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映画「未来のミライ」劇中曲を高木正勝が生演奏、上白石萌歌&細田守のリクエストで

劇場アニメ「未来のミライ」のサウンドトラック発売を記念したイベントが、本日7月16日に東京・タワーレコード渋谷店にて開催された。

イベントには細田守監督、主人公・くんちゃん役の上白石萌歌、そして「未来のミライ」のPRイベントに出演するのが初めてだという音楽担当の高木正勝が登壇。劇中曲ついて高木は自分自身は弟であるため、音楽は赤ちゃんのミライちゃん視点で作ったかもしれないと話す。「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」でも高木とタッグを組んだ細田は、「いつも高木さんに依頼するときは、絵コンテが上がったところで曲の制作をお願いするんです。でも今回はもう最初から高木さんに頼もうと決めてたので、絵がない状態のシナリオができたところでお願いしました。むしろ高木さんのデモを聞きながら絵コンテを描きたいぐらいの勢いでやってたので、今まで以上に密に、早い段階からやりとりしてましたね」とコメント。高木にオファーした理由については「高木さんって子供のピュアさとか、もしくは不可解さとか、一面的ではなく、あらゆる面から見て描いてる人でしょう。だから今回みたいな作品にピッタリくるんじゃないかと思って。でも高木さんって最終的には子供だけじゃなく、人間ってこうじゃないかっていうことを(音楽で)描いてる気がします」と述べた。

高木の音楽が映像に入った状態でアフレコに挑んだ上白石。「私は『おおかみこども』のサントラとかをずっと聴いていて。今回の音楽が高木さんだってことは知らなかったんですけど、『あ、これはもう高木さんだ』ってすぐにわかるんですよね」と話し、「サントラを聴いてると高木さんの音楽は、生活に溶けるというか、日常を彩ってくれるなと思います」とにこやかに語る。

高木からはプロット時点でのタイトルが、「くんちゃんの不思議な庭」だったということも明かされる。「“庭”は外にあるものだと思って。でも絵コンテを見て『あれ、家から出ない!」って(笑)。最初はもうちょっとガチャガチャした音楽だったんですけど、そこから調整してくなかで、ちょっとSFな、無機質な雰囲気になりました」と解説する。また最初のタイトルから庭が大きな軸となる物語だと思ったそうで、サウンドトラックの曲名に影響しているとも話した。

ここからはサウンドトラックに収録された各楽曲について深く掘っていくことに。上白石が「後半、すごい怖い感じのナンバーありますよね。ちょっと思い出すと怖くなります」と言うと、高木は「監督のスタジオ地図さんに行くとき、中央線の電車に乗ってると『ザーッ、ザーッ』っていう(車内の)音のピッチがだんだん上がっていくんですよ。それが曲とそっくりなんで、一回ヘッドホンしながら乗って聴いてほしいです」と呼びかけた。

中盤には高木がピアノで、サウンドトラックに収録された楽曲を披露する一幕も。上白石がお気に入りだという「Inner Garden」と、司会が印象に残っているという「Rainy Steps」を演奏する。細田は上白石がサウンドトラックをよく聴いているという「おおかみこどもの雨と雪」の劇中曲をリクエスト。その中から上白石が「産声」の演奏をお願いすると、高木はピアノを弾きながら歌い、会場からは大きな拍手が起こった。

最後に上白石は「私自身も贅沢な時間を過ごさせていただいて、それを皆さんと共有できてよかった」と挨拶。高木は「細田さんの映画は観るたびにグッとくるポイントが変わって、一筋縄ではいかない。僕も何度も観に行って、4回目あたりに『こういう映画だったのか!」って気付くんです。いろんな見方ができるので、ぜひそれを楽しみに足を運んでくだされば」とアピールする。細田は「高木さんといい、萌歌ちゃんといい、すごい才能、表現力の豊かな人たちと映画を作れるというのは幸せで、それがもうすぐ公開されるというので誇らしいような気持ちです」と述べ、イベントは幕を閉じた。

(c)2018 スタジオ地図