劇場アニメ「窓ぎわのトットちゃん」の完成披露舞台挨拶が、本日11月18日に東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催された。イベントには原作小説の著者・黒柳徹子、トットちゃん役の大野りりあな、大石先生役の滝沢カレン、八鍬新之介監督が登壇。刊行から42年を経て初めて映像化された同作への思いを語るコーナーや、小林先生役の役所広司、ママ役の杏からのビデオレター上映、主題歌「あのね」を担当したあいみょんからの手紙の朗読などが行われた。
これまでドラマや舞台、ミュージカルなど様々なメディア化の話はありつつも、「(小説を)読んでくださった皆さんの中に描かれた、独自のトットちゃんができていたほうがいいと思った」という理由から映像化を断ってきたという黒柳。企画書が持ち込まれてから7年の歳月が経ち完成した映画を見て「本当に泣きました。当時の学校など、自分が行っていたときのように描かれていて、いろんなことが思い出されました」と感極まり涙を見せた。
42年のときを経て、なぜ今映画化されたのか。八鍬監督は「世界中で人種や宗教を巡っての戦争が起き、たくさんの犠牲者が出ています。遠い国の出来事のように感じるかもしれないけれど、78年前は日本も同じように戦争をしていました。『窓ぎわのトットちゃん』では戦争中でも思いやりの心を忘れずに生きていた人々が描かれている。映像化することで少しでも明るい未来につながるんじゃないかなと思いました」と語っている。
オーディションでトットちゃん役を勝ち取った大野は、「アフレコは難しいところもたくさんありましたが、スタッフの皆さんがやさしく教えてくださりました」と述べる。滝沢はオファーが来たときの感想を「徹子さんの人生の中に飛び込ませていただくチャンスをもらえてうれしかったです」と述懐。また黒柳を“憧れで妖精みたいな方”と表現すると、それに対して黒柳は滝沢に「純粋なんですけど、あんまりいない女の子のように思います。ちょっと形容詞しがたいんですけど(笑)」と返した。八鍬監督はキャスティングについて、キャラクターのもととなった人物の声を知っている黒柳にヒアリングを重ねたと明かしている。
各々の印象的なシーンが語られた後、小林先生役の役所広司、ママ役の杏からのビデオレターが再生された。役所は「小林先生という、徹子さんにとって大切な方の役を演じられて光栄でした」と述べつつ、「プレッシャーもありましたが、声を聞いて合格点をいただけるとうれしいです」と吐露した。杏はアニメでは町並みがカラフルに描かれていて印象的だったと述べ、「大人になってから見る『窓ぎわのトットちゃん』は、お父さんお母さんに先生たちと、あたたかく自由な心を持っていたんだなと感銘を受けました」と語っている。続いて主題歌「あのね」を担当したあいみょんからの手紙を黒柳が朗読。「あのね」というタイトルについて、黒柳は「子供が話をしているような、子供らしい曲だと思いました」と述べ、曲を覚えて歌ってみようかと思ったが難しくて歌えなかったことを照れながら明かした。
最後に登壇者全員から締めの挨拶が行われる。八鍬監督は「本当にたくさんの方のご協力があって、スタッフの努力があってできた作品です。日本を代表する方々に集まっていただいた大作となりました。トットちゃんと一緒にトモエ学園に入学する気持ちで楽しんでいただけたらと」と語る。黒柳は「(アニメ制作は)1枚1枚手で描かれて、とうとう12万枚に達したとのことで。皆さまの努力というものは口で言い表せられないと思います。そういうお気持ちも汲んで観ていただけれたらうれしいです」と感動した様子を見せ、イベントは閉幕した。
映画「窓ぎわのトットちゃん」
2023年12月8日(金)全国ロードショー
スタッフ
原作:黒柳徹子(講談社刊「窓ぎわのトットちゃん」)
監督:八鍬新之介
脚本:八鍬新之介・鈴木洋介
キャラクターデザイン:金子志津枝
制作:シンエイ動画
キャスト
大野りりあな、小栗旬、杏、滝沢カレン、役所広司 ほか