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日本から世界へ“評価”を提示する、新たなアニメアワードの展望とは 関係者ら語る

「アニメーション特別シンポジウム~2027年 新たなアニメアワードのスタートに向けて~」が、本日10月30日に「TIFFCOM 2026」の一環で開催された。このシンポジウムは本日から11月2日にかけて行われる「TOKYO ANIME NEXT」の主催によるもの。日本動画協会理事でA-1 Pictures代表取締役執行役員社長・清水暁氏、「時をかける少女」「サマーウォーズ」などのプロデューサーとして知られる齋藤優一郎氏、東宝のアニメ事業室長兼企画グループリーダーである齋藤雅哉氏がスピーカーとなり、モデレーターに「東京国際映画祭」アニメーション部門プログラミングアドバイザーの藤津亮太氏を迎えて、2027年の設立が予定されている新たなアニメアワードについて、公式発表に先がけて展望を語った。

クリエイターや1つひとつの仕事によりスポットを当てたい

今年13年の歴史に幕を下ろした、日本動画協会およびTAAF実行委員会主催の「東京アニメアワードフェスティバル」。その一方で6月には「TOKYO ANIME NEXT」の開催発表とともに、2027年に新たな国際アニメイベントがローンチされることが予告されており、その構想は11月2日の「TOKYO ANIME NEXT」メインイベントのフィナーレで発表される。これに先がけて行われた本日のシンポジウムには、新アワードの中心になる日本動画協会から清水氏、参画企業である東宝の齋藤雅哉氏が登壇。米アカデミー会員でもある齋藤優一郎氏は、国際映画祭やアワードへの知見を持つ立場として参加した。

まず清水氏は新アワード開催の経緯について、「東京アニメアワードフェスティバル」のリニューアルを日本動画協会を中心に検討する中で、新アワードという案が出てきたと説明。「スタジオの経営者たちと話す中で、よりクリエイターや現場の熱量にスポットを当てるアワードがあったほうがいいという話は頻繁にありました」と、作り手にスポットを当てたいという思いを動機の1つに挙げる。齋藤雅哉氏もその思いに同意し、「作り手の思いや1つひとつの仕事にすごく価値があるということを、わかりやすく、エンタテインメントとして視聴者に届けられるようなアワードにしたい。視聴者の方のアニメの楽しみ方が変わる一助になれば」と現時点での展望を述べた。

アジア発の美意識・価値観を持ったアワードに期待

アワードを開催することで結果的に、作り手やスタジオに対する1つの基準ができるだろうと語る清水氏。その選考基準については、現時点では話せる段階にないと前置きしつつ、「日本の基準で日本のアニメーションの価値を決めるというのが、1つキーワードかなと思っています。実写とも、ディズニーやピクサーとも違う、日本固有のアニメーションの物差しで賞を決めていく」と触れる。一方で、齋藤優一郎氏からは新アワードに期待するものとして「アジア発の美意識・価値観を持ったアワード」という意見が。「あくまで個人的な感覚ですが、世界の映画祭・アワードには大きく2つの潮流がある気がしています。1つはヨーロッパ、西洋美術の体系の中で生まれた芸術、そういう価値観や美意識でできたもの。もう1つはアメリカを中心に、ワールドワイドで規模感もマーケットも大きい中で生まれた美意識・価値観のもの」と持論を述べ、「その中で清水さんが“日本発”と言っているのはすごくいい。日本のアニメを中心に、アジアという塊の中でのものづくりや文化の発信を担えるものになっていくと、新しい未来が開いていくんじゃないか」と期待を寄せた。

「日本発、アジア発のアニメアワードを作ることへの使命感を改めて感じました」と齋藤優一郎氏の激励を受け取った清水氏。海外向けの配信ビジネスが中心になり、それによってジャンルが固定化されることへの危惧にも触れつつ、「日本のアニメの正しい文脈を世界に対して提示していく、独自の技術の見方を翻訳して発信していくことが、世界に対して果たすべき役割。僕は日本のアニメのいいところは多様なジャンルがあるところで、それを未来につなげていかなきゃいけないと思っています」と実感を込めて語った。

世界に向けて最適化された形での発信を

東宝の齋藤雅哉氏は、スタジオやクリエイターとはまた異なる“製作”の立場から、アワードへの意気込みを述べる。「日本のエンタテインメントの中で、最も世界に向けてローカライズされた形で発信されているのがアニメ。海外のアニメファンの皆さんは、日本のユーザーがどのように楽しまれているのかというところまで理解していただいて、同じように楽しんでいただく方が多いんです。世界各国の方に向けてちゃんと最適化された形で発信していくのが我々の役割だと思いますし、このアワードにおいても多言語化で対応していくことで、どう評価されているのかが直接的に伝わる形で発信していきたい」とグローバルに広げていくことへの意欲を伝えた。

また齋藤雅哉氏は「企画を立ち上げるときは、共感性と新規性の両方がないとヒットは生まれないという話をよくしています。このアワードでも、どのクリエイターを評価するのか、業界内での共感性と、未来に向けてこの作り手を評価していくべきだという新規性、そんなところを意識しながらアワードを重ね、グローバルに発信できるようになれば」と未来への展望を語る。最後に清水氏は、「将来アニメ業界を目指す人が、このアワードで賞を獲りたいと思ってくれる。アニメ業界がなりたい職業1位になる。そんな未来が描けるようなアニメアワードになったらいいなと思います」と結んだ。