内藤泰弘と韓国のイラストレーター、キム・ジョンギのトークイベントが、千葉・幕張メッセにて開催中の「東京コミコン2017」にて本日12月2日に開催された。
ライブドローイングを中心に世界各国で活躍し、大友克洋のトリビュート展でもライブドローイングやトークショーを行ったキム。内藤はキムについて「僕も圧倒されているアーティストです」としながら、「今日は改めて僕が思うキムさんのすごさをお伝えしたいと思っています」と意気込む。
まず内藤はキムとの出会いについて「元々キムさんが壁に魔法のように絵を描くYouTubeの動画を見ていたんです。初めてお会いしたのは寺田(克也)さんがキムさんとライブドローイングをやったときの宴席に、『内藤くん、キム・ジョンギもいるからおいでよ』と寺田さんから誘われたときですね」と回想する。一方出会う以前から内藤の作品を知っていたというキムも「元々好きな作家さんだったんです。会うまでは細くてキレやすい方なのかなという印象を持っていました(笑)」と当時を振り返った。
司会を務める映画評論家の有村昆から、キムの魅力について問われた内藤は「キムさんの上手さの質っていうのは、『素手の喧嘩で一番強い人』に近いと思うんです」と一言。その言葉の意味について、内藤は「さっきキムさんがドローイングをしているのを初めて見たのであろう女の子が、『えっ、なにこれ、すごい!』って言っていたんですけど、ただ描くだけで相手を納得させる力を持っているというか。ナイフも銃も使わず、『ゴン』と殴るだけで相手を倒せるんです」と解説した。
そして会場でキムがこれまで行ってきたドローイングの映像を視聴することに。下書きなしで迷いなく黙々とペンを走らせるキムに対し、有村が「執筆中に何を考えているのか」と質問すると、「出来上がった絵のイメージが頭の中にあるので、あとはそれに合わせていくんです」と語り、会場を驚かせる。
その後「血界戦線」シリーズがステージで紹介されると、内藤は作品について「技の名前を叫んでぶん殴るマンガです(笑)」「B級映画みたいなものを描きたくて、そういうものをずっとやっています」と説明。「血界戦線」を手にしたことがあるというキムは、「キャラクター性が強くて、登場人物を見ればどういう性格なのかがすぐわかる。アクションのほうもすごくダイナミックで、かっこいいポーズもたくさんでてきますよね」と称賛した。
最後にサンディエゴやニューヨークの「コミコン」にも参加してきたキムは、日本の「コミコン」について「規模は海外よりも小さいかもしれないけど、元々(日本がコンテンツとして)持っているキャラクターはすごくたくさんありますよね。いろいろな作家さんにも会えますしすごく楽しいです」とコメント。内藤も「たしかに大きさは違いますけど、お客さんのニコニコ(している顔)は共通していますよね。『東京コミコン』も2度目の開催でこの大きさだったら、今後が楽しみです」と今後の「コミコン」への期待を述べた。なお「東京コミコン2017」は明日12月3日も開催されており、ムービープラスのブースでは、キムがライブドローイングを行う。