“クラシック大好き人間”松本零士が音楽愛とカラヤン語る、ベストCD&書籍発売記念
「松本零士セレクション/カラヤン ベスト・オブ・ベスト」「松本零士 不滅のアレグレット〈完全版〉」の発売記念イベントが、昨日12月6日に東京・渋谷のTRUNK(HOTEL)にて開催。作者の松本零士によるトークショーが行われた。
同イベントは、今年創立120周年を迎えるクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」のアニバーサリーを祝した「ドイツ・グラモフォン創立120周年記念 セレブレーション・イベント」の一環として行われたもの。クラシック愛好家として知られる松本は、小学生の頃から“クラシック大好き人間”と自称。道路に捨ててあるレコードを拾っては洗い、蓄音機で聴いていたと思い返し、マンガを描き始めてからも音楽を聴きながら執筆することが趣味であると話した。また指揮者の中でも特にカラヤンが好きだと言い、「ほかの指揮者の交響曲も全部聴いている。どれがいいとか悪いではなく、全部好き。ただ自分の心情的に合うのはカラヤンの曲だった」とその愛を語った。
さらに「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」など自身の作品が映画化される際、作曲家から「どんな曲が欲しいか?」と問われるたびにクラシックの楽曲で例を挙げているという松本。「作曲家は偉大なもので、求めているものを理解して(物語の)心情的にぴったりのものを作曲してくださる。なので、『この曲の第何楽章の何』と言えるかどうかで運命が変わる。道路で拾ったレコードや友人からもらったレコードに感謝している」と振り返った。
また「映画を観ていても音楽が気になる」「音楽がよかった映画は覚えている」と音楽と映像についてのこだわりを語る松本は、「曲を聴くと私の頭の中ではその曲が映像化される。自分好みかもしれませんが、映像となって音楽を聴いている。曲を聴くと風景が浮かぶでしょう。それが音楽の偉大さ。立体的な、次元のない、終わりのない世界に連れて行ってくれる」と音楽の魅力を述べていく。トークも終盤になると、「レコードがあったら蓄音機でかけてみてください。昔の少年少女が聴いた音楽がどんなものか、よくわかります」と観客に語りかけ、「皆さんも音楽を愛して、楽しく音楽と触れ合っていただきたい」と締めくくった。
なおイベントの最後には、「桐朋学園大学音楽学部附属 子供のための音楽教室」に通う小学5年生の伊藤素子さんが、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによる「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ短調 BWV1003 ~ 第3曲:Andante」「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005 ~ 第3曲:Largo」の2曲を続けて演奏した。
「松本零士セレクション/カラヤン ベスト・オブ・ベスト」はユニバーサルミュージックよりリリースされたCDで、松本がセレクトした、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの名曲・名演奏が収録されている。一方の「松本零士 不滅のアレグレット〈完全版〉」は、カラヤン、フルトヴェングラーといった指揮者やクライスラーら演奏家たちの生き様を、松本ならではの世界観で描いた作品集。1979年に刊行された単行本に、新たに未収録作品9点が加えられている。そのほか作品で言及されているクラシックの名曲を収めたCDを同梱。クラシック入門本としても楽しめる1冊だ。