カレンダーを見ると「○○の日」と書いてあり、その日が何かの記念日になっていると気が付くことがあります。何かの日だと知るだけで、ちょっと今日が特別に感じて何かしたくなるもの。そんなときは、記念日に関係したマンガを読んでみるのはどうでしょう。1月19日は、119番通報にちなんで「家庭消火器点検の日」。有事に備えて消化器が使えるかをチェックしようという、防火意識を高める目的で制定された日です。火事について描いたマンガを読んで、その恐ろしさを学びましょう。
文・構成 / コミックナタリー編集部
のりつけ雅春「しあわせアフロ田中」(小学館)
そのときが来たら、あなたは消防車を呼べるか?「消防車が来ない話」
古民家を改修してゲストハウスを作ろうとする友人・村田と、その手伝いをしていた主人公・田中。めでたくゲストハウスがオープンできることになり、田中たちはお祝いの飲み会を始める。そうして全員が酔いつぶれてしまい、気が付くとあたり一面は火の海……。勢いよく燃え上がるゲストハウスを心配した近隣住民も集まり始めるが、一向に消防車はやって来ない。「消防車はまだかー!!!」「なぜ来ないー!!!」と泣き叫ぶ村田。それでも消防車は来ない……なぜなら、誰も消防車を呼んでいないのである! 大勢の人がいるのに、自分以外の誰かが通報をしているに違いないとみんなが思ってしまった結果、いつまで経っても消防車がやって来ないという最悪の事態を描いたこの話は「しあわせアフロ田中」4巻に収録。作者・のりつけ雅春が「消防車が来ない話」としてTwitterで公開したことでも話題となった。火事を起こさないことはなにより大事だが、火の手が上がってしまったときに見ているだけでは火は消えないということを実感させてくれるエピソードだ。
「消防車が来ない話」 – のりつけ雅春@zenbutukawarete|Twitter
石黒正数「それでも町は廻っている」(少年画報社)
夜の町に響く「火の用心」「マッチ一本火事の元」の声も、立派な防災活動
主人公・嵐山歩鳥が暮らす丸子商店街では近頃、消防車の音がよく鳴り響いていた。隣町で不審火が相次いでおり、犯人は丸子商店街もターゲットにしているかも知れないと、刑事の松田は近隣住民に注意をして回る。それを聞きつけた歩鳥は、夜回り当番で放火魔を捕まえようと決意。その裏で見回りをしていた松田刑事は、放火魔と遭遇してしまい……!? このエピソード「燃えよ 歩鳥」は単行本9巻に収録。「火の用心」「マッチ一本火事の元」の声と拍子木の音を響かせながら商店街を練り歩く歩鳥たちの姿は一見のどかに映るが、そうして見張っている人間がいるというプレッシャーは放火を防ぐ抑止力になり、また近隣住民にも安心感を与える。冬になると窓の外から聞こえてくる「火の用心」の声も、立派な防災活動といえよう。
曽田正人「め組の大吾」(小学館)
火がついた布団は、消火してもご用心。中でくすぶり再発火の危険も!
「め組の大吾」は、幼い頃から消防士に憧れていた青年・朝比奈大吾が、地元の消防署であるめだかヶ浜出張所・通称「め組」に配属となったことから始まる消防ストーリー。第3巻収録の「種火参上」「深夜の一騎打ち」では、布団にタバコの火がついたという通報を受けるが到着した頃には鎮火しており、大吾たちの出動は空振りに終わる。しかし一度は消火したはずの布団が夜になって再発火し、大規模な火災へと発展する事態に。一度火がついた布団は中綿がくすぶって危険なため、半日は水に浸さなくてはいけないという注意を住人が無視したためにこの火事は起こってしまった。目の前に火がないと人は油断してしまうということがよくわかる、防火意識が刺激されるエピソードだ。なお同作は続編「め組の大吾 救国のオレンジ」が、月刊少年マガジン(講談社)で連載中。