「河森正治EXPO」開幕!幻の企画資料にドームシアター、立体無限拳まで見どころ語る

「河森正治EXPO」トークセッションの様子。上段左から梶裕貴、寺島拓篤、下段左から九条ねぎ、西川貴教、河森正治、カモミール。

河森正治のプロデビュー40周年を記念した展覧会「河森正治EXPO」が、本日5月31日から6月23日まで東京・東京ドームシティ Gallery AaMoにて開催されている。

河森正治EXPO」では河森による数百点以上におよぶデザイン画、絵コンテ、アイデアノートなどを一挙に展示。開幕に先がけて行われた内覧会では、ゲストを交えてのトークセッションや、河森自身による展示解説が行われた。トークセッションには本展覧会の応援アンバサダーを務める西川貴教、河森作品と関わりの深い寺島拓篤と梶裕貴が登壇し、司会を喜屋武ちあきが担当。河森はまず「40年間の仕事を振り返って、たくさんの人に支えられ、助けられてここまで来られたということを改めて実感しました」と謝辞を述べ、「世に出なかったラフも山のように展示しているので、ものづくりを志す人への励みになればと思いますし、もちろん支えてくれたファンの皆さんに観ていただければ」と挨拶した。

河森が監督を務めた「創聖のアクエリオン」のアポロ役で、初のTVアニメ主演を果たした寺島は、「見たことあるな、懐かしいなと思うものもいっぱいあったんですが、見たことのない資料もあって、河森さんの考えていることの奥深さを感じました。とにかく(展示物の)量が多いので、1日でも足りないくらいです」と本展の感想を述べ、また河森について「見識が広くていつまでも好奇心を忘れない方」と魅力を語る。続編にあたる「アクエリオンEVOL」で主人公のアマタ・ソラを演じた梶は、初めて寺島と会ったバラエティ番組で、絶叫マシーンに乗りながら一緒に「創聖のアクエリオン」を歌ったという当時のエピソードを披露。「自分の携わった作品は当時の記憶が蘇ってテンションが上がりますし、それだけじゃなく、こんなにたくさんの作品、魅力的なキャラクターがいることを目の当たりにして、本当に壮観です」と感想を述べ、また本展の見どころである「K-40ドームシアター」での映像について「本当にアニメの中に入り込んだかのよう」と絶賛すると、寺島も「オールスターズだよね。河森作品好きであればあるほど楽しめると思います」と口を揃えた。

応援アンバサダーを務める西川が「先日NHKで放送された『全マクロス大投票』のときにゆっくりお話しをさせていただいて。そのあとご依頼をいただいたときは『僕でいいんですか!?』という思いでした」と経緯を語ると、河森は「(これまでも)西川さんのライブを観させいただいていたんですよ」と、西川のアンバサダー就任が河森たっての希望であったことを明かす。また西川が会場で販売される、西川のマスコットキャラクターである「タボくん」と本展のコラボTシャツを紹介しながら「僕もまだ“合体”してないのに!」と、自らの楽曲に先がけてキャラクターが河森作品とコラボしたことを悔しがると、「キャラソンはOKなんですか?」と河森が尋ね、「なんとかしましょう……!?」と今後のコラボに意欲を見せる場面も。

河森は本展を実施するにあたり自宅やトランクルーム、サンライズの倉庫などに保管されていた大量の資料を発掘。その中でも未発表のものや企画段階のメモ、制作途中での資料、経年劣化した数十年前の紙資料など、生々しさを感じられる資料をピックアップしたという。「開催期間中に増えることはあるんですか?」と梶が尋ねると、河森は「あります。出したかったけど見つからなかったものも鋭意発掘中ですし、『こういうのないのか』ってリクエストがあれば、その中からも応えられれば」と答え、登壇者一同から歓声が上がる。最後に西川は「河森さんの40年間の道を追うような部分もあって、作品だけでなく河森さん自身を好きになったり知りたくなったりする機会になっている」とコメントし、寺島は「河森メカの細部を隅々まで見られることも魅力ですし、巨大立体物がこれだけあるのもなかなか観られない光景でワクワクします」と展示の見どころをアピール。梶は「好きな作品を中心に見るのももちろんですが、まだ触れたことない作品と出会うチャンスでもあると思います」と来場者に向けてメッセージを送った。

河森正治EXPO」は、「メインパビリオン」「クリエイティブパビリオン」「インスピレーションパビリオン」「フューチャーパビリオン」という4つの展示コーナーと、本展のために作られた「K-40ドームシアター」、ショップから構成されている。なかでも全天周映像シアターで4分間の新作映像が楽しめる「K-40ドームシアター」は河森が「30年くらい前からずっとやりたかった」ものだといい、「スクリーンのサイズに限定されず、1回では絶対見きれない、そういう現実世界に近い感覚のものをやりたかった」と展示解説の中で意図を明かした。

「メインパビリオン」には「マクロス」シリーズの歴代バルキリーコレクション、「劇場版 マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」に登場する「YF-29 デュランダル」や「交響詩篇エウレカセブン」の「ニルヴァーシュ」といった機体の巨大立像、「アクエリオンEVOL」でジンとユノハが座るベンチや「マクロス」シリーズの“ミサイルサーカス”を再現できるフォトスポット、キャラクターフィギュアなどが集結。さらに「アクエリオン」シリーズの必殺技「無限拳」をプラモデルの空き箱を使って立体化した巨大なオブジェも宙に飾られ、河森は「(無限拳の立体化を)やりたいと言ったら『いくらかかると思うんですか』と言われて(笑)、家から出てきたプラモの箱で作りました」と冗談交じりに明かした。

「クリエイティブパビリオン」では、膨大な量の紙資料を壁面から天井にまでびっしりと敷き詰め、4つのゾーンに分けて展示。「マクロス・ヴァリアブルゾーン」では「超時空要塞マクロス」のタイトル決定以前の初期ストーリーメモや、「マクロスF」で音楽を担当した菅野よう子に宛てた手書きの音楽メモといった貴重なものも見ることができる。「作家クリエイティブゾーン」では「イーハトーブ幻想~KENjIの春」や「地球少女アルジュナ」、「上海大竜」など河森の作家性の強い作品にフィーチャーし、絵コンテやストーリーメモなどを展示。「コンセプトデザインゾーン」では「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」や「アーマード・コア」シリーズのコンセプト案や設定画、「メカ・インダストリアルデザインゾーン」では「ニルヴァーシュ」のコンセプト案や「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の狙撃ヘリの設定画などがお目見えした。河森は「あまりメカ(デザインを)やってない作品はコンテやストーリーメモが中心、メカデザインを受けたものはラフスケッチ中心と、作品ごとに見せ方も変えています」と展示内容について語った。

お蔵入りになった作品や没になったデザインなどを蔵出しする「ミラージュワークスゾーン」には、「カウボーイビバップ」のコンペティションに提出したという幻のメカデザインや、かつて富野由悠季とともに構想していたという「アステロイドワン」の企画資料なども。河森は「アステロイドワン」について「あの企画が通ってたらアニメの歴史が変わってたかもしれませんね」とコメントし、また同ゾーンに展示された「パラレルロード」に関しては「膨大なストーリーメモ、イメージボード、おもちゃの試作品まで作ったけどお蔵入りになってるんです。(作品となって)表に出ているのは氷山の一角なんですよ」と明かした。

「インスピレーションパビリオン」には河森の机や、「マクロス」のヒントになったという学生時代に友人と作った巨大なロケット花火を再現。出生から現在までを辿り、さら未来へとつながっていく年表には、高校時代に細野不二彦、美樹本晴彦らと作ったという合作マンガの一部も掲示された。展示の最後を飾るのは、6月14日に公開される「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」をはじめとする進行中の企画や、河森の今後の構想を紹介する「フューチャーパビリオン」。河森がデザインしたレゴブロック製の実物大バイクも飾られている。

最後に今後のさらなるチャレンジについて尋ねられた河森は、「今回仮設ドームは実現できましたが、VRやドームといった体感型のものについて、よりスケールや臨場感のあるものに挑戦していきたいです」と野望を語る。さらに「現在も片手以上の企画抱えているのですが、新しいプロジェクトでもデザインでも、オーダーしたい人がいたらぜひ声をかけてください。新しい方からの刺激はスイッチをオンにしてくれるので、ウェルカムです」と、デビューから40年を迎えても変わらぬ好奇心と熱意を見せつけた。

河森正治EXPO」

期間:2019年5月31日(金)~6月23日(日)
時間:10:00~20:00(最終入場19:30) ※月曜日は10:00~19:00(最終入場18:30) ※初日5月31日(金)は13:00~20:00
会場:東京・東京ドームシティ Gallery AaMo

展示作品タイトル一覧(50音順・5月10日時点)

「アーマード・コア」シリーズ
エンターテインメントロボット“AIBO”「ERS-220」
「アクエリオンEVOL」
「劇場版アクエリオン ―創星神話篇&壱発逆転篇―」
「アクエリオンロゴス」
「あにゃまる探偵キルミンずぅ」
「イーハトーブ幻想~KENjIの春」
「交響詩篇エウレカセブン」
「エウレカセブンAO」
「ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」
「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」
「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」
「AKB0048」
「エースコンバット アサルト・ホライゾン」
「オメガブースト」
「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」
「ガンダムセンチュリー」
「ガンヘッド」
「GearTribe 初音ミクGTプロジェクト 2014Ver.」
「クラッシャージョウ」
「ゴールドライタン」
「ザ☆ウルトラマン」
「サンダーバード ARE GO」
「Genius Party(ジーニアス・パーティ)『上海大竜』」
「重神機パンドーラ」
「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」
「新世紀GPXサイバーフォーミュラ11」
「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」
「新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN」
「新世紀GPXサイバーフォーミュラZERO」
「創星のアクエリオン」
「創聖のアクエリオン」
「ダイアクロン」
「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」
「地球少女アルジュナ」
「地球防衛家族」
「超鋼戦紀キカイオー」
「デビルメイクライ5」
「DAEMON X MACHINA」
「天空のエスカフローネ」
「闘士ゴーディアン」
「パワード・スーツ『DUALIS』」
「ノブナガ・ザ・フール」
「多次元プロジェクト ノブナガ・ザ・フール」
「バトルテック」
「超時空要塞マクロス」
「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」
「超時空要塞マクロス Flash Back 2012」
「マクロス7」
「マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!」
「マクロスFB7 オレノウタヲキケ!」
「マクロスゼロ」
「マクロス ダイナマイト7」
「マクロス DIGITAL MISSION VF-X」
「マクロスΔ」
「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」
「マクロスVF-X2」
「マクロスプラス」
「マクロスプラス MOVIE EDITION」
「マクロスF」
「劇場版マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」
「劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~」
ほか未発表タイトル

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