「映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密」のスタッフトーク付き応援上映が本日10月15日に東京・新宿バルト9で開催された。上映後のスタッフトークには上田華子監督、脚本の成田良美、東映アニメーションの中川真緒プロデューサー、ABCアニメーションの多田香奈子プロデューサーが登壇した。
これだからプリキュアはやめられない!
9月18日に公開され、10月14日までの興行収入が12.2億円、観客動員数が95.8万人を突破している「映画名探偵プリキュア!」。10月2日からは「プリキュア」シリーズ初となる4DX上映も行われている。本日は全国47都道府県、53劇場で発声OKの応援上映が開催され、熱気が冷めやらぬ会場に上田監督らが登壇。スタッフ陣にも大きな歓声が送られ、「名探偵プリキュア!」「大好きー!」といったコール&レスポンスも楽しむなど、大盛り上がりの中でトークが始まった。
映画の反響を聞かれた上田監督は、「高校時代の恩師がお子さんとプリキュアを見に行かれて、クレジットに『上田華子』とあるのを見て、友達づてで連絡をくれたんです。高校の卒業式で、先生への寄せ書きに『テレビや映画のスタッフクレジットに名前を載せるので、見守っていてください』と書いていたので、『夢叶えたんだね』ってメッセージが来ました」と感動的なエピソードを披露。多田プロデューサーは「知り合いの方がお母様とお子様とで見に行ってくれて、お写真と長文のお手紙をいただいたんです。お母様にもこんなに刺さったんだ、これだからプリキュアはやめられないなあ!って(笑)。めちゃめちゃうれしかったです」と感激した様子で語った。
こだわりのシーンについての話題では、上田監督がアンサーが巨大なダメダメの体内に入るシーンを挙げ、「もっともっときれいにしたいと美術さんとも撮影さんともすごくラリーをして、作画にも自分のほうで手を入れました」と明かす。成田は「一番こだわったのは、かりんちゃんの気持ちの流れ。何に対して落ち込んで、どういう言葉をかけられて立ち上がって踏み出すようになるのか」と話した。中川プロデューサーはお気に入りのシーンとして「パワーアップフォームになったあとの挿入歌が流れてくるところ。編集の段階で、セリフが入っていないコンテ撮と挿入歌だけで涙を流すくらい好きなシーンです」と、挿入歌「First Step」への思いを語った。
多田プロデューサーがこだわった「49点」
後半は事前にSNSで募集した質問に回答していく。まずは、かりんの名前が決まった経緯についての質問。成田が「最初は単純に呼びやすくてかわいい女の子の名前をいくつか候補を挙げて、監督に打ち合わせで選んでもらいました」と答えると、上田監督は「この映画にはお花がいっぱい出てくるんですが、逐一、花言葉を調べて(画面に)置いています。かりんちゃんの名前も、『努力』という花言葉が人物像にぴったりで決めました」と続ける。また最初期には名前が“こはる”であったという裏話も明かされた。続いて、映画で描かれなかった案やシーンが知りたいというリクエストに、中川プロデューサーが「最初は名探偵ということで、クイズパートがある稿もありました」と回答。また多田プロデューサーが「尺の問題で描ききれなかったのは、かりんちゃんにどういうことがあったのか。時間があればもっと描けたかなと」と話すと、成田は「あんまり描くと暗くなるという懸念もあったので、結果よかったと思います」と振り返った。
「かりんちゃんにかなり感情移入していた」と語る多田プロデューサー。それを表すエピソードとして、劇中で描かれるかりんのテストの点数への多田プロデューサーのこだわりぶりが4人から明かされる。上田監督の絵コンテでは「赤点のほうがいいかな」と29点だったそうだが、多田プロデューサーは「監督のコンテは素晴らしくて何も言うことないんですが、29点だけ、ちょっと待って!と(笑)。29点が悪いということではなく、かりんちゃんはいつもすごく努力をしているので、62点とか70点台とか、100点いかないところで苦しんでいるのも考えたんですが、彼女はまだ努力の途中である、というところでいろいろ悩んだ結果、49点を提案させていただきました」と熱弁した。
また、かりんと出会う前のアランの境遇についての設定が知りたいという声も。成田は「ウソノワールは人間とうまくいかずに人間を攻撃するけれど、アランはかりんちゃんと出会ったおかげでそうならずに済んだ、というような感じで考えたキャラクターです」と明かす。また上田監督は「(かりんと出会ったときに)アランが妖精の姿だったのは、人間の姿だと隠れづらいからで、誰にも迷惑かけないように隅っこにいた。そのときに見つけてもらえて能力を肯定してもらえたから、普段かりんちゃんの前では妖精の姿である、というのは自分の中ではありました」とコメントした。さらに「今作において大事にしたこと」という質問には、上田監督が映像面について「心の謎を解き明かすというところで、心の変化を表情で見せるために、キャラクターの顔をとにかく見せるというのを大事にしました」と振り返った。
プリキュアに恩返しをしたかったのかもしれない
最後の挨拶でも、4人それぞれの熱い思いがあふれ出す。トップバッターの多田プロデューサーは「1人でもいいから、心が楽になる人がいたらいいなという思いで作らせていただきました。かりんちゃんのように悩んでいる人がいるとしたら、これだけは大事にしてほしいのは、今の自分を絶対に否定しないでほしいということです。かりんちゃんは誰かのために生きて、絶対に諦めないという、プリキュアの精神性をすごく持っている子。そしてそれは今の時代、すごく生きづらいと思うんです」「誰かのために生きて、諦めずに前に進む人は、すごく弱いけどすごく強くて、本当にプリキュアなんです。かりんちゃんみたいに悩む人は、強くて、弱くて、でも優しい自分を、これからも大切にしてほしいと思ってます。いつもそういうときにプリキュアがそばにいるので、これからもプリキュアを応援してください」と涙ながらに語った。
続いて中川プロデューサーは、「自分たちが届けたかったことや、こういうことが伝わったらいいなと思ったことが、そのまま伝わっている感じがして、初めての体験でうれしかったです。自分もいろいろな作品に救われながらここまでやってきて、ただ楽しかったなって消費するだけじゃなく、振り返って自分の人生をがんばりたくなるような作品になったらいいなと思っていたので、そういう感想を聞いて、すごくいいものを作れたのかなと思っています」と手ごたえを伝える。そして「名探偵とプリキュアの共通点は“諦めない”。私は(今作で『映画プリキュア』シリーズの歴代)1位を諦めないっていうのを掲げつつ、皆さんが喜ぶかなって思うものをいろいろと用意しているので、今後もお楽しみにしていただけたら」とほのめかし、拍手を集めた。そして成田は「長らくプリキュアをたくさん書いてきましたが、いつも心がけているのはキャラクターを愛してもらえるように、応援してもらえるように、という思いです。先ほど皆さんが熱烈に応援している声を聞いて、私もすごくパワーをもらいました。今後もプリキュアはたくさん生まれるでしょうし、私もお声がけがある限りは書き続けたいと思っているので、プリキュアの応援をよろしくお願いします」と呼びかけた。
最後は上田監督から、たっぷりとメッセージが送られた。第1作「ふたりはプリキュア」から「プリキュア」シリーズが大好きだったという上田監督は「公開されてからいろいろな感想を目にして、私はこの作品を通して『プリキュア』シリーズに恩返しをしたかったのかもしれない、と思いました」「私はどこか、かりんちゃんを通して、私が感じたプリキュアへの光や救われた気持ちを、映像として表現したかったのかもしれない」と語る。そして「かりんちゃんのように悩みを持っている子は隠すのがうまくて、なかなかSOSを出してくれない。今回はアランの力のおかげでレインとダメダメが出てきて気づくことができて、救うことができたというお話ですが、実際はそうもいかないのが現実なのかなと思います。この映画を観てくださって、アンサーの答えや、かりんちゃんの答えが、観てくださった方の背中を押して、普段見えてなかった人の心に気づいてくれるようになったらどんなにうれしいことかと思っております。心の機微はお子様には少し難しいかもしれないですが、普段生活する中で、遊ぶお友達の気持ちを少しでも考えるきっかけになってくれたらうれしいです」と作品に込めた思いを伝え、「たくさんの方たちの明日もいい日であるよう、心から願っております」と結び、大きな拍手の中スタッフトークを締めくくった。
「映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密」
公開中
スタッフ
原作:東堂いづみ
監督:上田華子
脚本:成田良美
音楽:深澤恵梨香/馬瀬みさき
キャラクターデザイン・総作画監督:宮本絵美子
美術監督:藤井里咲
色彩設計:竹澤聡
撮影監督:新井拓己
製作担当:直田宏隆
キャスト
千賀光莉、本渡楓、東山奈央、松岡美里、髙橋ミナミ、高森奈津美、南條愛乃、花井美春
長縄まりあ、種﨑敦美、松田颯水、上田麗奈
加藤英美里、羊宮妃那、梶裕貴
鬼頭明里、島﨑信長、内山昂輝
©2026 映画名探偵プリキュア!製作委員会