“マンガ原作者の仕事”にスポットを当てた同コラムは、なぜマンガ原作者という仕事を選んだのか、どんな理由でマンガの原作を手がけることになったのか、実際どのようにマンガ制作に関わっているのかといった疑問に、現在活躍中のマンガ原作者に答えてもらう企画。原作者として彼らが手がけたプロット・ネームと完成原稿を比較し、“マンガ原作者の仕事”の奥深さに迫る。
第5回は「薬屋のひとりごと」「トネリコの王」などで知られる小説家であり、現在花とゆめ(白泉社)で連載中の「神さま学校の落ちこぼれ」の原作を担当する日向夏が登場。「神さま学校の落ちこぼれ」は日向夏の小説のコミカライズではなく、「兄友」の赤瓦もどむとタッグを組んでともに作り上げているマンガ作品。今回は日向夏に、マンガ原作ならではの魅力を語ってもらった。
構成 / 増田桃子
「神さま学校の落ちこぼれ」第1話制作の裏話
第1話はとりあえずどんなものができるか、試行錯誤でした。
ヒロインはだいたい決まっていたので問題なかったのですが、どう話を始めるか、ヒーローはどうするか3パターン提出して、そのうち2パターンを組み合わせて作ったのが現在の1話ですね。
なお、あるパターンではヒーローは同い年の人狼少年だったり、まったく今と雰囲気が違う物だったり。ツクヨミが影も形もなかったり。
マンガ原作者として仕事を始めるに至った経緯
もともと花ゆめ読者で、編集さんに「花ゆめの原作の仕事があるよ、やってみない」と言われて断れるわけないじゃないですか。
最もこだわっている作業
マンガ的わかりやすさを想像しつつ書いています。
漫符と言いますかこの書き方ならマンガではこう描くであろうというのを想像しつつ書きます。それを赤瓦先生が上手く読み取って描いてくれるのでうれしいですね。
マンガ原作者という仕事の魅力
自分の作った世界をマンガ家さんという素晴らしいクリエーターに描いてもらう。うれしいですよ。
マンガ家さんの手が入ることで、自分だけではなかった物語の可能性が増えるというのは大変楽しいことですね。
マンガ原作者を目指す人へ
マンガは面白いから読もう、くらいしか。あっ、資料の読み込みは必要かもしれないです。
小説では誤魔化しが利く部分をマンガにするとなったら誤魔化せないので、いかに絵にしやすい文面を作るかが大変だと思います。そのため、絵を描かなくても明確なイメージを用意しておかないといけないかなと。
自分も上手く言語化できなかったりするので難しいですね。
日向夏(ヒュウガナツ)
小説投稿サイト・小説家になろうに発表したミステリー「薬屋のひとりごと」がヒーロー文庫より書籍化。同作はコミカライズが2作展開されており、倉田三ノ路作画による「薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~」が月刊サンデーGX(小学館)で、ねこクラゲ作画、七緒一綺構成による「薬屋のひとりごと」が月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)で連載中だ。このほか著作に「トネリコの王」「繰り巫女あやかし夜噺」「なぞとき遺跡発掘部」「女衒屋グエン」など多数。