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プリキュア上映会、「アラモード」に込めた思いや「HUGプリ」裏側のドラマ明かす

TVアニメ「プリキュア」シリーズの15周年を記念したイベント「『プリキュア』感謝祭上映会 vol.5」が、去る11月3日に東京・新宿バルト9で行われた。本記事ではイベント後半の模様をお届けする。

「映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!」上映後のトークには、キュアホイップ/宇佐美いちか役の美山加恋、シリーズディレクターの暮田公平と貝澤幸男、プロデューサーを務めた神木優が参加。4人が選んだテレビシリーズのお気に入りエピソードとして、第31話「涙はガマン!いちか笑顔の理由!」、第48話「さいごの戦い!世界まるごとレッツ・ラ・まぜまぜ!」、第49話「大好きの先へ!ホイップ・ステップ・ジャーンプ!」の名シーンが上映された。

自身がセレクトした31話を観た美山は「やばいですね……(笑)」と涙ぐみ、「いちかが変身するときのセリフがなぜ“元気と笑顔”なのか、その理由がわかる回」と説明。神木は「いちかというキャラクターができたときから、やることが決まっていたエピソード。実は最終話にしようという話もあったんです」と切り出し、「敢えてこの時期にいちかのことを全部知ってもらって、これからもっと知っていってもらうタイミングにしようと考えました」と裏側を語った。一方貝澤は「子供は独り立ちするし、お母さんは(海外に)行っちゃうし、お父さんがほんと悲しそうだなって(笑)」と、いちかのお父さんに感情移入することを明かした。

暮田と神木が選んだ48話は、エリシオとの戦いの決着を描いたエピソード。暮田は「やっぱり相手の気持ちに寄り添ってあげないとスイーツをあげることはできないので、エリシオともそういう決着の仕方を考えました」と話し、神木は「この話数を納品したときに、撮影監督に『夢にまでキラキラルが出てくる』って言われて(笑)」と当時を振り返る。神木は「分かりあうことを諦めないという、すごく難しいことをいちかたちはやってのけて、私自身から見てもカッコいいプリキュアだなと思います」と続け、美山も「子供たちにも、大人になってから思い出してほしいですね」とコメントした。

最終話である49話の演出を担当した貝澤は「いちかが求めていたのは笑顔なんですが、多数の笑顔を取るのか、ペコリンの笑顔を取るのかという究極の選択なんです。美山さんがそれをすごく理解してお芝居してくださった」と話す。またキラパティの壁にたくさんの写真が貼ってあるシーンについて、貝澤が「いちかの夢をただ語るだけじゃなくて、子供にわかるようにするには絵にすることが大事だと思ったんです」と話すと、「あの写真はひとつひとつ貝澤さんが全部描いたんですよ」と明かし、会場からは大きな拍手が起きた。

最後に神木は「今日見ていただいてわかる通り、監督2人ともすごく優しい人なんですよ。この2人だったから『キラキラ☆プリキュアアラモード』はこんなに優しい作品になったんだと感じています」と、暮田は「キラパティのみんなは最終話でばらばらになってしまうんですが、みなさんも人生の中で、“大好き”が一瞬だけ一緒になった関係ってあると思うんです。その一瞬を忘れないで生きていってもらえたら」とファンに語りかける。暮田は「思いを受けるだけでなく、思いを与えることも幸せを生むのかなって、この作品のスタッフと接する中で思いました」と振り返り、美山は「自分の人生にとってかけがえのない、大事なものをいただいて、その分これから返さなきゃいけないなという思いでいっぱいです。このスタッフさん、キャストさんと一緒でよかったなと思います」と感謝の言葉でトークを締めくくった。

5回にわたって開催されてきた「『プリキュア』感謝祭上映会 」の最後を締めくくったのは、公開されたばかりの「映画HUGっと!プリキュア▽ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」(▽はハートマーク)。上映後のトークパートには「HUGっと!プリキュア」よりキュアエール/野乃はな役の引坂理絵、シリーズディレクターを佐藤順一と共同で務める座古明史、プロデューサーの内藤圭祐が参加した。

3人によってセレクトされたエピソードは1話「フレフレみんな!元気のプリキュア、キュアエール誕生!」、11話「私がなりたいプリキュア!響け!メロディーソード!」、そして17話「哀しみのノイズ…さよなら、ルールー」。1話について語り出すと引坂は涙ぐみ、「自分の演じる主人公が愛されるキャラクターになるのかなって、不安で吐きそうになりながら収録してたんです」と明かす。内藤は「歴代のプリキュアと一緒に出る機会もあるんじゃないかとは考えていたので、最新のプリキュアの中心は強いキャラクターであってほしいと思っていて。『わたしのなりたい野乃はなじゃない!』のセリフにその力強さが表れている」と語った。

座古は「引坂さんはできなかったことを気にされていて、でも僕はそれが“野乃はな”なんじゃないかと思うんですよね」と切り出し、「引坂さんはすごくストイックな方で、毎週オープニングで流れる『なんでもできる!なんでもなれる!』ってナレーションは、実は毎週録っているんです」と明かすと、会場からはどよめきが。「それを引坂さんが『私はなんでもなれない』と思っちゃって、言えなくなったことがあるんです。でもそれを乗り越えて、今は言えている。オープニングだけですごくドラマがあるんです」と続ける。引坂も11話について「2人はこんなに素敵にできるのに、なんで私はできないんだろう」というはなの気持ちに、シンクロしながら演じていたと語った。

そして17話は、座古が「コンテの打ち合わせをするときから涙をこらえるのが大変だった」というエピソード。「人間の心の奥底を覗いたときに、どんな悪い人でも、必ず美しく光っている部分がある、という考え方が好きみたいです」と理由を話し、「いつまで経っても戦争はなくならないし、人類は残酷だ……とかって気分にもなるんですけど」と続けると、「ジョージ・クライみたい!」という引坂のリアクションに、座古がメガネを外してジョージ・クライのモノマネをしてみせる一幕も。内藤も「我々大人はクライアス社の思想に共感してしまうところもあると思うんですが、キュアエールたちがそれにどう打ち勝つかにぜひ注目してください」と呼びかけた。

最後に引坂は「今日バルト9の前を歩いてたら、小さい子が「フレフレわたし!」って言いながら歩いていて、それを見てすごく元気をもらったんです」と笑顔を見せる。そして「まだまだいろんな戦いがあります。みなさんがびっくりすることも、まだまだ、いっぱい、あります! なので、しっかり見てください!」と力強くアピールし、大きな拍手に包まれながらイベントは幕を下ろした。