村上春樹「螢」とオーウェル「一九八四年」を森泉岳土がマンガ化、原画展も

「村上春樹の『螢』・オーウェルの『一九八四年』」カバー

森泉岳土の「村上春樹の『螢』・オーウェルの『一九八四年』」が、河出書房新社より刊行された。書名に含まれている小説2編のコミカライズを収めた単行本だ。

「螢」は主人公である“僕”と、死んでしまった友人の恋人“彼女”の関係を描いた恋愛作品。“彼女”とは当時よく一緒に遊んでいたが、友人が死んでからその関係は途切れ、高校を卒業して東京に来ていた“僕”が偶然に再会したことから物語は始まる。本作の原作を収録した村上春樹の「螢・納屋を焼く・その他の短編」は1984年に刊行された。

「一九八四年」は、本書のための描き下ろし作品。原作は、ディストピア文学の傑作として知られるジョージ・オーウェルの小説だ。独裁者のビッグ・ブラザーに支配された都市を舞台に、街角や室内に設置された監視用のテレスクリーン、反抗的な人間を見つけ拷問を行う思考警察などが存在する超監視社会の暮らしを描く。

また刊行を記念して、2020年1月7日から26日にかけて東京・青山ブックセンター本店のギャラリースペースでは原画展が開催される。「水で描き、そこに墨を落とし、細かいところは爪楊枝や割り箸を使ってマンガを描く」という特異な技法で作画を行っている森泉の原画だけに、単行本を片手に完成したマンガと比べて見るのも一興だ。

森泉岳土原画展

会期:2020年1月7日(火) ~1月26日(日)
会場:東京都 青山ブックセンター本店ギャラリースペース