27年ぶり新作展示「楳図かずお大美術展」明日開幕、中川翔子「全人類に見てほしい」

「楳図かずお大美術展」のオープニングセレモニーの様子。左から楳図かずお、中川翔子。

楳図かずおの展覧会「楳図かずお大美術展」のオープニングセレモニーが、本日1月27日に東京・東京シティビューで実施され、楳図と中川翔子が登壇した。

明日1月28日から3月25日まで同会場で開催される「楳図かずお大美術展」は、“楳図かずおの世界”を発信してく「UMEZZ ART PROJECT」の一環として実施されるもの。楳図が4年かけて制作した27年ぶりの新作「ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館」が初公開されるほか、現代アーティストによる楳図作品をテーマにしたインスタレーションなども展示される。

楳図かずおの“比類なき芸術性”に焦点を当てた」という同展について、会見に元気な様子で姿を現した楳図は「マンガも一歩上に登って、高いところを目指さないといけない。そう考えたとき、そこにあったのが絵画、芸術ですよね」とコメント。また27年ぶりの新作が発表されることについては「フランスのアングレームで賞をいただいたときに、何かやらなきゃと思ったんです。そこから4年間、じっと耐えに耐えて、しゃべりたいのも我慢して、4年ぶりにここに来ました。この日のために4年間があったんだなという感慨です」と思いを語る。

今回披露される新作「ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館」は、1980年代に描かれた「わたしは真悟」の続編で、アクリル絵画による101点の連作形式で展示されるもの。楳図はこの新作について「自信はありました。自信がなきゃやってられないですよ。自信の塊で、大丈夫だと思いながら1個1個丁寧に、描き上げていきました」と力強く述べ、「マンガでもなければ絵画でもない、新しいものをやらないと。創作は新しくないと意味がない。でも見てもらえたらわかると思うんですが、両方の要素がしっかりある」と解説し、「マンガはつなぎの芸術ですが、絵画はクライマックスしかないんです。その違いって大きいじゃないですか。だからつながって入るけど、ひとつずつ取り出してみれば、そこにはいろんな要素があってクライマックスだなってわかるような絵を描きました」と明かした。

さらに会場の雰囲気についてもとても満足していると語る楳図。「単純でシンプルにお願いしますって言いました。シンプルに展示していただいて、しっかり世界に入り込んでいただきたかったんですね。あともう1つ、ほかの絵画と違うところを出さなきゃということで、額縁です。赤と緑の額縁。これは僕の作品じゃないとありえないと思う」と見どころをアピールした。

そしてイベントには、楳図のファンとしても知られる中川が登場。直接会うのは8年ぶりだという中川は「久しぶりにお会いできて、うれしさもひとしお。私は子供の頃から先生の作品を模写していたら、学校で嫌なことがあっても忘れることができて救われました。『翔子』の名前も『漂流教室』の翔ちゃんからいただいて。私の人生があるのは先生のおかげです」と、楳図への熱い思いが溢れ出す。また司会者から楳図作品で一番好きな作品は?と問われると、「一番って言われると難しい。美しい中に怖いも不思議もなぜ?も過去も未来も詰まっていて、先生はもう生きる文化遺産……革命であり、作品にもいろんなテーマがあるので、1つと言われると……」と悩みながらも「でも『漂流教室』で。今日は」と結論を出す。

また展示を観てきたという中川は、新作について「何より楳図先生がお元気に新たな作品を生み出し続けてくださることに感謝で、すごいことだと思います。101枚の連作を見たときに、マンガのエッセンスもありながら、これまでの作品を彷彿とさせるテーマ、それが全部カラーで見れるのは大感動。見る角度によってキラキラと違った輝きが楽しめます」「1枚ずつ見てもいいし連続で見るとマンガのようでもあり、たくさんの時間をかけて描かれたと思うと、皆さんぜひ生で見てほしいです、絶対に。印刷とは違う生の迫力。海外の方にも日本語の面白さを見てほしいですし、全世界の全人類に見てほしいです」と力説する。

語りだすと止まらない中川を楽しそうに見ていた楳図は「コピーとか印刷物では出てこない、金とか銀とか、特に金を使いたかった。普段はなかなか使わない色なので、ここだと思うところがあって」とカラーについても言及。そして「絵を描いているときは心が落ち着いて、絵を描くのは精神的に素晴らしいものがあるなと改めて思いました」と執筆を振り返る。そして「間違いなくがっかりさせることはないと思うので、ゆっくり見ていただいて、お家に帰ってその結果を皆さんにお知らせしていただいて、お友達も呼んでまた来てくださればうれしいです」と、展示を楽しみにしてるファンへのメッセージを送った。

さらにフォトセッション前には、中川が楳図作品のキャラクターを描いたイラストをプレゼントする場面も。オープニングセレモニーは和やかな雰囲気で幕を閉じた。なお会場と同フロアにあるカフェ「THE SUN & THE MOON」では、期間限定のコラボメニューを提供。「楳図ハウスパフェ」など、楳図の世界観を表現したコラボスイーツやフード、ドリンクが用意される。

楳図かずお大美術展」

会期:2022年1月28日(金)~3月25日(金)※会期中無休
時間:10:00~22:00(最終入館21:30)
会場:東京都 東京シティビュー
料金:一般2200円、高大生1500円、4歳~中学生900円、シニア1800円

(c)楳図かずお (c)エキソニモ (c)冨安由真 (c)鴻池朋子 (c)楳図かずお/小学館