映画「天気の子」新海誠が作り手として実感「ひるまずにやり続けることが役目」
新海誠が原作・監督・脚本を務める劇場アニメ「天気の子」の初日舞台挨拶が、本日7月19日に東京・TOHOシネマズ日比谷で開催され、新海監督をはじめ、森嶋帆高役の醍醐虎汰朗、天野陽菜役の森七菜、夏美役の本田翼、天野凪役の吉柳咲良、須賀圭介役の小栗旬が登壇した。
構想から約3年の月日を経て、公開11日前にようやく完成したという本作。新海は「ちょっと嘘のような気がします。もちろん完成させるつもりで作ってはいたんですが、本当に完成するのかなという瞬間がずっとありました。でも、とうとう観ていただけて夢のようです」と感慨を語る。映画鑑賞後の客席を見て「実はまだちょっと不安なんです」と吐露しながら、「この映画って、もしかしたら自分勝手な映画かもしれない。自分の大事な人ともっと多くの人たちの幸せ、どちらを選ぶかというとき、少しわがままな選択をする話でもあるんです。『自分もそうだよ』と思ってくれる人が世の中にたくさんいることを信じて作りましたが、同時にそうは思わない人もたくさんいると思います。これからたくさんの意見を浴びることになると思い、不安でもあり楽しみでもあります。時間をかけて皆さんが何を感じたか聞いていければ」と伝えた。
醍醐は初日を迎え、「今、胸がいっぱいです。0時に最速上映があったんですけど、前日の23時半ぐらいから(主題歌を担当した)RADWIMPSさんの曲を聴きながら家で1人で泣いて。どうしていいかわからない感情のまま、ここに立っています」と率直な心境を明かす。「素晴らしい方々が携わってる作品の中に主人公として身を置かせていただいて、役者としてはもちろん、何より人間としてステップアップできたんじゃないかなと、感謝の気持ちでいっぱいです」と述べる。森も「うれしい気持ちでいっぱい」とほほえみながら、「私自身も『天気の子』が大好きなので、やっと皆さんと語り合えるなと思って……たくさんの感想をお聞きしたいです!」と呼びかけた。
陽菜の弟役を演じた吉柳は「大人びていてイケメンで、凪は私の理想の男の子でもあったので、演じていて楽しかったです」とアフレコを述懐。自然体の演技で臨んだという本田は、現場での醍醐の発言について「『夏美が来た!』って言ってくれたのは一番うれしかったです!」と笑顔を見せる。また小栗が「いつアフレコに行ってもみんなが初々しくて。さっきもみんなで『緊張するね』っていうやり取りを聞いて、取り戻さなきゃな、その気持ち!と思いました」と目を細めると、醍醐は「一番憧れの俳優さんなので、いちファンとして観察してしまいました」とアフレコ中の行動を告白。「小栗さんが使ってる香水を教えてもらったら『次会うとき買って来てやるよ』と言って、今朝本当にくださったので、今つけています」とうれしそうに報告するが、新海から「でも『醍醐君から小栗君の香りしたらちょっとね』って、七菜ちゃんと言ってました」と言われてしまう。その言葉を不服そうに受け止めながらも、醍醐は「自信持てます、この香り!」と目を輝かせた。
最後に新海は「ちょうど公開の前に痛ましい事件もあり、どういう気持ちで初日に臨んだらと思ったりもしていましたが、やはり僕たちの仕事はどういうことがあってもエンタテインメントを作って表現していくことで、自分や誰かを傷付けてしまう可能性もゼロではないかもしれないけど、ひるまずにやり続けていくことが自分たちの生業であり、役目であり、やりたいことなんだなと改めて思いました」と思いを口に。本作について「少し気持ちが晴れるような、青空になるような映画を作ったつもりです」と述べ、イベントは幕を閉じた。
(c)2019「天気の子」製作委員会