「それでも、親を愛する子供たち」1巻が、本日5月9日に新潮社から発売された。「『子供を殺してください』という親たち」の押川剛が原作、鈴木マサカズが構成を手がけ、作画はうえのともやが担当している。
「それでも、親を愛する子供たち」は児童養護施設・サニーベル学園を舞台に、そこで暮らす子供たち1人ひとりの抱える問題を描いた物語。7歳の少女・御堂里香は母子家庭でネグレクトを受け、母親が薬物の使用で逮捕されたことをきっかけに施設へとやって来た。無邪気で明るい表情を浮かべる彼女だったが、ニンジンを前にした途端に態度が豹変。そこから痛ましい過去の出来事が描かれる。原作を担当する押川とスタッフは、同作の執筆に当たり児童養護施設を数年にわたって取材。単行本の巻末には、押川によるコラム「児童養護施設だより」も収録された。
なお押川・鈴木タッグによる「『子供を殺してください』という親たち」15巻も本日発売。Webマンガ誌のコミックバンチKaiでは5月10日までの期間限定で、同作が70話まで無料公開されている。
押川剛(原作)コメント
児童養護施設を舞台とする漫画を作ろうと思い立ったのは、園長「徳川一」のモデルとなる人物(児童養護施設の三代目)との出会いがきっかけだ。それから約5年をかけてリサーチと取材を進め、このたび、満を持しての出発となった。児童養護施設も今は小規模化が進み、地域に分散して拠点を構える流れにある。地域に住む方々の理解と助力がますます必要になる中で、この漫画がその一助になれるよう、誠心誠意取り組んでいく。
鈴木マサカズ(構成)コメント
押川氏から新企画は児童養護施設が舞台であると聞き、実際に施設へ取材にいかせていただいて、『「子供を殺してください」という親たち』と対となるタイトル『それでも、親を愛する子供たち』が頭に思い浮かぶのは自然の成り行きでした。原作は押川氏、自分はネーム構成という立場に身を置き、今作の作画は『子供を~』や『ケーキの切れない非行少年たち』のメインスタッフであるうえのくんにお願いをしました。
担当編集はチームをまとめるのに欠かせない存在である岩坂氏です。今回も万全の体制と自負しております。頑張ります。よろしくお願いいたします。
うえのともや(作画)コメント
自分の人生において初めての漫画連載となる作品として、今回この企画の話をいただきました。
いただいた話に喜びつつも企画の内容は「児童養護施設」やら「児童虐待」やら、自分の生活には無かった重い言葉ばかり。連載経験の無い自分に果たして務まるだろうかと不安もありましたが、たくさんの助けを頂戴しながら日々作画に奮闘しています。
とくに重視しているのは作中に登場する子供たちの表情。児童養護施設が舞台ということで、主人公に限らずこの作品にはそれぞれ辛い経験を耐え忍ぶたくさんの子供たちが登場します。
読者の中には現場で働く職員の方々や関係者、またはそういった子供たちの家族の方々も多くいることと思います。
ようやく第1巻の発売となりますが、この作品が本となり、より多くの方々に、嘘のない絵で子供たちの想いが届くことを願っています。