ガイナックスが破産、40年の歴史に幕 カラーもコメント発表「残念でなりません」

アニメーション制作会社のガイナックスが、去る5月29日に東京地方裁判所に会社破産の申立を行い、受理されたことを公式サイトで明らかにした。またガイナックスの発表を受け、庵野秀明が代表取締役社長を務めるカラーがコメントを発表した。

1984年、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の制作を目的に設立されたガイナックス。庵野の監督作「トップをねらえ!」「新世紀エヴァンゲリオン」や、のちに独立しTRIGGERを立ち上げる今石洋之の監督作「天元突破グレンラガン」など、数々の人気作を世に送り出した。なお庵野は2006年にカラーを立ち上げ、翌2007年にガイナックスを退社。「新世紀エヴァンゲリオン」の著作権もカラーが保有している。

ガイナックスは経営状況について「2012年から見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営により、経済状態が悪化」していったと説明。2019年には当時の代表取締役が刑事事件で逮捕され、「多額の負債を抱える中、完全に運営能力を喪失」するに至ったという。その後はカラーによる支援のもと2020年に経営陣を刷新し、新体制下で作品の権利の確認やクリエイターへの権利保護、知的財産や資料の正常な管理や運用に取り組んできたものの、「前体制時に積みあがっていた高額負債解消には至りませんでした」と、破産に至った経緯を説明している。

カラーは近年のガイナックスとの関係について、「『エヴァンゲリオン』シリーズを中心とする関連作品への風評被害を防ぐため、KADOKAWA様、キングレコード株式会社様、株式会社トリガー様にご協力をお願いしまして、各社から取締役に就任して頂く形で経営陣を刷新し、ガイナックス社の内情を把握、アニメーション業界内のスタジオや作家、クリエイター様への未払いだけでも解消をし、知的財産や資料の散逸を防ごうと、各協力会社と共に動いて参りました」と説明。「多くの業界関係者への負債を少しでも解消するためにも、弊社からの支援を視野に検討を致しましたが、旧経営陣、前代表取締役の債務も保障せねばならないという理不尽な状況に繋がり、十全に返済を厚くする事が叶いませんでした」と述べ、「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」とコメントしている。なおガイナックス(GAINAX)の商標・称号に関しては、カラーが取得し管理を行うという。