「PSYCHO-PASS」展 関智一は現実がアニメの世界に近づいたと危機感、色相診断結果は
アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの放送10周年を記念した展覧会「PSYCHO-PASS サイコパス 10周年記念展覧会 CHROMESTHESIA SCOPE(クロメスタジアスコープ)」が本日2月16日から東京・松坂屋上野店6階で開催されている。本記事では、開場前に行われたメディア向け内覧会と、内覧会に出席した狡噛慎也役・関智一、宜野座伸元役・野島健児のインタビューの様子をレポートする。
2012年10月に放送を開始し、2022年に10周年を迎えた「PSYCHO-PASS サイコパス」。物語を追体験できる展覧会では、来場者はまずエントランスで簡易色相診断を受ける。記者もチェックしたところ、色相はFOREST CLEAR、犯罪係数は48.2と善良な市民であることが証明できた。なお周囲にもなかなか犯罪係数が100を超える者はおらず、危険人物は希少な存在であることが伺える。
エントランスを抜けるとコミッサ太郎が来場者をお出迎え。背後はアニメの舞台となった景色のパネルで彩られている。付近の壁面には、物語の理解度が深まる世界観や用語、組織、武器を解説する資料が展示された。さらに通路を進むとキャラクターのイラストやプロフィールがデザインされたパネルがずらりと並ぶ。ディスプレイでは映像も流れ、それぞれのキャラクターの活躍シーンが楽しめた。
ここで黒いカーテンに隠された小部屋でCerevo製ドミネーターの演習射撃を行う「ドミネーター体験」が登場。ドミネーターを握ると劇中でおなじみのアナウンスが流れ、ドミネーターが変形する。目標に向かって引き金を引くと、演習は終了した。「ドミネーター体験」のそばにはキャラクターを大きくプリントしたパネルがあり、記念撮影用のドミネーターを持って写真を撮ることも可能だ。
「立ち入り禁止」と書かれたタペストリーをくぐると、狡噛と槙島聖護の対峙シーンを再現したマネキンの展示が登場。場内には同シーンのセリフ音声も流れている。その横には劇中に登場したヘルメットも展示された。ヘルメットが置かれた机の引き出しには、常守朱らのデータが入れられている。またこのエリアには雑賀譲二の部屋のような一角も設けられ、壁面にはキャラクターたちのセリフの数々が映し出されていた。
続く通路には、劇中の事件や主な出来事を記したパネルが時系列順に並べられ、物語を振り返ることができる。詳しい解説や場面カットに加え、多数設置されたモニターでの映像展示もあり、それぞれのシーンの記憶が鮮明に蘇る。さらに「シビュラシステム実物大立像」もお目見え。常守にシビュラシステムの正体を明かした際の音声とともに、じっくりと造作物を鑑賞できる。
最後のエリアに入ると「僕を忘れないで」とメッセージカードが添えられた彼岸花が現れた。狡噛と常守が互いに送り合った手紙も並べて置かれている。劇場版の解説パネルを最後に展示は終了。出口にも簡易色相診断エントランスゲートが設けられ、入場時との色相の変化を確認することができる。
内覧会後は関と野島が登場するインタビューが実施された。関の色相診断の結果は良好とのことで「安定した精神状態でこの展覧会の初日を迎えられた」とにっこり。展示の感想を聞かれると「世界観に入ったような錯覚を覚えられる」とコメントした。続いて「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズに対する思いを関が「特別な作品の1つ」と述べると、大きく頷く野島。オーディションを受けた頃は展覧会の開催を予想していなかったと感慨深げな様子を見せ、「自分のことのように誇らしいです」と笑顔を見せた。
和やかなムードのトーク中には、関が「私や野島くんも展示してほしい」とおどけて蝋人形のようなポーズを取り笑いを誘う。さらに会場で販売されるグッズのプレゼンも始まり、関は公安局刑事課のロゴが型押しされたハードカバーノートを紹介。野島はシビュラシステムがモチーフのバッグをおすすめしながら「中におにぎりを入れて動物園に行きたいと思います」と商品を持ってポーズを決める。関は「シビュラバッグ」がクリア素材のバッグに脳を模した巾着を入れる二重構造のデザインであることに触れ、展覧会が各地に巡回する際に「替えの脳みそを販売してほしい」と提案すると、会場には笑いが起こった。
自身を「永遠のお金持ち小学生の印象が強まっている」と表現し、苦笑いする関。「唯一、二(枚目)の線をギリギリ保たせてくれている」と狡噛の配役に感謝を述べた。またアニメ放送当時は「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観が「絵空事のような感じ」と思っていたと話す関。昨今の科学技術の進歩を例に挙げ「このまま『PSYCHO-PASS サイコパス』のような世界に近付いていっちゃうんだとすると……」と言い淀む。劇中の社会問題が現実になることを匂わせ危機感を伝える。野島も同意しながら「自分自身が人間としてどこか鈍感になってしまうような怖さもはらんでる」と警鐘を鳴らした。
展覧会で数々のシーンを追体験し、改めて印象に残った場面について話す2人。野島は宜野座と征陸智己の別れを挙げ、動画が流れる展覧会では「ついつい長く足を止めてしまう」と思い入れを表現した。しばらく悩む様子を見せたのは関。狡噛と常守の手紙が印象的だったと話し始め、「手紙ならではの、素直に言葉を交わせるところが印象に残っている」と振り返った。
長く演じているキャラクターの演技についても語られた。関は狡噛の感覚が現代人に近いと述べ「何かに判断されるのではなく、自分で選択していくべきと考えて動いている人だと思いましたので、そこはすごいやりやすかった」と述べる。宜野座の変化を感じたというのは野島。シビュラシステム下の正義感は現実の正義感と大きく異なることに触れ、未来の正義感に忠実な宜野座の心境を理解し、演じるのに当初は苦労したのだと言う。経験や周囲の影響から変化した宜野座について「現代の僕らにも近いものの考え方をしている部分があるので、今の僕自身と気持ちが分かち合えるというか、素直に気持ちを共有できる部分まで来ている」と思いが近づいたことを伝えた。
「PSYCHO-PASS サイコパス 10周年記念展覧会 CHROMESTHESIA SCOPE(クロメスタジアスコープ)」の東京会場は3月6日まで開催。東京での会期終了後は3月20日から4月15日の期間、大阪・大丸ミュージアム 大丸梅田店15階に巡回を行う。
「PSYCHO-PASS サイコパス 10周年記念展覧会 CHROMESTHESIA SCOPE」
東京会場
期間:2024年2月16日 (金)~3月6日(水)※会期中無休
時間:10:00~18:00(19:00閉場)※最終日の入場は17:00まで、18:00閉場。
会場:東京都 松坂屋上野店 6階 催事場
大阪会場
期間:2024年3月20日(水)~4月15日(月)
会場:大阪府 大丸ミュージアム<梅田> 大丸梅田店15階
(c)PSYCHO-PASS Committee