東京・サンシャインシティ内ワールドインポートマートビル4階展示ホールAにて開催中の、浅野いにおの原画展「画業20周年記念企画 浅野いにおの世界展~Ctrl+T2~」の一環として、本日12月29日に浅野と夢眠ねむ(でんぱ組.inc)のトークショーが行われた。
まずは浅野が「(でんぱ組の)『あした地球がこなごなになっても』っていう曲で作詞をして、ジャケットにイラストを描いて。そのときが初めて関わったきっかけ」と2人の関係を観客に説明。夢眠が「あとは劇作家の根本宗子さんとの番組(「夢眠ねむと根本宗子のねむねも」)にゲストに来てもらった」と説明すると、浅野は「そこで根本さんが即興で書いた脚本で劇をやらされて。そんな話は聞いてなかったけど、その場で演技をしろって言われて、顔を真っ赤にしながらやった覚えがありますよ」と思い出を語った。
さらに今年リリースされた、浅野が作詞を担当したでんぱ組の楽曲「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」について浅野が「あのタイトル長い曲……パッと出てこないけど」と言うと、夢眠から「(詩を)書いたんですよね?(笑)」とツッコまれる。また同曲については浅野から「でんぱ組の音楽プロデューサーの方から、『作詞を1週間以内にしてくれませんか』ってLINEで言われて(笑)。それが1年前の今ぐらいで、マンガの原稿とかもあったから、時間が取れるのが大晦日しかなくて、大晦日に超集中して書いて、日付が変わる直前ぐらいにメールで送ったんです。で、年が明けたら、プロデューサーから『譜割りが知りたいから歌ってくれ』って言われて。元旦のお昼にスタジオに行ってあの曲を歌わされたんですよ。寝起きで」とエピソードが明かされる。それを聞いた夢眠は「それ(仮歌)聞いてないんだけど、私なら聞けるのかな?(笑)」と興味を示しつつ、「『あした地球がこなごなになっても』のイントロはいにお先生がギターを弾いてるんですよね。仮歌とギター……もうでんぱ組じゃん!(笑)」と笑った。
続いて話題はマンガに関することに。夢眠が「今日はマンガの話するんだったら(でんぱ組の)成瀬瑛美が適役だと思うんですけど。私は(客席を見ながら)この中で一番マンガに詳しくない。ご本人にも言ったことあるけど、(浅野作品を)ほとんど読んだことなくて。でも避けて読んでなかったとか、いけすかないとかじゃなくて、ただただ(新沢基栄の)『ハイスクール!奇面組』しか読んでなくて(笑)」と明かすと、浅野は「それでいい。それぐらいがいいです。マンガが大好きっていう子が来ちゃうと、僕との温度差があるから。好きで来てくれてる人たちの前であんまりこういうこと言うとアレですけど、僕は自分のマンガに対して一周半ぐらい回ってて、嫌いなんですよ(笑)」と卑屈な面を見せた。
今年を振り返っての話題では浅野が「今年は特にプライベートでいろいろあって。ようやく車の免許を取ったんですよ。で、会社を立ち上げて社長になって、あとは秋ぐらいに再婚した。一般的な社会人の大人なら手に入れたであろうものを、いますごい勢いで取り戻してる(笑)。こないだ奥さんと超ケンカしてね、年内で離婚もするのかなと思ったけど(笑)」と自嘲的に笑うと、夢眠も「コンプ(リート)ですね(笑)」と続けた。
2019年1月7日にでんぱ組.incを卒業し、3月末には芸能界を引退する夢眠は、その後に実店舗として「夢眠書店」をオープンするとが目標だと公言している。これについて浅野が「書店を出すんでしょ?」と話題を振ると、夢眠は「そう、書店を……あっ! (浅野を指さして)マンガ家! なんか一筆描いておくれよー」と書店への協力を要請。また浅野が「この組み合わせってさ、そもそもヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)臭がするじゃん?」と振ると、「(夢眠書店に)ヴィレヴァンの主要の人を引き抜こうと思ってる」と返し、浅野から「最悪のやり方(笑)。悪の書店ですね」とツッコまれていた。
続いては、観客から事前に集めていた質問に対して2人で回答するコーナーに。「おふたりにとってマンガってどんな存在ですか?」という質問には、「この2人の共通点は、僕も『奇面組』好きなんですよ。最初に読んだマンガが『奇面組』で。誰が好き?」と浅野が質問すると、夢眠が「最初に読んだときは雲童塊がカッコいいと思ったんですよ。スポーツができてイケメン、カッコいい!って。塊って名前もいいなって。あと天野邪子。でもやっぱり一堂零ですね」と返し、浅野も「主役のね、一番魅力もある。おれもああいう感じに憧れてたね。(客席の)みんなはポカンとしてるけど(笑)」と盛り上がる一幕も。また浅野は奇面組について「やっぱり最初に読んだマンガって自分のベースになるんで。僕は基本的にギャグマンガ家を目指してた」とも語っていた。
「ねむきゅんはいにおさんのマンガのキャラクターの中で付き合うなら誰がいいですか?」という質問には、夢眠は原画展のポスターに描かれた数多くのキャラクターを見ながら選び、自分が読んだことのある作品の中から「薬局の人!」と、「ソラニン」のビリーこと山田二郎の名前を挙げる。これについて浅野は「これは人気のあるキャラですよ。僕が創作で作るキャラって、照れとかもあるから卑屈だったりするんですけど、このキャラはモデルがいて、これは友達のまんまなんですよ。だからてらいなくいいやつに描ける。自分の中からはいいやつは出てこない」と秘話を明かす。また夢眠はビリーについて「付き合うなら彼。ちゃんとしてる」としながら「でもタンクトップがなあ……(笑)」と服装について不満を漏らし、浅野から「諭せば聞くキャラだから」と言われるも、「でも『タンクトップ、やだな』って言って傷つけたくない」と笑い、「短編集(『浅野いにお短編集 ばけものれっちゃん/きのこたけのこ』)に入ってる『TEMPEST』のおじいちゃんの若い頃も好き。賢い男の人が良い」ともコメント。それを受けた浅野は「賢い男がモテてほしい」とうなずきながら、「『TEMPEST』は登場人物が老人ばかりなので、あんなに絵を描いていて盛り上がらなかったことはない。やっぱり僕は女の子が描きたかったんだと。単純にお年寄りはシワが多くて、(描く際に)物理的に手数が多い。あれがホントに苦痛で、2度とやりたくない」と振り返った。
最後に司会から締めのコメントを求められると、夢眠は「今日はここでしかできない謎の温度感の話ができたなと思います。ありがとうございました」と笑顔を見せる。続けて浅野が「今日はこの女がいかに姑息で腹黒いかがわかっていただけたんじゃないかと」と語り、夢眠から「何の会なの?(笑)」とツッコまれながらも、「僕はアイドルとかの知り合いはいなくて、この人だけが本当にしゃべりやすいんです。(引退前の)最後に来てくれてうれしかったです。僕の話は忘れてくれていいです、帰ったら『すごい感動的な話が聞けた』って周りの人に伝えてください。今日はありがとうございました」とまとめ、イベントは終了した。
「画業20周年記念企画 浅野いにおの世界展~Ctrl+T2~」は、2019年1月14日まで開催中。なお1月5日には浅野のトークショーも行われる。
浅野いにおトークショー
日時:2019年1月5日(金)15:00~16:00(トークショー)、16:30~(サイン会)
会場:東京・サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4階 展示ホールA
料金:3000円(入場料含む / お土産付き)
画業20周年記念企画 浅野いにおの世界展~Ctrl+T2~
期間:2018年12月21日(金)~2019年1月14日(月・祝)※12月31日・1月1日は休館
時間:12:00~19:00 ※最終入場18:30
会場:東京・サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4階 展示ホールA
料金
前売券
一般800円、中・高生600円、グッズ付き1300円
当日券
一般1000円、中・高生800円 ※小学生以下無料
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