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実写映画「ちひろさん」舞台挨拶、今泉力哉監督が有村架純の役作りに信頼を寄せる

安田弘之原作による実写映画「ちひろさん」の初日舞台挨拶が、本日2月23日に東京・新宿武蔵野館で開催された。

Netflixで全世界配信中、劇場公開中の「ちひろさん」は、海辺の小さな弁当屋で働く元風俗嬢・ちひろと、彼女のもとに集まる悩みを抱えた人々の暮らしを描く作品。舞台挨拶にはちひろ役の有村架純、監督の今泉力哉が登壇し、トークを繰り広げた。

劇場の盛況な様子を目の当たりにした有村は「久々にこのようなアットホームな劇場に来ることができて、初心を思い出しました」と笑顔を見せ、「どの映画の公開日も(迎えるまで)本当にあっという間なんですけど、この映画の公開も本当にあっという間で。(この作品は)つい最近、撮影したばかりなので、記憶がどんどんよみがえってきます。焼津に行って撮影をしていたなとか、風が強かったなとか。そういうことを思い出します」と付け加えた。今泉監督も「撮影は去年の3月、4月とちょうど1年前くらいだったんですけど、Netflix配信と劇場公開が同時というのも初めてですし、なんだか実感が湧かなかったりもするんですが、でも映画館で上映できることも含めて、こうしてお客さんに届けることができてうれしく思います」と晴れやかな顔で語った。

常識にとらわれない言動が周囲の人たちの生き方に影響を与えていく、という役どころのちひろについて、有村は「ここまで役に近付けない、近付けさせてもらえない役どころは初めて。これまでは役に寄っていく、もしくは役を引き寄せていくというアプローチの仕方でやってきましたけど、(ちひろという役は)自分が近づくと離れて。磁石のようにくっつけないというか。そういう感覚が最後まであって。ちひろというよりは、“ちひろさん”という感じがしっくりくるような。そういう特別な存在でしたね」とコメント。そうしみじみ話しながらも有村は、「でも……もっとほかに(候補の人が)いたんじゃないかな?」と正直な気持ちを述べ、会場の笑いを誘う。そんな会場の反応に思わず自分でも笑ってしまった有村だったが、「でも役目を果たしたかったんで、懸命に撮影の日々を過ごしました」と続けた。

今泉監督は会場の反応と同じく、有村の言葉に大笑いしながら、「自分と距離があるというのは不思議な感覚だし、役者さんにしかわからない感覚ですけど、現場ではしっかりと“ちひろさん”としていらっしゃったと思います」と語り、「原作の安田さんが言ってたけど、誰が演じても“あのキャラクターって存在するのかな”と思うようなところがある。そこから始まって。(役を)つかめない距離なりに、有村さんがちひろさんというキャラクターを尊いものとして扱ってくれたからこそ、こういう作品になった」と、有村の役作りに信頼を寄せた。さらに「逆に役をつかんでしまうと、違うちひろさんになったと思う。ちひろさんって変な大人というか、普通の大人ならこうしなきゃいけないというところとか、常識に縛られたりするようなところがあるのに、(ちひろは)ひょうひょうと生きてて。不真面目というか、適当な大人という印象があったんですけど、取材をすればするほど、逆に真面目な人にしか(演じるのは)無理だなと思うようになった。器用に生きられる人だったら不真面目にもできるけど、真面目だからあの生き方ができるのかなと思って。それは有村さんの真面目な部分とリンクしたかなと思いました」と振り返った。

そんな2人は、WOWOWのドラマ「撮休」でタッグを組んでいるほか、「JA共済」のCM撮影でも何度か一緒になっていたのだという。今泉監督はそのことに触れ、「現場で『ちひろさん(原作)を読みました?』と確認したり、原作者の安田さんに『根暗か根明だったら、ちょっと暗い人の方がいいとおっしゃってますが、大丈夫ですかね』と聞いたら、『そこは大丈夫です』とおっしゃっていたりとか。そういう会話を交わしたりしました」と裏話を明かした。

最後に有村は、「原作のファンの方もいらっしゃると思いますが、今泉さんが『ちひろさん』という世界観を作ってくれました。キャストの皆さんの、穏やかで素晴らしいお芝居が、この作品にも詰まってますし、マコトを演じた鉄くん(嶋田鉄太)も一生懸命がんばってくれました。公開と同時にたくさんの方に観ていただける機会もそうそうないので、この作品がどう届くか、楽しみにしています」と笑顔で挨拶。イベントは締めくくられた。

Netflix映画「ちひろさん」

Netflixで全世界配信中
劇場公開中

出演:有村架純、豊嶋花、嶋田鉄太、van、若葉竜也、佐久間由衣、長澤樹、市川実和子、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュン
原作:安田弘之「ちひろさん」(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
製作:Netflix、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア

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