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「深夜食堂」安倍夜郎が、映画「最初の晩餐」に寄稿「いい味に仕上がってると思う」

「深夜食堂」の安倍夜郎が、映画「最初の晩餐」にイラストを描き下ろした。

11月1日に公開される映画「最初の晩餐」は、父の通夜に母が出した“通夜ぶるまい”を通して家族の姿を描く物語。主演を染谷将太が務め、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏らが出演する。マンガ家になる前はTVCMの制作会社に勤めていたという安倍は、「最初の晩餐」で監督を務める常盤司郎と20年来の付き合い。飲みに行った際にはよく将棋を指していたことから、描き下ろしイラストには将棋を嗜む男2人と目玉焼きが描かれた。なお目玉焼きのイラストは「最初の晩餐」のムビチケ前売り特典のポストカードにも使用されている。

安倍は本作について「父が死に通夜に集まった家族や親戚に、父の妻である母が料理を作って出す。その料理ひとつひとつを通して家族の歴史が語られる」とコメント。また「シイタケが嫌いな常盤司郎監督の『最初の晩餐』、いい味に仕上がってると思う」と期待を寄せた。

安倍夜郎コメント

通夜のめしの話である。
父が死に通夜に集まった家族や親戚に、父の妻である母が料理を作って出す。その料理ひとつひとつを通して家族の歴史が語られる。
地味な映画だが飽きさせないのは、次第にわかってくる家族の成り立ちと心情を愛おしく描いているからだろう。

マンガ家になる前、ボクはTVCM制作会社で企画演出の仕事をしていた。そこの制作部にバイトだか派遣だかで入ってきたのがトキワだった。ボクはダメなディレクターで暇だったので将棋の相手を探していた。ヘボ将棋の相手は棋力が大体同じか少し弱いくらいが望ましい。
トキワはまさにそれにぴったりの人材だった。ただ、とにかく指さない。考えるのが長過ぎる。飲み屋で指していて勝負がつかず、飲み屋を出され銀座の昭和通り真ん中、中洲のようになったところの地べたに将棋盤を置いて指し継いだこともあった。二十年来の付き合いである。その間、トキワは自主映画を撮り、PVやCMの仕事をし、短編映画を撮りながら将棋の何倍も長考して脚本を書き上げた。

「最初の晩餐」のメインキャストの役者さんたちは、その脚本を読んで出演を快諾してくれたと聞く。シイタケが嫌いな常盤司郎監督の「最初の晩餐」、いい味に仕上がってると思う。

(c)2019『最初の晩餐』製作委員会