映画「帝一の國」古屋兎丸と永井聡監督がぶっちゃけトーク、“海一の國”構想も
古屋兎丸原作による実写映画「帝一の國」の公開を記念した「映画『帝一の國』公開直前!! スペシャルトークショー」が、去る4月19日に東京・LOFT9 Shibuyaにて開催された。
トークショーには古屋、「帝一の國」の永井聡監督、フジテレビの若松央樹プロデューサー、担当編集の小菅隼太郎氏が参加。まずは映画の予告編が上映され、イベントがスタートした。当初は「隙間産業のような形でほそぼそとやる予定だった」という同作について、永井監督は「兎丸先生の作品っていい意味で、ポップというよりはカルト的な人気のある『わかる人にはわかる』ものだと思っていたんです。それがここまで大きな話になったので、なるべく大勢の人に観てもらいたいなと、逆にメジャー感を出していきました」と映画制作の意図を説明。先日、東京・東京国際フォーラムで行われた試写会にも参加したという古屋は、「何千人もの人が『帝一の國!』って言っているのを見て、夢みたいだなと思いました」と興奮する様子を見せた。
「帝一の國」を執筆するに至ったきっかけについて問われた古屋は、「小菅さんの無茶振りで、SQ.19という雑誌の創刊号に掲載される新連載のネームを、1カ月で作ることになって。2話目以降のことは考えずに、面白くなりそうな第1話を描こうと思って始めたのが『帝一の國』なんです」と明かす。小菅氏が「第1話では光明が黒幕なんじゃないかっていう描かれ方でしたよね」と補足すると、古屋も「『最後に帝一を刺すんじゃないか』くらいの描き方でしたね。2話目から急にキャラが変わった(笑)」と振り返る。
全14巻の「帝一の國」を映画化するにあたり、若松プロデューサーは「原作には『帝一たちが誰の下につくか』という1年生編と、『帝一たちの中で誰が生徒会長になるか』という2年生編がありますが、それをどのように1本の映画にまとめるかをひたすら悩んでいました」と語る。これを受け永井監督は「原作を知らない人が映画を観たときに、『帝一は総理大臣を目指すって言っていたけど、最終的にはどうなるのか』っていうのは気になるところだと思うんです。だから帝一が生徒会長になれるのか、総理大臣になる可能性はあるのか、というところまで結果を出さないと原作を知らないお客さんは納得できないんじゃないかな」と映画で描かれるエピソードについて言及する。また永井監督は「『帝一の國』を全部まとめるのは難しいから、キャラクターを活かした映画オリジナルの脚本を作ってもいい」と、打ち合わせの際に古屋が許可を出したことを明かし、「オリジナルの脚本を作ってみたんですが、それだと『帝一』じゃなくなったんです。ただ総理大臣を目指している男の子っていうことだけで、面白くなかった」と、オリジナルのエピソードが立ち消えになったことを語った。
その後会場は映画のキャストの話題に。監督が「野村(周平)くんと間宮(祥太朗)くんは、オファーが来たとき大鷹弾役だと思っていたらしいです。『君じゃないよ。竹内(涼真)くんのほうが爽やかだよ』っていう(笑)。やっぱり役者にすると、大鷹は魅力的な役なんでしょうね」とキャスティングにまつわる裏話を披露。古屋は「キャストの方とは最初から普通に喋れたんですけど、竹内くんは目がキラキラしていて、なかなか視線を合わせられなかったです(笑)」と、原作者から見ても弾さながらの好青年であったことを説明した。
3度にわたり上演され、原作を盛り上げてきた舞台「學蘭歌劇『帝一の國』」で帝一役を演じた木村了が、堂山圭吾役で出演することでも話題を集めた映画版。舞台版と映画版ではキャストがまったく異なることについて永井監督は、「舞台のファンの方々を、もしかしたらがっかりさせてしまったかもしれないんですが、映画と舞台は合わせちゃいけないんだろうなという気がしていて。ただ映画を作るにあたって舞台版を観たんですけど、木村了くんが半端ないくらい役者としてすごくて。堂山を木村くんに演じてもらえてよかったです」と木村の出演についてコメントした。
イベントの後半ではTwitterや会場の来場者から寄せられた「海帝高校の生徒会長になったら何をするか」「自分が女性だったらどのキャラと付き合いたいか」といった質問に、出演者が回答。「このキャストのこの演技がよかったという箇所は」という質問には、古屋は「3年間舞台を支えてくれた木村了くんが、堂山会長として帝一たちを見守っている姿に感動したし、『同朋よ!』って泣きそうになりました」と木村への称賛を送った。
質問コーナーの中で永井監督が古屋に「帝一は最終的に美美子と結婚するんですか?」と尋ねると、古屋は「しているでしょうね」と回答。「今、ヴァニラ画廊でやっている『帝一の國』の原画展で、来場者に描き下ろしのおまけマンガをプレゼントしているんですが、帝一の息子で海一が出てくるんです。海一というのは『海帝1番の男になれ』という意味で付けたんですけど、『海一の國』というお話も実は頭の中にあるんですよ」と、続編についての構想を明かすと会場からは拍手が巻き起こる。最後に古屋は「原作者だから言うわけではなく、映画としてすごく面白い内容になっています。試写会でも悪い意見を全然聞かなかったし、期待度をMAXにして楽しんでください」とアピールした。
映画「帝一の國」は4月29日より、全国東宝系にてロードショー。発売中のジャンプスクエア5月号(集英社)には、69ページにおよぶ番外編がセンターカラーで掲載されている。なお「帝一の國」原画展はヴァニラ画廊にて、5月7日まで開催中。
古屋兎丸「帝一の國」原画展
会期:2017年4月18日(火)~5月7日(日)
時間:12:00~19:00
会場:ヴァニラ画廊 展示室AB
料金:600円
(c)2017フジテレビジョン 集英社 東宝 (c)古屋兎丸/集英社