安彦良和、第7回井上靖記念文化賞の特別賞を受賞 5月に旭川市で講演会も

安彦良和

安彦良和が、第7回井上靖記念文化賞の特別賞を受賞した。

井上靖記念文化賞は、北海道・旭川ゆかりの作家である井上靖の業績と遺志を記念した文化賞。NPO法人旭川文学資料友の会・北海道新聞旭川支社・旭川市教育委員会が実行委員会を構成し、優れた文化活動を通じて継続的に地域や社会への貢献を行っている人物を表彰している。

第7回となる今回は、写真家の石内都が井上靖記念文化賞を、安彦が井上靖記念文化賞特別賞を受賞。安彦への贈賞理として、「日本を代表する漫画家、アニメ製作者として知られている」こと、またそこに留まらず「『虹色のトロツキー』で近代日本の闇を、『ヤマトタケル』や『ナムジ』では古代、あるいは神代の日本を描き、マンガの世界に新しい領土を切り開いたパイオニアである」ことが挙げられている。

5月18日に、北海道・アートホテル旭川で贈呈式が開催される。また同日、石内と安彦による受賞記念講演会が実施決定。参加希望者は旭川市の公式サイトをチェックして申し込もう。先着順で定員は100人。

安彦は1947年、北海道紋別郡遠軽町生まれのマンガ家・アニメーター・アニメ監督。1970年に虫プロダクションに入社し、1973年からはフリーのアニメ作家として活躍した。「勇者ライディーン」など多くのアニメに携わり、「機動戦士ガンダム」ではキャラクターデザインと作画監督を務めた。1979年に「アリオン」でマンガ家デビュー。古代日本に題材をとった「ナムジ」「神武」「ヤマトタケル」、明治以降の近現代史の裏面を描いた「虹色のトロツキー」「王道の狗」、西洋が舞台の「ジャンヌ」「イエス」「我が名はネロ」など著書多数。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は累計1000万部を超えるヒットとなった。同作は2015年から2018年にかけて、安彦が総監督となり全6話でアニメ化。さらに2022年には監督を務めた劇場アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が公開された。現在は「乾と巽 ―ザバイカル戦記―」を月刊アフタヌーン(講談社)にて連載中。

安彦良和への贈賞の理

安彦良和氏は日本を代表する漫画家、アニメ製作者として知られている。『機動戦士ガンダム』の名を聞いたことのない日本人は少ないだろう。だが、氏の功績はそこに留まらない。『虹色のトロツキー』で近代日本の闇を、『ヤマトタケル』や『ナムジ』では古代、あるいは神代の日本を描き、マンガの世界に新しい領土を切り開いたパイオニアである。

石内都への贈賞の理

石内都氏は1970年代末に、自らが育った横須賀の写真シリーズによって脚光を浴びて以来、記憶をテーマにした独自の表現の可能性を切り開いてきた。母が身に着けていた衣装を撮った「Mother’s」のシリーズや広島の原爆記念館の遺品をモチーフにしたシリーズは、身体的、生理的な感覚と鋭敏な批評精神を一体化させた世界として高く評価されている。