藤本タツキ原作による実写映画「ルックバック」の完成報告イベントが、本日8月20日に東京・丸の内ピカデリー ドルビーシネマ 別館で開催された。イベントには、藤野役の出口夏希、京本役の蒔田彩珠のほか、子供時代の藤野と京本を演じた七瀬ふうり、岡田六花、監督の是枝裕和が登壇した。
9月11日に公開される「ルックバック」は、2021年に少年ジャンプ+で公開された長編読み切りを原作とする、藤本作品初の実写映画。マンガに情熱を注ぐ2人の少女、藤野と京本の13年間の軌跡を描き出す。映画の撮影は、秋田県・にかほ市をメインに、2025年2月から各季節ごとに1年以上にわたって行われた。
映画の感想を問われると、出口は「私たちが観ていた景色がそのまま映し出されていて、自分が出ていることも忘れるくらい見入ってしまいました」と、率直な気持ちを述べる。蒔田は、「現場ではおふたり(七瀬・岡田)の演技を見られなかったんです。でもいざ始まったら『本当にあの(七瀬)ふうりちゃん?』ってくらいちゃんと役を演じていて。六花ちゃんが出てきたときも『かわいい!』ってなって。現場でがんばっていたのを知っていたからこその感動がありました」と、七瀬と岡田の演技を称賛した。
これを受け、七瀬は「自分の演技を見る機会があまりなく、最初は恥ずかしくて目を瞑っていたんですが、夏希ちゃんや彩珠ちゃんの演技を見て本当に感動しましたし、すごく勉強になりました。京ちゃん(岡田)もよかったよ!」とコメント。岡田はにかほ市の景色のうつくしさに触れながら、「何より皆さんの演技がとてつもなくお上手で。大人のおふたり(出口・蒔田)はかわいいし、きれいだし、神々しい。まぶしいです!」と続ける。そんな彼女たちの言葉に、出口と蒔田はうれしそうにほほえみ合った。
是枝監督には、“マンガを描くシーン”へのこだわりについて質問が飛ぶ。是枝監督は、「原作者の藤本さんにお会いした際、ベテランのアシスタントの方が描くペンの音、迷いのない勢いのある『シャッ』という音がすごくかっこいいという話が出たんです。それで音だなと。音の変化をちゃんと撮ることをまず考えて。1つの音が2人になり、音が変わり、1人になり、デジタルの音になり……という音の変化で成長を描くことをきちんとやりましょうと。そこが狙いでした」と説明した。
役に挑むにあたり、クランクイン前からマンガを描く練習に励んだという出口、蒔田、七瀬、岡田の4人。出口は、「とにかく手が痛い! (描く)音と、かっこいい線を描けるまでにすごく時間が掛かりました。とにかく描いて、自分たちで感覚を覚えるしかなかった。手にマメができるくらい練習して……。徹夜でやってそのまま撮影に行ったこともありました」と苦労をのぞかせた。蒔田も「ほかの作品の撮影の合間にも練習して。課題をたくさんもらって次までにやっていくのが大変でした。1枚描くのに1時間くらいかかって、それを1日8枚くらいやって、徹夜しないと間に合わないくらいでした」と、過酷な練習の日々を思い返した。
七瀬は、「全身やポーズを描くのが難しくて、バランスを考えながら描くのがすごく大変でした。この作品のおかげで絵を描くのにハマり出しました」と笑顔で語り、岡田も「背景を描いたことがなかったので毎日毎日描いて、家にスケッチブックが溜まって大変でしたが、この作品のおかげで絵を描くのが好きになって、今は美術部に入って背景や自然を描いています」と、作品をきっかけに生まれた変化について述べた。
イベント終盤では、原作にはなかった京本の下の名前“奏(かなで)”についても話がおよんだ。是枝監督は「実写化するうえで原作で省かれている部分をどうプラスするか提案していく中で、僕の記憶だと藤本さんから“奏”という名前がでたと思っていて。京本の描くマンガが音を連れてくるという形で、藤野のマンガとの違いを強調していく。描く音もとても大事になっていくことを踏まえたうえで、『奏でる』という文字を考えてくれたのかなと。藤本さんに聞くとどっちからかわからないようなんですけど。そんなふうにお互いに話し合う中で生まれた名前です」と裏話を披露した。
ここで藤本から寄せられた作品の感想コメントが代読された。感想を聞いた是枝監督は、「本当にうれしいですね。こだわって描いた部分を褒めていただけてホッとしました」と安堵した様子を見せる。出口も「世に出るまでは緊張と不安な日々なので、そう言っていただけただけで少しだけホッとしました」と言い、蒔田も「役者本人の仕草を取り入れて是枝監督っぽくなっているのを一度見てわかっていただけるのがすごくうれしいです」と胸をなで下ろした。なおコメントの全文は下記の通り。
藤本タツキ 鑑賞後コメント
漫画の実写映画化などで漫画のセリフや演技がそのまま実写になると、リアリティのないものになる事があると思います。
ルックバックの実写映画化ではそこを是枝監督映画特有の俳優が持つ所作やカメラの動きで、原作のテイストを崩さずに原作が持っていた雰囲気をリアリティを持って出す事でできていたのでとても嬉しかったです。
映画内での漫画のアナログ道具の使いっぷりや、ペンを入れる特有の気持ちのいい音、家の経年劣化具合や小道具が魅せる生活感は、そこに藤野と京本が本当に生きている証拠のように見えて映る度に感動していました。
原作は僕の漫画ですが、以上の点からしっかり是枝監督作品になっていたので初めて見る作品の様にとてもとても楽しめました!
ただ、地元にかほ市が出てくる場面ではどうしても当時を思い出してしまい、映画に集中できませんでした!
実写映画「ルックバック」
2026年9月11日(金)公開
スタッフ
原作:藤本タツキ「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:坂東祐大
撮影:上野千蔵
照明:西田まさちお
録音:冨田和彦
美術:小島伸介
衣装:伊藤佐智子
ヘアメイク監修:勇見勝彦
助監督:中山権正
スクリプター:田口良子
キャスティング:田端利江、山下葉子
VFXスーパーバイザー:上田倫人
ラインプロデューサー:村岡伸一郎
後援:秋田県にかほ市
企画・プロデューサー:小出大樹
配給:K2 Pictures
キャスト
藤野:出口夏希
京本:蒔田彩珠
藤野(子供時代):七瀬ふうり
京本(子供時代):岡田六花
藤野朱里:野呂佳代
藤野仁志:池田良
藤野恵:佐々木みゆ
真鍋:山田真歩
玉井:宮藤官九郎
前田:菅田将暉
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