浦沢直樹「PLUTO」のアニメ化が決定。Netflixにて今年独占配信される。
「PLUTO」は手塚治虫「鉄腕アトム」のエピソード「地上最大のロボット」を浦沢が独自の視点と解釈でリメイクした物語。長崎尚志がプロデュース、手塚眞が監修を手がけ、手塚プロダクションが協力している。手塚治虫文化賞のマンガ大賞をはじめ、2011年にはアングレーム国際漫画祭にてインタージェネレーション賞を、そのほかにもACBDアジア賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ている作品だ。また2015年に舞台化され、2018年には再演。日本のほかイギリス、オランダ・ベルギーで欧州ツアーも行われた。「PLUTO」がアニメ化されるのは今回が初のこととなる。
浦沢は「今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな『心の作品』の誕生に心躍っています。今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように」とコメント。長崎は「『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ」、手塚眞は「これは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ」とそれぞれ語った。
アニメの制作プロデュースはジェンコが、アニメーション制作はスタジオM2が担当。映画「この世界の片隅に」の企画・プロデューサー陣が再集結し、エグゼクティブプロデューサーとして真木太郎、丸山正雄が名を連ねる。真木はジェンコを創設以降、プロデューサーとして25年にわたり日本のアニメビジネス全体を牽引してきてきた人物。丸山はかつて手塚治虫が設立した虫プロダクションにてキャリアをスタートさせ、これまでの浦沢直樹原作のアニメ化作品のプロデューサーを務めてきた。
また制作決定PVも公開。4分の動画の中ではひと足早くアニメーション映像が解禁された。併せてキャストも発表に。ゲジヒト役は藤真秀が、アトム役は日笠陽子、ウラン役は鈴木みのりが務める。さらに3月25日と26日に東京・東京ビッグサイトで開催される「AnimeJapan 2023」内の「ネトフリアニメ スペシャルステージ」には浦沢、手塚眞、日笠、鈴木が登壇することも明らかとなった。
浦沢直樹コメント
60年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の「心の漫画」となった「鉄腕アトム」の挿話「地上最大のロボット」。
この作品のリメイクがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな「心の作品」の誕生に心躍っています。
今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように。
長崎尚志コメント
60年前、「PLUTO」の原作「地上最大のロボット」が誕生した。
最強の戦闘能力を持つロボット達が競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年達は熱狂した。アトムファンというより「地上最大のロボット」ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。
「PLUTO」はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……
それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。
手塚眞コメント
ついに、やっと、「PLUTO」がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。
何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。
しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。
そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。
アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。
Netflixシリーズ「PLUTO」
2023年独占配信
スタッフ
原作:「PLUTO」浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修 / 手塚眞 協力 / 手塚プロダクション(小学館 ビッグコミックス刊)
アニメーション制作:スタジオM2
制作プロデュース:ジェンコ
キャスト
ゲジヒト:藤真秀
アトム:日笠陽子
ウラン:鈴木みのり
「AnimeJapan 2023」ネトフリアニメ スペシャルステージ
日時:2023年3月25日(土)11:20~11:50
場所:東京都 東京ビッグサイト「AnimeJapan 2023」会場内 BLUE STAGE
出演:浦沢直樹、手塚眞、日笠陽子、鈴木みのり(予定)