「ガンダムSEED FREEDOM」は愛と必要性の物語、石田彰は「何に乗る?」と聞かれ慌てる
劇場アニメ「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」の公開記念舞台挨拶が、本日1月28日に開催され、保志総一朗、田中理恵、石田彰、上坂すみれ、森崎ウィンらキャストと、主題歌アーティストの西川貴教、監督の福田己津央が登壇した。コミックナタリーでは15時の回の模様をお届けする。
1月26日に公開されたばかりの「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」だが、公開3日目にして、動員50万人、興行収入7億7000万円突破と、好調のスタート。フリーダムガンダムの立像が中国で建てられるなど、世界でも人気の作品だが、この日世界56の国と地域で上映されることも発表された。またイベントには、約1万2000件の応募があったことがMCから伝えられると、約20年ぶりの新作を心待ちにしていたファンの多さに会場からもどよめきが起こった。
最初の挨拶では、アスラン・ザラ役の石田が「会場にお越しの皆さん、ライブビューイングをご覧の皆さん、本当にお待たせいたしました。いよいよです。盛り上がっていきましょう」とファンの声を代弁。西川も「皆さんと今日が迎えられて、本当にうれしい気持ちです」と笑顔を見せ、SNSでネタバレをしないようになんとか面白さを伝えようとするファンの姿に「素晴らしいファンの皆さんに支えられて、今があるんだと思っております」と感謝を述べた。
福田監督は、「アスラン、シン、キラ、彼らの未来はどうなっていくのか本当に、いろいろと考えました」と発表から公開までの18年間の思いを伝える。さらに「劇場にいらっしゃってくださるお客さんの喜んだ顔を見たくて、それを本当に第1に考えて作業してきました。売れることよりも皆さんの笑顔が大事なんです」と会場に詰めかけたファンにメッセージを贈った。
また、この日は登壇が叶わなかったシン・アスカ役の鈴村健一からメッセージも届けられた。鈴村は出演していた当時を「若さゆえの試行錯誤と成長への渇望が交錯していたことを思い出します。シン・アスカと同じく、僕自身もまた、もがきながらなんとかして歩みを前に進めていた、そんな日々でした」と振り返る。戦争によって心に傷を負ったシンについて「時にわがままに見えたり、人の話を聞かないその姿にイラつきを覚えた人もいたかもしれません」と前置きし、「しかし、今思えば、とても等身大の少年の当たり前の心の動きだったように思います。彼の本来の人間性、素直さや明るさを僕が表現できていれば、シンをもっともっと魅力的な少年にしてあげられたかもしれません」と放送後もシンを気にしていたことを明かす。
そして、再び訪れたシンを演じる機会。鈴村は新作でのシンについて「監督たちの導きにより、あの戦いの別の場所できっと見せてくれていた素直なシンと出会えたと思っています。こんなに素直でかわいい子だったんだと、改めて僕も惚れ直しました」とシンへの思いを溢れさせ、「今回の劇場版は、あの頃の『SEED』の空気感を感じさせてくれます。あの時代を経験した人たちは、あのときとダイレクトに時間が繋がった感覚すらあるのかもしれない。そんな心地よさがあると思っています」と、感想を述べた。
登壇者のトークでは、保志が公開前には不安もあったことと伝えつつ、SNSで好意的な感想が多いことに安堵したそう。しかし、ファンの反応を伝えようとすると「これもネタバレになるか?」と、上映前ということもあり、ネタバレを気にして、なかなか言葉が出てこない。そんな様子を見て、福田監督が「ネタバレしてもいいから中身のある話を(笑)」とツッコミを入れる。さらに周りの反応を聞かれると「身近な人からも『早速観た!』とか……『よかった』も言っていいのかな?」と、保志が気にしだし、石田から「言ってもいいと思うよ(笑)」と、優しく諭されていた。
福田は、制作スタッフには「SEEDシリーズ」が好きな若いスタッフが多かったと明かし、「彼らのがんばりがあって、このフィルムがある」とスタッフをねぎらう。また興行収入など、作品の満足度が数字に現れているのではとMCに振られると、「数字よりも、みんなが笑ってくれることがいい。みんなが18年間待ってくれて、笑ってくれる顔を見たくて作った」とまたもファンへの思いを口にした。
ラクス・クライン役の田中は、今作のテーマが「キラとラクスの愛」だと述べ、絆や守るべきものなど、いろんな「愛」の形を挙げる。さらに「愛と必要性」と自身が考えるキーワードをファンに贈った。田中の言葉を受けた石田は、「愛と同時に、戦争を描いているので、それぞれの立場で思惑同士がぶつかっています。それを終息させるためには、いろんな決断をしなきゃいけない。ハッピーだけでなく決断を迫られ、一番辛い思いをしているところもちゃんと描いている。そういう意味で、イザークとディアッカは見どころになると思います」とアスランの盟友の名前を出して、今作の魅力を伝えた。
また福田監督からは、石田に、アスランの搭乗機体が伏せられていることもあり「何に乗るの?」と、際どい質問が。会場が笑いに包まれる中「ネタバレをさせようとしていますか?」と言う石田に、福田監督は「君の良心に従って(笑)」と言い放つ。その後、監督の提案で、連想ゲームでヒントを言うことになり、石田は「水遁の術」「変身ヒーロー」とワードを絞り出した。
主題歌の西川をはじめ、See-Saw、玉置成実、中島美嘉らTVアニメシリーズを知るファンにはうれしいメンバーが揃った今作の音楽。西川は「劇伴の素晴らしさも同時に味わってほしい」と劇伴に注目し、「組曲を一斉に、映像と一緒に浴びているような素晴らしさが劇伴にあります。目、耳、肌感、振動も含めて、思いと一緒に届けられたらと思っています」と熱く語った。音楽活動もしているグリフィン・アルバレスト役の森崎は「知らない間に感情が動いていて、目を奪われていて、それを音楽が誘導してくれている」と、五感を刺激する映画体験の中での音楽の重要さに触れ、「ガンダムならでは効果音」「メカの動く音」にも注目してほしいと、観客に語りかけた。
「ガンダムSEEDシリーズ」には今作から参加するイングリット・トラドール役の上坂。「ガンダムSEEDシリーズ」の放送時は学生だったそうで、「周りの子はガンダムで初めて観た作品が『SEED』だって言う子も多かったです」と、当時の盛り上がりを懐かしむ。新キャラクターを務めることに緊張もあったと話し、「最終的には本当に『SEEDシリーズ』に参加できてよかったなと思います」と笑顔を見せた。
また上坂からは鑑賞にあたっての“注意事項”も伝えられる。「この後、飲み会入れている人います?」と謎の質問を繰り出すと、「私は試写会で観た後に魂がどこかに飛んでいってしまって。その後の新年会で、まったく酔わなかったんです。そのくらい魂を持っていかれるので、覚悟を決めて観て、お家に帰ってください」と独特の表現で、「何も考えられないくらい心を奪われた」という作品の魅力を伝えた。これには西川も「あなたが一番フリーダムだよ!」と言わずにはいられなかった。
最後には保志が、「製作者全員の『ガンダムSEED』愛をめちゃくちゃ感じます。待ってくれていた皆様の『ガンダムSEED』愛もめちゃくちゃ感じております。18年分の『ガンダムSEED』愛が詰まった作品になっています。ぜひ、堪能してください」と愛を感じるイベントを締めくくった。
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」は、C.E.75を舞台にした「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」の最新作。ラクスを総裁として創設された世界平和監視機構・コンパスが、新興国ファウンデーションから、ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案されたことから物語が動き出す
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」
公開中
スタッフ
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田智
色彩設計:長尾朱美
美術監督:池田繁美、丸山由紀子
CGディレクター:佐藤光裕、櫛田健介、藤江智洋
モニターワークス:田村あず紗、影山慈郎
撮影監督:葛山剛士、豊岡茂紀
編集:野尻由紀子
音響監督:藤野貞義
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
キャスト
キラ・ヤマト:保志総一朗
ラクス・クライン:田中理恵
アスラン・ザラ:石田彰
カガリ・ユラ・アスハ:森なな子
シン・アスカ:鈴村健一
ルナマリア・ホーク:坂本真綾
メイリン・ホーク:折笠富美子
マリュー・ラミアス:三石琴乃
ムウ・ラ・フラガ:子安武人
イザーク・ジュール:関智一
ディアッカ・エルスマン:笹沼晃
アグネス・ギーベンラート:桑島法子
トーヤ・マシマ:佐倉綾音
アレクセレイ・コノエ:大塚芳忠
アルバート・ハインライン:福山潤
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子
ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠大典
マーズ・シメオン:諏訪部順一
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり
オルフェ・ラム・タオ:下野紘
シュラ・サーペンタイン:中村悠一
イングリット・トラドール:上坂すみれ
リデラード・トラドール:福圓美里
ダニエル・ハルパー:松岡禎丞
リュー・シェンチアン:利根健太朗
グリフィン・アルバレスト:森崎ウィン
(c)創通・サンライズ