スマートフォン向けアプリ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズG」リリース後初となるイベント「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 鉄の感謝祭」が、去る3月10日に東京・ヒューリックホール東京で開催された。
イベントには三日月・オーガス役の河西健吾、 オルガ・イツカ役の細谷佳正、 ユージン・セブンスターク役の梅原裕一郎、 クーデリア・藍那・バーンスタイン役の寺崎裕香、 メリビット・ステープルトン役の田中理恵、ガエリオ・ボードウィン役の松風雅也が登壇。キャスト陣によるトークのほか、TVシリーズ第1期2クール目のエンディングテーマを担当したTRUEと、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント」の主題歌を歌唱するRe:Endによるライブも展開された。
イベントの開演時間が近づくとキャスト陣の生アフレコによる寸劇がスタート。梅原演じるユージンが「今日、俺に会いに来てくれたやつは思いっきり拍手してくれ!」と呼びかけると、観客は大きな拍手で応える。対抗するように細谷演じるオルガが「誰に会いに来ただって?」と話し、「俺たちもお前らに会うの楽しみにしてたんだぜ? 盛り上げてくれるってやつは思いっきり拍手してくれ!」と語りかけると、会場は盛大な拍手に包まれた。その後キャスト陣がセリフを披露しながら登壇。一言挨拶ののち、リーディングライブがスタートした。
リーディングライブはアプリで一定期間配信される「サイドストーリーズ」をイベント用に変更した特別台本で展開。オルガの代わりに鉄華団の入団面接を行うことになったユージンを描くショートエピソード「鉄華団の入団面接」では、河西、寺崎、細谷、梅原、田中が見事な掛け合いを披露した。また「ヴィダール前夜」では松風が1人ステージの中央に立ち、マクギリスに敗れアーブラウに散ったガエリオが、ガンダム・キマリスの偽装作業に取り掛かるさまを演じた。
その後TRUEのライブがスタート。国内の「鉄血のオルフェンズ」イベントでの生歌唱が初めてだというTRUEは、アニメの映像をバックスクリーンに流しながら歌唱できたことの喜びを語る。また子供の頃からたくさんのガンダム作品を観てきたと言い、「鉄血のオルフェンズ」はこれまでのガンダムとは少し違うと感じていたことを明かす。「自ら戦いに身を投じなければならないという残酷さがあり、彼らに一体どんな音楽を送ればいいんだろうと悩みました。結果、私らしく、強くまっすぐな言葉を送れたのかなと思います」と歌に込めた思いを述べた。
続いてキャスト陣の“同窓会トーク”へ。何人かは2019年に行われたピアノコンサートなどで顔を合わせつつも、登壇者全員が揃うのは放送当時の収録以来と言う。「鉄血のオルフェンズらしさとは?」というテーマに沿って、アニメの映像とともに1人ひとり作品を振り返っていく。河西は「少年たちの生きる世界、生きるための道」と回答。映像として流れた第1話の戦闘シーンを含め、「少年兵たちの生き様や、彼らがこれから先どうやって生きて行くのかという期待感を感じ取れる最高の第1話だと思います」と述べた。そして第1話アフレコ時のエピソードも披露。第1話収録時にその重圧から吐きそうなくらい体調が悪くなったことを告白するも、「第1期では三日月という役に僕が振り回されていましたが、第2期からは(周りのキャストのおかげで)すぐその世界に入り込めて、なんの心配もいりませんでした」と話した。
細谷は「止まるんじゃねえぞ」という言葉とシーンをチョイス。「何かに挑戦している人や、挑戦したことのある人にはその言葉の意味が刺さるというか。何かを始めるとき、入念に準備して実行するものだと思って取り掛かると、準備段階で挫折したり、はるか遠くにゴールを設定することで心が折れてしまうこともあるけど、とにかく動いて、行動し続けながら考えることって大事だなと。それを無謀だと捉える人もいると思うけど、でも何かを成すときって、そうやって始まる気がしてます。作品のクリエイターに向けて、作品を好きでいてくれる人たちに向けて……と考えたら、改めてすごいセリフだなと。自分が今声優になっていることも、プロとして活動できていることも、やめずに続けてきたからだと思いました」と熱を込めて語った。松風もこのシーンの細谷の演技について「ダイアログとモノローグが入り混じっているのに、絶妙なリアリティを持って読んでいるんですよね。オルガの意思を大切にしたんだなと感じ取れました」と称賛の言葉を送った。
寺崎は「オルガの熱と、三日月の冷静さの対極部分が『鉄血のオルフェンズ』らしいなと思います」と話し、この2人が作品の色を作ってくれたのだと語る。最終決戦時のユージンの振る舞いを挙げながら「生き抜こうとする意思」と回答した梅原も、「大人のような政治的な動きができない子供たちの不器用さが『鉄血のオルフェンズ』の熱なのかな」と続けた。田中は「男の友情と、成り上がっていく下剋上」と回答。「仲間がいっぱい死んでいく中で、カッコよく散っていった仲間に対して『カッコ悪く泣けねえぜ』みたいなところに男気を感じましたね。少年だから泣いていいのにとも思いながら」と大人の立場であるメリビットの視点からも語った。
松風は「生き様」と一言で表し、「物語って勧善懲悪だったり残酷だったりするから名作と言われるけれども、単純に悪がいてそれを倒す正義があってというだけでなく、キャラクターごとに行動の理由がしっかりとあるのが『鉄血のオルフェンズ』だと思う」と述懐。細谷も「正義対悪という感じじゃないですよね、それぞれみんなが抱える正義がある」と共感した様子を見せた。
その後各々がリーディングライブの所感を振り返ったのち、サプライズとしてウィスタリオ・アファム役の生駒里奈からビデオメッセージが上映された。アニメで声を当てるのは挑戦の日々だったと話す生駒。「1個1個のシーンがとても魅力的で、ウィスタリオのがんばる姿に私自身も励まされました」と語った。
続いて「ウルズハント」の主題歌を担当したRe:Endが「The Over」を披露。今回が人前で歌う初ステージだったというRe:Endは、堂々としたパフォーマンスで演じ切る。コンポーザー・ギタリストの藤永龍太郎は楽曲に関して「ここからずっと走って行くんだという自分たちの気持ちと合致した作品だったので、ブレることなくこの曲を書けました」と明かした。
最後は登壇者1人ひとりの挨拶で閉幕へ。寺崎は「(アニメ放送開始から)8年経ってもこうしてお客さんが集まってくださって、本当に作品が愛されているんだなと感じます。8年ということは、あと2年で10年だよ!? 皆さんこれからも付いてきてくださいね!」と観客に呼びかける。細谷も「鉄血のオルフェンズ」をファンと一緒の空間で同窓会のように語り合えたことに喜びを見せ、「作品の名場面を皆さんと一緒に観られて、本当に素晴らしい作品に関わることができたと、改めて思いました。『鉄血のオルフェンズ』はこれからも自分の代表作です」と吐露した。
河西は当日の朝、ある現場でビスケット・グリフォン役の花江夏樹と一緒になったことを明かし、イベントで何か伝えることはあるかと聞いたそう。すると「“水星”の草場から僕は見守っています」と言っていたと明かし、会場は笑いに包まれた。そして「またこうやって皆さんの前で『鉄血のオルフェンズ』を語れる日が来るとは思いもしなかったです。スタッフやファンの皆さんには頭が下がる思いです」と感謝を述べた。登壇者全員で「ありがとうございました」と感謝したのち、最後には細谷と河西が腕を交わしてから退場し、イベントは閉幕した。