「第十七回 声優アワード」授賞式が、本日3月11日に東京・文化放送メディアプラスホールで開催された。
3年ぶりの開催となった「第十七回 声優アワード」授賞式は、新人声優賞の発表からスタート。「魔法使い黎明期」のセービル役を務めた梅田修一朗、「その着せ替え人形は恋をする」の喜多川海夢役を務めた直田姫奈、「サマータイムレンダ」の小舟潮役を務めた永瀬アンナ、「王様ランキング」のボッジ役を務めた日向未南、「リコリス・リコイル」で井ノ上たきな役を務めた若山詩音が登壇し、スタッフ、各関係者らに感謝しながら、初々しさ溢れるコメントを届けた。歌唱賞を受賞した虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会からは、大西亜玖璃、相良茉優が登場。メンバーを代表して感謝の気持ちを表した。
シナジー賞は全世界で大きな話題を提供し、「劇場版 呪術廻戦 0」が大ヒットしたことが評された「呪術廻戦」。ステージに立った虎杖悠仁役の榎木淳弥は、「みんなの力が合わさって、本当に素晴らしいアニメーションができあがりました。今年から第2期もスタートしますし、次回の声優アワードにも何かしら表彰していただけるようにまたみんなでがんばっていきたいです」と述べたうえで、「私個人としましては、おこがましいですが、来年こそ新人声優賞を受賞できるように……あ、ウケましたね(笑)よかったです。何を言ったらウケるんだろうなってずっと考えていました」と言い、会場の笑いを誘った。
子供たちの視点で選ばれたキッズファミリー賞では、「ポケットモンスター」でピカチュウ役を演じる大谷育江が「26年間、同じ作品でバディを組んできた(サトシ役の松本梨香と)2人でこの賞をいただけたこと、大きなご褒美をもらったみたいでとても感無量です。このコンビの最高のクライマックスをありがとうございました!」と笑顔を見せる。松本は「子供たちが選んでくれたことが何よりうれしかったです」と述べ、去り際「ファミリーキッズ賞、ゲットだぜ!」と声を轟かせ、ステージを後にした。
各方面で活躍した男性声優に贈られる富山敬賞は、諏訪部順一の手に。諏訪部は声優業界に身を置いた30数年を振り返りながら、声優という職業に対して「よりグローバルな存在になったように思います。海外からのオファーがあり、イベントなどにも数々参加して参りましたが、現地へ行くたびに皆さんが日本の声優の表現、演技を愛してくださっていて、価値が高いものだと感じてくださっている。そんな場面が多々ありました。日本の声優の声における表現に関しては、世界一だと思っています。その世界一をより伝えられるようがんばってまいります」と、胸の内を明かした。
また各SNSで最も印象に残った声優に贈られるインフルエンサー賞は、花江夏樹が受賞。花江は「主にゲーム、猫のこと、妻が作る手料理、かわいい2人の娘のことを発信してきたんですけれども、その結果がこの賞につながったのかなと思っています。自分で言うのもなんですが、かなり飽きっぽい性格でして。そんな自分がここまでTwitterやYouTubeを続けられたのは、ファンの皆さんのアクションがうれしかったのもあるんですが、一番は自分が何よりも楽しいことを優先してやっていこうというのをモットーにしてきたからじゃないかなと思っています」と、今回の受賞理由について語った。
さらに助演声優賞には、「ONE PIECE FILM RED」でシャンクス役を演じた池田秀一、「パリピ孔明」で諸葛孔明を演じた置鮎龍太郎、「SPY×FAMILY」でアーニャ・フォージャー役を演じた種崎敦美が輝いた。種崎は「(スクリーンに流れた紹介映像の)アーニャの声を聞いたら、泣きそうになったのと、自分の声なんですけど安心しました」と言い、「新しい世界を見せてくれるのも、知ったことのない経験をさせてくれるのも、知らなかった気持ちを教えてくれるのもキャラクターのおかげ。今までに演じてきたキャラクターたちみんなが、今の声優・種崎敦美を作り上げてくれてるんだなって改めて思いました」と喜びを噛みしめた。
「ファンが選ぶ最も活躍した声優」に贈られるMVS〈Most Valuable Seiyu〉に選ばれたのは、「SPY×FAMILY」のロイド・フォージャー役を演じる江口拓也。江口は「声優という職業を目指すきっかけになったのが、小野坂昌也さんがパーソナリティを務める文化放送のラジオでした。そのラジオを聞いて救われた自分がいて。その流れでこの世界に興味を持って足を踏み入れたわけですけど、みんなが作ったものを観ていただいて、僕という人間を知っていただけたおかげで、自分のやりたいことをできていること、ここまで関わってくれた皆さんに感謝を伝えたいです」と自身のエピソードを交えながら述べた。
そして主演声優賞は「リコリス・リコイル」で錦木千束を演じた安済知佳、江口、種崎が受賞した。安済は「今回『リコリス・リコイル』で錦木千束という役に出会えたことで、この場に立たせていただいていると思っていて。それは私が作り上げた役ではなく、制作の方々が錦木千束という役を作り上げていく中で、声の感情表現担当として携わらせていたという気持ちでしたし、作品も話題を呼んで、たくさんの人たちに楽しんでいただけたのは、制作・キャスト陣が真摯にがんばった結果だと思っております。『リコリス・リコイル』の声優部門代表で受け取る気持ちで頂戴したいと思います」と伝えた。MVS〈Most Valuable Seiyu〉とのW受賞となった江口は、ロイド役について「マネージャーと一緒に話し合いながらオーディションテープを作ったんですけど、マネージャーが『僕この作品大好きで、絶対に取りに行きたいので、ここの表現、もう少しこういう風に演じたらいいんじゃないでしょうか』と、ものすごい熱量でぶつかってきてくださって。そんなロイド役に受かったというときに、僕よりも事務所が喜んでくれたことが一番うれしかったです」と、話した。
最後は助演声優賞とのW受賞となった種崎の番に。「ダイの大冒険」のダイ役で主演声優賞を掴んだ種崎は、涙ながらに「ダイくんを観たら、やっぱり……(顔を手で抑える)。これもダイくんのおかげです。声優って本当に作品があってこそ、キャラクターがいてこそだと。『おれが勇者だっていうなら、みんなが勇者だよ』っていうダイくんのセリフがあるんですけど、先ほど安済さんもおっしゃっていましたが、私が主演声優賞なら、『ダイの大冒険』を作ったすべての皆様が賞を受賞したと思っています。『リコリス・リコイル』『SPY×FAMILY』を作ったスタッフ、キャストの皆様もみんな受賞です。皆さん、おめでとうございます。ダイくん、ありがとう。ありがとうございます」と思いを精一杯に述べ、ステージを去った。
「第十七回 声優アワード」結果
主演声優賞:安済知佳、江口拓也、種崎敦美
助演声優賞:池田秀一、置鮎龍太郎、種崎敦美
新人声優賞:梅田修一朗、直田姫奈、永瀬アンナ、日向未南、若山詩音
歌唱賞:虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
パーソナリティ賞:該当なし
外国映画・ドラマ賞:貫地谷しほり、森川智之
ゲーム賞:該当なし
シナジー賞:「呪術廻戦」
富山敬賞:諏訪部順一
高橋和枝賞:川村万梨阿
キッズファミリー賞:大谷育江、松本梨香
インフルエンサー賞:花江夏樹
MVS:江口拓也
功労賞:秋元千賀子、屋良有作
特別賞:「やくならマグカップも」