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メディア芸術祭作品展は明日から、池辺葵「ねぇ、ママ」や「ルーのうた」原画ずらり

「第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」の内覧会が、明日6月13日から24日まで東京・国立新美術館ほかにて開催される。それに先がけ、本日6月12日には内覧会が行われた。

池辺葵の「ねぇ、ママ」が大賞、伊図透「銃座のウルナ」、高浜寛「ニュクスの角灯」、上野顕太郎「夜の眼は千でございます」、山田胡瓜「AIの遺電子」の4作が優秀賞、久野遥子「甘木唯子のツノと愛」、増村十七「バクちゃん」、板垣巴留「BEASTARS」の3作が新人賞に選出されたマンガ部門。内覧会では上野、高浜、久野が取材に応じた。

上野は「ギャグマンガが華やかな席で注目を浴びることはなかなかない」とこぼし、「ストーリーマンガは長いし目立つことが多いので、ギャグマンガはギャグマンガとしての賞を設立していただければといつも思ってたんです。私が(ギャグマンガ家を)代表するわけではないんですけど、ギャグマンガを愛するものとして、ベテランや今後に続く新人たちにもスポットを当てていただければ」とコメント。また「担当さんとか編集部の方には、こんな地味なギャグマンガを続けさせてもらい本当ありがたいと思ってます」と感謝を述べる。

第17回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門では、短編アニメ「Airy Me」でアニメーターとして新人賞を獲得していた久野。「普段はアニメーションの仕事をやっていて、本意気でマンガを描ける時間が少なかったので、このような賞をいただけてすごく恐縮です」と挨拶する。高浜は「私の作品は明治の初期、九州の長崎にある当時は最先端のものを扱っている変わったお店を舞台にしたストーリーです。前半は長崎、後半は舞台を変えるのですが、ちょうど今4巻目でパリに移ったところです、これからもよろしくお願いします」とにこやかに語った。

内覧会にはアニメーション部門の受賞者として、「この世界の片隅に」の片渕須直監督も参加。「我々は街をただ描いたのではなく、“そこにあった街”を描きました」と述べ、その街に関わった人々の思いを大切にしながら映画を作ったと語る。また「夜明け告げるルーのうた」のプロデューサー・岡安由夏氏は、「制作を開始した当初、湯浅(政明)監督のこれまでの作品よりも柔らかいタッチを取り入れたいと思い、少女マンガを手がけているねむ(ようこ)先生にキャラクター原案を依頼しました」とコメント。また実際に制作が進むと予想以上によい化学反応が起きたと述べ、髪型が水のジェルのようになっており、その中で魚を飼っているというルーのキャラクタービジュアルを「このアイデアは自分からは決して生まれてこないものだった」と湯浅が語っていると明かした。

受賞作品はアート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門を4つのゾーンに分けて展示。「ねぇ、ママ」のコーナーには、単行本収録作品から「きらきらと雨」「夕焼けカーニバル」の原画などが飾られる。「夜の眼は千でございます」のゾーンには上野自作のパペット人形、「ニュクスの角灯」のゾーンには作中に登場するパウダーケースなどの現物が並ぶ。

アニメーション部門の展示コーナーには、「この世界の片隅に」の設定資料がずらり。「夜明け告げるルーのうた」のコーナーにはねむようこによる設定画、「舟を編む」のコーナーには来場者たちが手に取れるように絵コンテが展示された。