「違国日記」新垣結衣、槙生の表情を思い浮かべ撮影に臨む「スイッチを入れてくれる」
ヤマシタトモコ原作による映画「違国日記」の完成披露上映会が、本日5月9日に東京・TOHOシネマズ日比谷で開催された。
6月7日より全国で公開される「違国日記」は、人見知りな小説家・高代槙生と交通事故で両親を亡くした15歳の姪・田汲朝の同居譚。この日のイベントには、槙生役の新垣結衣、朝役の早瀬憩をはじめ、夏帆、小宮山莉渚、監督の瀬田なつきが登壇した。
「原作から大好きな作品で思い入れがある」と話した新垣は、「同時に緊張もしていますけど、すごくうれしいです」と素直な思いを吐露しつつ、満席の客席を見回し「どういった反応があるのか楽しみです」と声を弾ませる。早瀬は「舞台挨拶だったり、お客さんと直接会うというのが初めてで……。さっきまで結衣さんにすがり付いていました」と緊張した様子。「実際どうですか?」と新垣から聞かれると、「優しいお客さんたちで、こんなに観てくれる人がいるのかと感動しています」と思いを伝えた。
撮影時の心境を問われた新垣は、「原作で描かれる槙生ちゃんの魅力をどうにか体に染み込ませて、映画に落とし込みたいと思っていました。撮影の前から、最後のクランクアップの瞬間までずっとどう表現するか考えていました」と明かす。加えて「『よーい』がかかるときに原作で描かれていた槙生ちゃんの表情を思い浮かべるようにしていました。そうするとスイッチを入れてくれるような気がして、本番でもスッとセリフが言えたような気がします」とアプローチを振り返った。
早瀬は自身の役どころを「素直で明るくて犬っぽくて、でも意外としっかりしている部分もある」と説明。一方で「そんな心にずっと孤独を抱えている子」とも表現し、「演じていて困難もありました」と撮影を振り返る。そんなときに声をかけてくれたのが瀬田監督だったそう。「私は朝と同じ15歳だったので、監督が『そのままでいてくれていいよ』と言ってくださったので、いい意味で肩の力を抜いて演じることができました」と感謝を伝えた。
槙生と朝を見守る槙生の友人・醍醐奈々役を演じた夏帆は「醍醐と会うと、槙生は10代の頃に戻ったようで、朝ちゃんとの会話とは違った面が見えるんです。だからこそ結衣ちゃんとどう関係を作るか考えました」と思い返す。今回始めてともに演技した新垣について、「昔からの親友であるかのように、フラットに受け入れてくれたので『これは大丈夫だ』と思って。結衣ちゃんに会うのを楽しみに現場に行っていました」と笑顔で語った。
瀬田監督は撮影現場での新垣と早瀬について「すごくいい距離感」と評し、「友人でも親子でもなく、共演者ではあるんですが、ライバルでもない。言葉にはしづらいんですけど……お互いにすごく大切に思っている面があって。この関係だから生まれるものが現場にあったような気がします」と自身から見た2人の関係に言及。新垣も「すごくナチュラルにその場にいることができました」と、早瀬との信頼関係を感じるエピソードを話す。そんな新垣から目線を送られた早瀬は、恐縮したように「はい!」と同意していた。
キャストが印象に残っているシーンを挙げる場面では、文化祭での朝の歌唱シーンと餃子をみんなで作るシーンに話題が集中。朝の親友・楢えみり役を演じた小宮山は「ずっと隣にいたので分かるんですけど、憩ちゃんがずっと歌の練習をしていたんです。本番で憩ちゃんが歌っているときには、『よかったね』って自分も安心するし、うれししい気持ちになって。これが親友なのかなと、その時に感じました」と早瀬との絆を感じるエピソードを披露した。
新垣は餃子のシーンを振り返り「朝と槙生の距離が縮まるとても大事なシーン。『とにかく楽しんでお願いします』と監督に言っていただいて。本当に楽しく美味しく餃子を食べた思い出深いシーンです」と笑顔を見せる。また朝と槙生が海辺で話すシーンについても言及し、「出演が発表されたときにコメントで、『見える世界が少しずつ広がっていく心地よさを感じてもらえたら』みたいなことを言ったんですが、このシーンがまさにそういうシーン。ぜひ皆さんに観ていただきたい」と、言葉に思いを込めた。
(c)2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会