップで販売されている「腸よ鼻よ」のTシャツを着てお目見え。「闘病モノだけど笑える」「老若男女に支持される」「休載の理由が9割緊急入院」と作品をアピールしていくが、その横で島袋が顔芸をするなど大暴れ。担当編集も「本日も若手芸人のように体を張ってくださっています」「ギャグマンガとして読んでも、お腹を抱えて笑える内容です」と作品の楽しさを伝えた。

Webマンガ部門2位「村井の恋」の島からは、「皆様からの【次にくるマンガ大賞webマンガ部門2位】という思いもよらない贈り物を大切にし、このご恩に報えるよう、粉骨砕身に努めてまいります」とコメントが到着。担当編集者は「皆さん、二次元の推しキャラがこの世に現れて、『結婚したい』と自分に求愛してくれたらどうするでしょうか」と語りかけながら、「“推し”のいるオタク共感必至!!!」「恋愛漫画だけど戦ってる」などと見どころを話した。

Webマンガ部門1位に輝いた「SPY×FAMILY」の遠藤は、「身に余る賞を頂いたこと、ただただ驚愕しております」「これを励みに、より良い作品をお届けできるよう頑張りたいと思います」と喜びをコメント。プレゼンに立った担当編集者は、「アーニャが可愛い…!」と書かれたパネルを掲げながら、「1つ目のPRポイントを何にしようかと思ったんですが、アーニャがひたすら可愛くて……。2つ目も3つ目も『アーニャが可愛い…!』でいいんじゃないかな」と切り出す。また「先の展開を知っている担当編集の僕も、ネームをもらうたびに『早く続きを描いてください!』と言ってしまうくらいの面白さ」と話し、「ワクワク要素 奇跡のバランスで全部盛り!!!!!」と魅力を熱弁した。視聴者からのコメントには「有能」「敏腕」と編集者を称えるメッセージも流れた。

コミックス部門3位「神クズ☆アイドル」が発表されると、会場から「わあっ」という歓声が上がる。いそふらぼん肘樹は「私は、何かをひたむきに応援する人・される人の心の強さ、楽しさ、美しさが何より大好きです。そんな応援を取り巻く方々を応援できたらなあ~と思いつつ作品を描いておりましたが、逆にみなさんの温かい応援に支えられてこの賞を頂けたことを、何より誇りに思います!」とコメント。担当編集者は8月28日発売の月刊コミックZERO-SUM10月号(一迅社)で作品の第二部がスタートすることをまず伝え、「元気がでる!」「絵がカワイイ!」「楽しそうなファン」と作品のポイントを解説していく。コメンテーターの栗俣氏は「2巻の最後ですごい感動しちゃって。今、思い出してまた泣きそうなんですけど、実はすごく感動させる作品でもあるんです」と涙をこらえながら話した。

コミックス部門2位「チェンソーマン」の藤本は、「2位より1位がよかったです!2位でも嬉しいですが!でも1位がよかったです!」と悔しさをにじませたコメント。担当編集者は作品の魅力として、1つ目に「斬新な漫画演出表現」を挙げ、「第1話で初めてチェンソーマン状態に変身するところ、このシーンでコマの枠がチェンソーで切れているんです。この遊び心が僕はすごい好きです」と細かな部分に触れる。3つ目のPRポイントでは「マジ感」という言葉で「キャラクターが生きている」「こういう街ってありそうと思えるリアリティ」と作品の魅力を伝えた。

コミックス部門1位に選ばれた「薬屋のひとりごと」からは、構成を担当する七緒一綺がジェイソンのお面を付けて、担当編集者と一緒に登壇。七緒は自分でマイクを握り、「原作小説がとにかく面白い!」「メインからサブまでキャラが魅力的」と見どころを語る。担当編集は「構成と作画の分業によるハイクオリティ」をポイントに挙げて、原作小説をマンガとして面白いネームに落とし込む七緒、作画を美しく仕上げるねこクラゲの双方を賞賛した。TSUTAYAで働くコメンテーターの栗俣氏は、「1巻目が出たときに、グループでいらしたお客様が、店頭でこのマンガをおすすめし合っているところをよく見かけた」と現場であった出来事を紹介。同じくコメンテーターの大野編集長は「ライトノベルはあまり読まないんですが、『薬屋のひとりごと』はマンガをきっかけに、ライトノベルを読みました」と物語に引き込まれたことを明かした。なお各受賞者のコメント、受賞記念イラストは「次にくるマンガ大賞 2019」の公式サイトで公開されている。

なお明日8月23日からは、全国約2000店の書店でフェアがスタート。各部門1位の作品を購入した人に、特製ポストカードと缶バッジをプレゼントする。また動画配信サービス「U-NEXT」の無料トライアルに登録すると、大賞作品の1巻を無料で読むことできる。詳細は公式サイトで確認しよう。

「次にくるマンガ大賞 2019」結果

コミックス部門

1位:ねこクラゲ、日向夏、七緒一綺「薬屋のひとりごと」
2位:藤本タツキ「チェンソーマン」
3位:いそふらぼん肘樹「神クズ☆アイドル」
4位:ひだかなみ、山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」
5位:作楽ロク「ブスに花束を。」
6位:福田晋一「その着せ替え人形は恋をする」
7位:斉藤ゆう「疑似ハーレム」
8位:はまじあき「ぼっち・ざ・ろっく!」
9位:馬場康誌「ライドンキング」
10位:南郷晃太「こじらせ百鬼ドマイナー」
11位:村田椰融「妻、小学生になる。」
12位:藤近小梅「好きな子がめがねを忘れた」
13位:チョモラン「あの人の胃には僕が足りない」
14位:畑健二郎「トニカクカワイイ」
15位:森山絵凪「この愛は、異端。」
16位:張六郎「千年狐 ~干宝『捜神記』より~」
17位:ヤマシタトモコ「違国日記」
18位:福島鉄平「ボクらは魔法少年」
19位:加藤雄一「やんちゃギャルの安城さん」
20位:アジチカ、梅村真也、フクイタクミ「終末のワルキューレ」

Webマンガ部門

1位:遠藤達哉「SPY×FAMILY」
2位:島順太「村井の恋」
3位:島袋全優「腸よ鼻よ」
4位:yaongyi「女神降臨」
5位:桜井のりお「僕の心のヤバイやつ」
6位:みかわ絵子「忘却バッテリー」
7位:いちかわ暖「新しい上司はど天然」
8位:殆ど死んでいる「異世界おじさん」
9位:山田金鉄「あせとせっけん」
10位:泉朝樹「見える子ちゃん」
11位:紺吉「絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男」
12位:殿ヶ谷美由記「氷属性男子とクールな同僚女子」
13位:たみふる「付き合ってあげてもいいかな」
14位:うおやま「ヤンキー君と白杖ガール」
15位:つきや「組長娘と世話係」
16位:那多ここね「クールドジ男子」
17位:加藤マユミ「やせっぽちとふとっちょ」
18位:赤塚大将「むとうとさとう」
19位:近藤笑真「あーとかうーしか言えない」
20位:藤井おでこ「幼女社長」

特別賞 U-NEXT賞

コミックス部門:馬場康誌「ライドンキング」
Webマンガ部門:殆ど死んでいる「異世界おじさん」