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東宝×オレンジ×丸井のショートアニメ公開、福原遥・石井俊匡監督らが裏側語る

丸井グループが製作、東宝映像事業部が企画したオリジナルショートアニメーション「そばへ」が本日3月7日に公開された。

2016年にアニメ事業部を発足し、店舗でのアニメ関連イベントの開催や、オリジナルアニメCMの制作などを行ってきた丸井グループ。今回の「そばへ」は丸井が企業として掲げるテーマの1つである“インクルージョン”という言葉を広げる目的で制作された。雨が嫌いな少年・統(おさむ)が紗友(さゆ)からもらった傘が少女の姿となり、雨に濡れた街を踊るように巡っていくストーリーで、価値観の違いを理解することで世界が広がるというイメージが、「宝石の国」で知られるオレンジによるCGアニメーションと、「リズと青い鳥」などで知られる牛尾憲輔による音楽で表現された。

同日に行われたマスコミ向けの記者会見では、監督を務めた石井俊匡、キャストとして参加した福原遥、丸井グループ執行役員の青木正久氏、東宝の太田圭二氏が登壇し、制作の経緯や過程を語った。本作はコンペティションによって選ばれたものであるといい、東宝とタッグを組んだ理由について青木は「作品のクオリティだけでなく、“インクルージョン”というテーマに共感していただけたこと、特に東宝の武井克弘プロデューサーの熱い思いに我々も共感したということが大きいです」と話す。太田氏は「複数の作品の中から選ばれたことは、石井監督やスタッフにとっても励みになる」と言い、また本作が東宝の武井プロデューサー、オレンジの和氣澄賢プロデューサーの2名によるプロジェクトの第1作品であることを明かした。さらに青木は東宝と丸井グループによるこうした取り組みを続け、「若手アニメーション監督の登竜門的な存在に発展させていきたい」と意欲を見せた。

細田守監督作品「未来のミライ」で助監督を務め、今回が自身初の監督作品となる石井は、制作のきっかけについて「オレンジさん経由でお話をいただいて、“インクルージョン”というテーマをアニメにするのは難しいなと思ったのですが、初の監督作品ということでがんばらせていただきました」と話す。タイトルの「そばへ」は“日照雨”と書き、雨というモチーフは和氣から「CGの強みを活かすには自然現象を使うのがいいんじゃないか」と提案されてとのことで、「雨が苦手な人もいるし好きな人もいる。好きな人と苦手な人がどう寄り添っていけるのか、ということを考えたとき、傘を通して雨を見ることで、苦手だった人も見え方が違ってくるんじゃないか、というのを出せればと思いました。前半では雨の嫌な雰囲気も出しつつ、後半では雨がきれいに見えてくれば」と作品の意図を明かした。

福原の出演については「音楽を担当してくださった牛尾さんとの話の中で、いろんな音がだんだん集まって盛り上がっていくのがいいんじゃないか、その中で声も楽器の中1つとして入れてみよう、という話になって。それで福原さんに声を入れてもらったらすごくよかったので、セリフも入れることになりました」と経緯を説明。福原は「どういう作品になるのかすごく楽しみで、石井監督とご一緒できることもうれしかったです。観ていて心が温まる作品で、音楽も温かくてすごく癒されます」と笑顔で語り、「セリフが少ない分、セリフに込める思いは強くしないといけないな、と思って。絵と対話しながら『こういう感じでしゃべるのかな』って考えつつ、何度か録りながら監督と一緒に作っていきました」とアフレコを振り返った。

会見の後半ではオレンジによるCGアニメ制作の過程や、トンコハウス作品の「ダム・キーパー」などに携わった長砂賀洋によるコンセプトアート、「未来のミライ」で作画監督を務めた秦綾子が担当したキャラクターデザインについて、資料を見せながら石井が解説。コンセプトアートについては「上手な方にお願いしたのはもちろんですが、作品の内容を理解して、それをアウトプットして絵にしてくださった。イメージボードから本編にフィードバックした要素もたくさんあります」と話し、またキャラクターデザインの秦が本編に使用しない表情やカット、服装などの細かい設定も描いていたことを明かす。そして初監督作品となった今作について、「チャレンジもたくさん盛り込ませてもらったので、酔っぱらったときに見返すと、そのときの自分が発奮できるものになるんじゃないかと(笑)。すごく自由に、丁寧に作らせていただいたので、自分にとって名刺代わりの作品になるのは確実だと思います」と思いを語った。「そばへ」はYouTubeでの公開に加え、劇場CMとしての上映も予定されている。

「そばへ」

監督:石井俊匡
出演:福原遥
キャラクターデザイン:秦綾子
コンセプトアート:長砂賀洋
音楽:牛尾憲輔
プロデューサー:武井克弘、和氣澄賢
制作:オレンジ

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