押井守によるオンライン講座「押井守に学ぶアニメ・映画」が、本日2月16日より動画配信プラットフォーム・Naro.tvで配信されている。
オンライン講座を通して日本文化を発信するNaro.tvにて、「アニメ/特撮カテゴリー」 の第1弾講師として登場した押井。「押井守に学ぶアニメ・映画」は計300分の全20セッションで、押井の思考や、映画監督として実践していることが紹介される。セッションの中には「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のシーン分析や、映画と出会った幼少期から監督になるまでの振り返りも。価格は税込1万円。期間限定で税込7980円で購入できる。また押井のコメントと、アニメ特撮研究家・氷川竜介氏から「押井守に学ぶアニメ・映画」についての推薦文も到着した。
押井守監督コメント
アニメーション監督は机上で映画を作ることが仕事です。
机の上には映画の根拠となるものー現実の風景も役者も存在しません。
そこにあるのは言葉と、それが作り出すイメージだけです。
そして、だからこそ僕は映画を語ることに拘ります。
映画を語ることによってしか根拠を持てないことは、
アニメーション監督の宿命なのです。
僕が映画を語ることを監督の業務の一部だと考えるようになったのは、
実は、そのことによってしか映画を作る根拠を持てないからなのです。
映画を語ることで映画は可能になり、
語られることによって映画は映画として完成します。
ところで、当然のことながらー
映画を語るには語る相手が必要となります。
しかし、困ったことにアニメーションの現場の人間たちー殊にも
アニメーターと呼ばれる人たちは語ることを好みません。
そして、驚くべきことに、映画を観る人たちーつまり観客と呼ばれる人たちも
日常の言葉以外で映画について語ることを好まないのです。
僕は僕の映画を観てくれる観客を求めるだけでなく、
僕の映画について語ってくれる観客を常に求めています。
僕の映画についての言葉が、世界の何処かにいるであろう、
映画について語りたい人に届くことを信じます。
それこそ、ネットの世界は広大だそうですからー。
氷川竜介氏コメント
押井守監督のクリエイションの秘訣を聴ける機会が得られ、大変嬉しく思います。 映画もアニメも科学技術の産物ですから、理屈をロジカルに積みかさねて作られます。 特に押井監督は「絵を描かない監督」ですから、制作現場では理屈や理論が言葉で語られ、職人たちを説得しているはずなのです。 テーマや哲学も、こうしてフィジカルな足場を組まなければ空理空論になるし、観客にも伝わりません。 高度な理論で語る批評家や学術研究者よりももっと分かりやすく、地に足のついた言葉で映画やアニメを語りあうことはできないのか。 押井守監督のレクチャーは、そうした期待を高めてくれます。 本質を言語化できる人びとが増えることで、日本で独自発達した「ANIME」が世界中で親しまれている理由――その根拠の解明も進むのではないでしょうか。
今回は押井さんが監督になるまでの道筋、特にアニメにまったく関心が無かったことなども、赤裸々かつユーモラスに語られています。自己実現や表現、あるいは就職に対して構えすぎているクリエイター志望の方々も、笑いながら「本当のこと」が掴め、「自分が何をしたいのか」が見えるはずです。進路に悩んでいる方も、ぜひご覧になってください。
※Naro.tvのoは長音符号付きが正式表記。
「押井守に学ぶアニメ・映画」
- 押井守先生と出逢い、アニメと出会う(7分)
- 駄作こそ人生を変える(8分)
- 監督による分析:不可視の映像表現と「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(7分)
- 嘘も方便(9分)
- ディテールの塊(9分)
- 監督による分析:「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の限界に学ぶ(7分)
- 監督業、すなわち、戦争(8分)
- サスティナブル ワーク(9分)
- 監督による分析:「イノセンス」に見る、人間と人形(7分)
- 一本のフィルム、一人の監督(6分)
- アニメと手仕事(6分)
- 監督による分析:「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」のアニミズム(8分)
- 監督になるな(5分)
- 魚、犬、鳥、妄想(19分)
- シネマティック トライアングル(23分)
- キャラクターの本質(38分)
- アクションのない場面(20分)
- 世界観の構築(29分)
- レイアウトの重要性(22分)
- シーン探求力(30分)