劇場アニメ「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」に登場するラクス・クラインの生誕記念舞台挨拶が、本日2月4日に東京・新宿ピカデリーにて開催された。イベントには、ラクス・クライン役の田中理恵をはじめ、ラクスと関係の深いキラ・ヤマト役の保志総一朗、オルフェ・ラム・タオ役の下野紘が登壇。コミックナタリーでは、11時15分の回上映後に行われたイベントの模様をお届けする。
ラクスを思わせるピンクのドレスを着た田中を先頭に、3人が現れると、会場は大きな拍手に包まれる。上映後の舞台挨拶ということもあり、やっと一部ネタバレありで話せると、保志が安堵。さらに、3人の並びを見て「ラクスを奪い合う構図みたいなこと?」と作中でのラクス、キラ、オルフェの関係に触れて保志がコメントすると、下野も「今日は平和にいきましょう。また会う機会があったらそのときは殴り合いのケンカです(笑)」と応じて笑わせた。
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」ではラクスとキラの仲が急接近することもあり、田中が「結婚するんじゃないですか?」と2人の今後を大胆に予想。ラクスはまだ若いと言う保志に対し、田中が「もう結婚できる年齢ですよね」と返すと、「プレッシャーが……」と保志がタジタジに。また保志は2人の恋路をもう少し見守りたいと思っていたことを明かしながら、「女性のほうがはっきりしてほしいんだなと思いました」とコメント。田中もこれに同意し、保志は「男性って、なんとなくいっちゃうけど、女性は、答えをちゃんと求めているのかな」と、互いの思いを口にしたラクスとキラを思いやった。
下野は「見ちゃいけない場面を見すぎ」と、作中のキラとラクスのすれ違いに注目。2人が見たくない場面にばかり出くわし、その場を離れてしまうことについて、「行けって!」と熱く語り、さらにオルフェの気持ちになって「来いよ!」と絶叫する。一方で、下野の魂の叫びを聞いた保志は「確かにオルフェがいなかったらあのままの関係が続いていたかもしれない」と、キラのラクスの関係を進めさせた立役者がオルフェだと話す。これを聞いた下野も悪い気はしなかったようで、「2人が進展したのはオルフェのおかげだと言いたい」と満足そうな笑顔を浮かべて、観客の笑いを誘った。
また下野は、オルフェもキラとラクスによって成長したと感じていることを明かす。2人に出会わなかったオルフェについて、「決められたレールを走っていくだけだったんだろうな」と思いを馳せ、「オルフェにとってのアクシデント、壁みたいなものが、今回のラクスとキラによってもたらされたからこそ、あまりよくは見えないかもしれないけど、人として成長できた」と考えを伝えた。
「必要だから愛しているのではありません。愛しているから必要なのです」という劇中でも印象的なラクスのセリフについて、田中は「アニメーションにかかわらず、自分が言われたらグッとくるなというセリフでした」と話し、アフレコでもどうこの言葉を伝えるか努力したことを明かす。このシーンについて下野は「なんでも自分の言っていることが正しいとオルフェは思っていたはずなので、相当ショックだったろうなと思う」と、オルフェにとっても意味のあるシーンになったと話した。またその後のオルフェの行動について「やりすぎだと思いましたよ」と下野が述べると、田中も「どうして!?」と衝撃を受けたことを振り返る。さらに田中がオルフェの強引な行動に詰め寄ると、下野はしどろもどろに。そこに保志も「オルフェ何してくれるんだ!」と加勢し、田中と保志が下野を責め立て、下野が言い訳を繰り返す姿を、観客が笑いながら眺める時間がしばらく続いた。
イベント終盤には福田己津央監督からの手紙がMCに代読される場面も。「理恵ちゃんの声と芝居がキャラクターに深みと感情の豊かさを与えてくれて、ラクスがファンの人たちにとっても特別なキャラクターになったと思います」という田中への感謝の言葉から始まった手紙では、TVアニメシリーズでは田中が当初、フレイ役でオーディションを受けて、最後まで候補になっていたことや、脚本を務めた両澤千晶の「ラクスを演じられる人はフレイができる人だけ」という田中を推す声によって、フレイと同じく表裏が両極端な芝居を要求されることが多かった、ラクス役に決まったことなどが伝えられる。また若くして「ガンダム」シリーズのヒロインを演じる田中のプレッシャーを両澤が気にしていたこと、その分、目にかけていたこと、さらに「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」では田中に合わせたミーアというキャラを両澤が作ったことなど、福田監督の妻でもある亡き両澤の、田中への思いが明かされる。
また「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」では、ラストへつながる展開に両澤が悩んでいたことを伝え、ミーアの死がラクスの起爆剤になり、最終局面を作り出したと、「ラクスの成長物語」という今回の映画の発端にもなったミーアというキャラクターへの思いを語った。最後には「本当にこの20年は出会いと別れの連続でした。私たちは数々の人と出会い、ともに笑顔を分かち合いました。友人、仲間、恋人、夫婦、家族。私たちの人生に彩りを添え、意味を与えてくれる存在。しかし、出会いは別れとも結びついています。私たちは愛しい人を失い、涙しました。その痛みは心に深く刻まれ、喪失感を与え、大切なものの尊さを思い出させてくれました。出会いと別れは私たちの人生の旅路の一部であり、その重みが私たちを成長させてくれました。これからも新しい出会いと別れは訪れるでしょうが、それは私たちの命の豊かな一部であり、その中で新たな感動と成長を見つけていくでしょう。泣き、笑い、出会いと別れ。たとえ『ガンダムSEED』が終わったとしても、私たちの物語はこれからも進んでいきます。ラクスはあなたのおかげで魅力的で記憶に残る存在になりました。その貢献に心から感謝します」と言葉を贈った。
田中が涙を流す中、ここで福田監督がサプライズ登壇。明日誕生日を迎えるラクスとオルフェを演じる2人に花束を手渡した。田中は「こみ上げるものがたくさんあった」と言い、「両澤さんとのこともアフレコのときに思い浮かんで、悔いが残らないようにしっかりやろうと思っていました。本当にありがとうございます」と監督に感謝を伝えた。
また福田監督はフォトセッションが始まるまで、観客と掛け合うなど大サービス。ラクスの誕生日を祝うハロやトリィ、ブルーが乗ったケーキを前に最後は登壇者全員が笑顔に。観客からの盛大な「ハッピーバースデー」の掛け声が田中に贈られ、イベントを締めくくった。
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」
公開中
スタッフ
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田智
色彩設計:長尾朱美
美術監督:池田繁美、丸山由紀子
CGディレクター:佐藤光裕、櫛田健介、藤江智洋
モニターワークス:田村あず紗、影山慈郎
撮影監督:葛山剛士、豊岡茂紀
編集:野尻由紀子
音響監督:藤野貞義
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
キャスト
キラ・ヤマト:保志総一朗
ラクス・クライン:田中理恵
アスラン・ザラ:石田彰
カガリ・ユラ・アスハ:森なな子
シン・アスカ:鈴村健一
ルナマリア・ホーク:坂本真綾
メイリン・ホーク:折笠富美子
マリュー・ラミアス:三石琴乃
ムウ・ラ・フラガ:子安武人
イザーク・ジュール:関智一
ディアッカ・エルスマン:笹沼晃
アグネス・ギーベンラート:桑島法子
トーヤ・マシマ:佐倉綾音
アレクセレイ・コノエ:大塚芳忠
アルバート・ハインライン:福山潤
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子
ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠大典
マーズ・シメオン:諏訪部順一
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり
オルフェ・ラム・タオ:下野紘
シュラ・サーペンタイン:中村悠一
イングリット・トラドール:上坂すみれ
リデラード・トラドール:福圓美里
ダニエル・ハルパー:松岡禎丞
リュー・シェンチアン:利根健太朗
グリフィン・アルバレスト:森崎ウィン
(c)創通・サンライズ