舞台「千と千尋の神隠し」の初日記者会見が、去る3月3日に東京・帝国劇場で開催。千尋役の橋本環奈と上白石萌音、湯婆婆/銭婆役の夏木マリと朴ろ美が登壇し、MCを青蛙役のおばたのお兄さんが務めた。
東京・帝国劇場での上演を皮切りに、大阪、福岡、北海道、愛知で開催される舞台「千と千尋の神隠し」。舞台初日を迎えた感想として、3月2日に初日舞台を迎えた橋本は「お話をいただいた時から幕が上がることを楽しみにしていて。今日という日を迎えることができてすごくうれしいなと思います」と喜びをあらわにした。数時間後に初公演を迎える上白石も、開催の喜びを伝えるとともに「こんな時期に劇場に足を運んでくださる方々の気持ちに応えられるように、日々楽しく丁寧にやっていきたいと思っています」と意気込みを語る。夏木は「7月まで続く舞台なので、日々ブラッシュアップしてどんどんいいものになっていくと思います」と話し、コロナ禍でのものづくりの大変さを痛感したと言う朴は、「言えないような努力をしてきて今この場に立っています。ものづくりに本当に真摯な人に囲まれた幸せな現場です」と舞台裏の苦労に触れた。
ここでおばたのお兄さんが、舞台を観劇したという鈴木敏夫プロデューサーからのコメントを紹介。「お世辞なしに本当におもしろかったです」「原作へのリスペクトが感じられて嬉しかったです」とのコメントに対し、橋本は「映画『千と千尋の神隠し』が好きなみんなが集まっているこの舞台でお褒めの言葉をいただけるのは本当にうれしいです」と笑顔を見せる。稽古に入る前に何度も映画やフィルムコミックを観たと話す上白石も、「作品の素晴らしさに助けられることもあればその素晴らしさを壁に感じることもあったので、ほっとしています」と安堵の気持ちを吐露した。一番最初のプレビュー公演に出演した朴は「カオナシみたいにゲロ吐くかと思いました(笑)。諸事情によりゲネプロができなくて、そのままプレビュー初日の通しだったもので、本当に緊張しました」と当時の緊張感を明らかにした。
稽古中に大変だったことについて、おばたが「全部です」と前置きをしたうえで、橋本と上白石は「常に忙しかった」と回答。「千尋はステージからはけている時間が短く、舞台裏でも早着替えを常にしていました」と語る橋本に、上白石も大いに賛同した。また橋本は「ドジな一面のある千尋を演じるうえで、実際にケガをしない転び方を研究するのが難しかった」と知られざる努力も語った。
囲み取材では「激しい舞台転換をこなす中で痩せましたか」と問われたキャスト陣。夏木が800g痩せたと明かす一方、橋本はまったく痩せなかったと語る。初めて舞台を通した日に1.5kg減ったという上白石は、「今はいくら食べても太らない無双状態なので楽しもうと思っています」と話して会場の笑いを誘った。また映画を再現したこの舞台セットに入ったときの気持ちを問われた橋本は、「肌で感じることができて、千尋と同じ気持ちになれたと思います」と述べる。夏木は「テーマパークにいるようで、裏に出たり表に出たりとぐるぐる回るから楽しいなと感じる瞬間はありますよね」と語った。
7月までの長期公演に備えて、健康維持のために何かしていることはあるかと問われた上白石は「熱いお風呂に入ることですね。お湯屋なので(笑)」と明かす。橋本が「特にやっていないけど大丈夫です」と話すと、「この人、ストレッチもしないんですよ!」と上白石がすかさずツッコみ、せめてストレッチはしてほしいと橋本に強くお願いした。稽古が終わった後のケアや朝のマッサージを欠かさない夏木に対して、朴は橋本と同じく声のケア含め何もしないと答えた。
最後に出演者を代表し、橋本と上白石が挨拶。橋本は「無事に幕を上げることができたので、最後まで必死に千尋として走り抜けたいと思います」、上白石は「いろんなことが起きている世の中ですが、劇場にいらっしゃる3時間だけでもいろんなことを忘れて楽しんでいただけるように、私たちも夢中になって全員で走り抜けたいと思います」とそれぞれ意気込んだ。
鈴木敏夫コメント
お世辞なしに本当におもしろかったです。とにかくジョンの演出とキャストの皆さんが素晴らしくて、原作へのリスペクトが感じられて嬉しかったです。印象的なシーンを言い出したらきりがありませんが、 キャストが大勢が出てくるシーンはどのシーンも観ていて気持ちが高揚しましたし、千尋とカオナシが電車に乗って行くシーンは実は観るまで少し心
配だったのですが、非常にうまくできていると感動しました。映画の公開から20年が経っていることを考えるとキャストの方々の中には当時まだ生まれたばかりだった方もいて、幼い頃に映画「千と千尋の神隠し」をご覧になっている方もいる。その経験が舞台の迫力に繋がっているような気がして感慨深いです 。皆さんがんばってください!
舞台「千と千尋の神隠し」
期間:2022年3月2日(水)~29日(火)
会場:東京都 帝国劇場
※2月28日(月)、3月1日(火)にプレビュー。
期間:2022年4月13日(水)~24日(日)
会場:大阪府 梅田芸術劇場メインホール
期間:2022年5月1日(日)~28日(土)
会場:福岡県 博多座
期間:2022年6月6日(月)~12日(日)
会場:北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
期間:2022年6月22日(水)~7月4日(月)
会場:愛知県 御園座
スタッフ
原作:宮崎駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
オリジナルスコア:久石譲
音楽スーパーヴァイザー・編曲:ブラッド・ハーク
オーケストレーション:ブラッド・ハーク、コナー・キーラン
美術:ジョン・ボウサー
パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ
振付:井手茂太
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
映像:栗山聡之
音楽監督・指揮:深澤恵梨香
舞台監督:北條孝
演出補佐:今井麻緒子
演出助手:永井誠、小貫流星
プロデューサー:尾木晴佳
協力:スタジオジブリ
製作:東宝
キャスト
千尋:橋本環奈、上白石萌音
ハク:醍醐虎汰朗、三浦宏規
カオナシ:菅原小春、辻本知彦
リン / 千尋の母:咲妃みゆ、妃海風
釜爺:田口トモロヲ、橋本さとし
湯婆婆 / 銭婆:夏木マリ、朴ろ美
兄役 / 千尋の父:大澄賢也
父役:吉村直
青蛙:おばたのお兄さん
阿部真理亜、新井海人、五十嵐結也、桜雪陽子、大重わたる、折井理子、可知寛子、香月彩里、城俊彦、末冨真由、田川景一、竹廣隼人、知念紗耶、手代木花野、中上綾女、花島令、松之木天辺、水野栄治、武者真由、保野優奈、八尋雪綺、YAMATO、山野光
※宮崎駿の崎はたつさき、辻本知彦の辻は1点しんにょうの点、朴ろ美のろは王へんに路が正式表記。