ビッグ錠、映画「快盗くいしん坊」を観て「ハヤシライスが食べたくなりました(笑)」

シベリア文太とビッグ錠。

ビッグ錠「快盗くいしん坊」を原作とする実写映画「シベリア文太の快盗くいしん坊」が、明日12月2日から15日まで神奈川・シネマノヴェチェントにて上映される。本日12月1日には同会場にて先行上映会と記者発表が行われた。本記事では記者発表の様子をレポートする。

「快盗くいしん坊」は料理上手な泥棒・コングを主人公の描かれるグルメマンガ。映画では単行本「快盗くいしん坊」より、「カップ麺のお好み焼き」「お粥」「ハヤシライス」の3話が制作された。イベントにはビッグ錠、コング役のシベリア文太、竹内晶子監督、制作の喜多知子氏が登壇。今回の実写映画化についての感想や企画意図などが語られた。

喜多氏は当初は1話完結のドラマ形式にしたかったが、なかなかスポンサーが集まらず実現が困難だったことを明かす。「そこで市川徹監督の提案により、まずは3本分の映像を作って、オムニバスで面白さを伝えることになりました。しかし撮影中の8月30日に、市川監督はあっさりと長い旅に出て(急逝して)。そんなこんなで今日という日を迎えることができました」と激動のこれまでを振り返った。

本日行われた先行上映会で初めて完成映像を観たと言うビッグ錠。「(映画の完成は)楽しみ半分、不安半分でした。(市川監督が)急逝されたので残されたスタッフでできるのか不安でしたが、実際に観たら凝ったことをやっているなと」と感心した様子を見せた。また「映画を観終えたあとにご飯を食べたくなるような作品になっていれば成功だと思っていたのですが、(自分が観終えたあとは)本当にハヤシライスが食べたくなって(笑)。これだけで満足、成功したと思いました。市川さんもニタニタしてるんじゃないかな」と述べ、観客の反応が楽しみだと語った。

これまで何度か市川監督の作品に出演したことがあると言うシベリア文太は、今回の出演は前回から約30年ごしのものだと明かす。主役を演じるにあたり付け髭もつけ、頭もスキンヘッドにしてと、コングになりきるよう意気込んで撮影に臨んだことを話した。竹内監督はそんなシベリア文太の演技に感心している様子を見せ、「芸歴がかなり長いことからコメディアンの要素を持つ俳優ならではの力を持っていると感じています」と語った。またビッグ錠もシベリア文太のコングに言及し、「文太さんは人を楽しませることに喜びを感じていると感じ、市川監督が文太さんを使われた意味が分かるような気がしてきました」と述べている。

また映画はかなりの短期間、低予算で制作されたと竹内監督が告白。「これが市川組の習わしみたいなところではありますが(笑)、その中でもこれだけ盛り込んで、これだけのものを作り上げられました。『孤独のグルメ』『深夜食堂』のような連続ドラマとして世に出して行けたらと思っております」と今後の展望を語った。さらに小川類によるオリジナルの音楽にも言及し、「最初にできあがってきたのは、ビッグ錠先生が登場するシーンで流れる曲でした。『横浜が舞台だからブルースとかジャズを取り入れたい』と仰ってくださって。今回は横浜という地域密着型の映画となったので、そういうふうに思ってくださったことに涙が出るほどうれしかったです」と述懐した。

最後に記者からの質疑応答コーナーが展開される。市川監督が「快盗くいしん坊」を映像化したかった理由を聞かれると、ビッグ錠は「市川さんは『カレーを食べたあとは水がおいしい』というフレーズが気に入ったと仰っていました(笑)」と回答。また市川監督らしさを意識したかどうか聞かれた竹内監督は「撮影方法などはあまり意識していないですが、市川監督の“面白さは全部活かそう”という部分は取り入れました」と話す。「映画に収められた3話とも1人だけ同じ役者が出ていて。その人は売れないピン芸人でギャグもいつもサムいんですが(笑)、市川監督の、面白さを全部活かせればきっとなんとかなるという“市川イズム”を発揮させました」と述懐した。

映画は横浜ゆかりの料理や名所、偉人が登場する連続ドラマとしての展開を予定。この実現を目指したクラウドファンディングが、モーションギャラリーにて本日いっぱい実施されている。