「ククルス・ドアンの島」練習していて泣きました、古谷徹の言葉に安彦「いい話できた」
“ザクの日”である本日3月9日に「ザクの日 スペシャル会見」が開催され、劇場アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」にてアムロ・レイ役を務める古谷徹、ククルス・ドアン役を務める武内駿輔、監督の安彦良和が登壇した。
6月3日に公開される「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」は、1979年に放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」を映画化したもの。同作で約40年ぶりに15歳のアムロを映画で演じる古谷は、アムロの声色で「こんなにうれしいことはない」と、アムロの名セリフに絡めて喜びを表現し、場を沸かせた。
「ククルス・ドアンの島」を映画化するに至った経緯を聞かれた安彦監督は「なぜだろうと自分に聞きたいです(笑)。偶然と必然が微妙に絡み合って“やろう”となった。それが手短な説明で、これを噛み砕いて説明すると会見が終わってしまう(笑)」と冗談めかしながら説明。さらに映画の元となるエピソード「ククルス・ドアンの島」について「“作画崩壊”で検索すると、『ククルス・ドアンの島』が出てくるんです。非常に曰く、因縁のある話。面倒な申し出だったと思うんですけど、サンライズの新旧2人の社長さんがいる場で『やりたい』と言ったら、その場でOKをいただきました」と“偶然”をきっかけに映画化が動き出したことを明かした。
この日の会見では、特報映像、ティザービジュアル、劇場バナーなど新情報を続々と発表。ブライト、カイ、セイラ、スレッガーらホワイトベースのクルーが並ぶ劇場バナーが公開されると、古谷も思わず「懐かしい」と呟く。TVアニメ第15話には登場しないはずのスレッガーが描かれていることについては、安彦監督から自身のマンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」で変更を加えた時系列が関係していることも伝えられた。
ガンダムとザクの死闘を切り取ったティザービジュアルについて、ドアン専用ザクがTVシリーズでは持っていなかった武器のヒートホークを手にしていることについても触れられる。安彦監督は「武器を持っていなかったというのは、つい最近まで知らなかった」と告白し、作画崩壊という評判や、それを防げなかったことへの罪悪感から15話を観ることができなかったことを明かす。続けて、安彦監督は有名な石を投げつけるシーンについて聞かれた際に、そのシーンを知らなかったことから、熱い思いを持つスタッフに「石は投げなきゃダメですよ」と言われ、同シーンを確認するため仕方なく視聴したことを話し、古谷と武内を驚かせた。
この日の朝にククルス・ドアン役として発表されたばかりの武内は、「ドアンのキャラクターも少し人物像が変わっていたり、ほかシリーズに登場したことのない劇場版ならではのドアン。今までのイメージを崩さないのは大前提として、僕なりのドアンとの向き合い方をして取り組んだ」と意気込みを伝える。さらに「ザク乗りの肩書きを背負って劇場版の主人公のひとりをやれる機会はなかなかないので、俄然やる気が出ました」と喜びを口にした。
再び15歳のアムロを演じる心境を聞かれた古谷は「『めぐりあい宇宙』も劇場版でしたし、そこでブレイクしたので感慨深い。それが再びスクリーンに戻ってくるっていうのは、感無量です。これだけのときを経てまた15歳のアムロを演じられるなんて思いもしなかったです」と思いを伝える。安彦監督も2人の演技についてコメント。竹内に「ダビングのときに改めて武内さんの声を聞いて、いい声だな、いいドアンだなとみんなで聞き惚れていました」と言葉を送り、古谷には「古谷さんが、いの一番に声を当ててくださった。それに絵をはめて、古谷さんはさらにお若くなられたと思いました。絵的にはアムロは制服も着ていないウブな少年。それに非常にハマっていて驚きました」と伝える。古谷も「安彦監督がアムロの動き、表情を一挙手一投足を丁寧に描いてくださっているので、すごく役に入りやすかったです」と安彦監督に感謝の言葉を送った。
最後の挨拶では古谷が「僕が劇場で15歳のアムロを演じるのは、もしかしたらこれが最後になるかもしれません。この映画でイキイキと動いているアムロを僕の声とともに皆さんの記憶に留めておいてほしいと思います」と熱い思いを語る。安彦監督も古谷の言葉を受け「『ガンダム』限定でアニメ界に戻ってきたんです。『ククルス・ドアンの島』をやってもう思い残すことはないので、多分『ガンダム』を映像で作るのはこれが最後、アニメーションもこれが最後だろうと思います」と作品にかける思いを伝える。続けて「古谷さんが最初にアフレコをやってくださったんですが、その帰りに『家で練習していて泣きました』と言われたんです。それがうれしかった。その一言でいい話ができたと自信が付きました。期待していただいていいと思います」と、長年の付き合いである古谷の言葉を明かし、会見を締めくくった。なお、ガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」では同会見の模様が追って配信される。
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」
2022年6月3日(金)公開
スタッフ
企画・製作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:安彦良和
副監督:イムガヒ
脚本 : 根元歳三
キャラクターデザイン:安彦良和、田村篤、ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:大河原邦男、カトキハジメ、山根公利
美術監督:金子雄司
色彩設計:安部なぎさ
撮影監督:葛山剛士、飯島亮
CGI 演出:森田修平、CGI
監督:安部保仁
編集:新居和弘
音響監督:藤野貞義
音楽:服部隆之
配給:松竹
キャスト
アムロ・レイ:古谷徹
ククルス・ドアン:武内駿輔
ブライト・ノア:成田剣
カイ・シデン:古川登志夫
セイラ・マス:潘めぐみ
ハヤト・コバヤシ:中西英樹
スレッガー・ロウ:池添朋文
ミライ・ヤシマ:新井里美
フラウ・ボゥ:福圓美里
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