「鈴木敏夫とジブリ展」が明日4月20日から5月12日にかけて、東京・神田明神ホールにて開催される。先がけて本日4月19日に内覧会が行われた。
「鈴木敏夫とジブリ展」はスタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫の仕事や作品を、“言葉”に焦点を当てて総覧できる展覧会。 内覧会には鈴木と、展示のキービジュアルにも描かれた「千と千尋の神隠し」の湯婆婆役を演じた夏木マリが登場した。鈴木は集まった記者に向けて「ジブリもいろいろな展示をやってきたのですが、そろそろネタ切れでして(笑)。今回は鈴木敏夫の個展という仮面を借りてジブリ展を作ろうと……」と冗談交じりに切り出し、「僕は細かい書き散らしのものを取っておく癖があるんですが、それが今回は役に立ちました。宮崎駿はどんどん捨てちゃう人なんですよ。彼が捨てたものを僕がごみ箱から拾って取っておくんですが、あれだけ『そんなもの取っておいてもしょうがないよ」と言ってた宮崎が、ジブリ美術館を建てるときに『持ってたよね?』って聞いてきたんです(笑)」とエピソードを披露した。夏木は湯婆婆を演じる際に宮崎から「ジブリでは鈴木が金勘定をしているように、敵役ではなくて、湯屋を立て直すひとりの働く女性として演じてください」と言われたことを明かし、「『鈴木さんの女版としてやればいいんだ』と思って楽しくなったんです」と当時を振り返った。
展覧会は、大きく分けて10のゾーンから構成されている。最初のゾーンである「書の間」では、ジブリ作品のコピーや好きな言葉など、鈴木による30点以上の書をその言葉にまつわるエピソードとともに展示。「第一章 少年期~青年期 鈴木敏夫になるまで」は、当時を模したレトロな空間に、鈴木の書いた小学校の卒業文集や、18歳のときに制作したという同人誌「D細胞」、また杉浦茂をはじめとした影響を受けたマンガ家、作家の書籍などが並べられた。「第二章 鈴木敏夫の愛した昭和の映画」では、「仁義の墓場」「赤頭巾ちゃん気をつけて」など鈴木が夢中になった日本映画のポスターが並べられ、それらの予告編映像も楽しむことができる。
「第三章 徳間書店時代」は、1972年に入社した徳間書店での鈴木の仕事を振り返るゾーン。壁一面に100冊のアニメージュが並び、鈴木が書いたアニメージュの広報スケジュール、表規則一覧、当時のノートなどを見ることができる。おなじみのジブリ作品のキャラクターを背景に、立体化されたセリフが吊るされた「名台詞の間」を抜けると、「第四章 ジブリにまつわるエトセトラ」へ。“言葉”に焦点を当てた本展ではさまざまな鈴木の手書き資料が展示されているが、このゾーンでは「風の谷のナウシカ」の企画書、「おもひでぽろぽろ」のセル枚数確認表、「となりのトトロ」「火垂るの墓」のキャッチコピー案、ポスターラフ、CMコンテといった実際に使われた資料の数々から、当時の現場の様子や、鈴木の仕事におけるクリエイティビティを実感することができる。
「第五章 自分のためでなく他人のために」には、鈴木がプロデュースした日清製粉のCMや鈴木が描いたなど、ジブリ作品に留まらない仕事が集約された。「第六章 言葉の魔法」は巨大な湯婆婆と銭婆が鎮座する部屋。それぞれ口の中のおみくじ紐を引くとキャラクターボイスを聞くことができ、おみくじには吉凶のほか、鈴木敏夫の言葉と解説が書かれている。展示の最後には、近年の鈴木を仕事を紹介する「いま、ここに集中する」ゾーン、大きな油屋のジオラマが設置された「油屋」ゾーンが用意されている。
会場ではグッズ販売も実施。「湯婆婆こけし」や御朱印帳など展覧会の限定グッズを含む、たくさんのジブリ関連グッズが揃えられた。また1階にあるカフェ・MASU MASUでは「まっくろなくろ胡麻おはぎのお茶セット」「白(ハク)米のおにぎり」「となりのカキ氷」「だいこく様の縁結びプリン」といった4種のコラボメニューを提供。さらに神札授与所では、湯婆婆が描かれた絵馬や御守も販売されている。
「鈴木敏夫とジブリ展」
会期:2019年4月20日(土)~5月12日(日)10:00~18:00(最終入場17:30)※会期中無休
会場:東京・神田明神文化交流館「EDOCCO」内神田明神ホール
料金:特典付前売券大人1300円 / 前売券大人1200円、中高生800円、小学生600円 / 当日券大人1300円、中高生800円、小学生600円
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