「この世界の片隅に」長尺版は12月20日公開、EDに名前が載る応援企画も発表

片渕須直監督

こうの史代原作による映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の公開日が、12月20日に決定。片渕須直監督とプロデューサーの真木太郎が、本日3月29日に東京・テアトル新宿で行われた公開日発表イベントにて明らかにした。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は、映画「この世界の片隅に」に、約30分の新規場面を追加した新バージョン。当初2018年12月公開とアナウンスされていたが、昨年10月に「当初の想定以上に制作に時間を要しており、本編完成までには数か月単位での期間が必要になることが判明しました」と延期を発表していた。

片渕監督は公開延期の理由について「がんばればなんとかなるという意気込みがあった。でも物理的な問題で本当に間に合わなくなってしまった。(制作が)全然進まないという状況だった」と説明。また2015年から絶え間なく映画作りを続けていることに触れ、「すごく少数精鋭でやっているもんですから、そこまで加速がきかない。ずっと長く、ネチネチ作り続ける日々でして」と述べる。また「そうすることできちんとしたものをお届けできるのでは、とも考えています」と語った。

続いて、新規カットで構成された新特報をお披露目。映像の中で公開日が2019年12月20日と発表される。延期される前の段階でも12月20日前後の公開を想定していたそうで、片渕監督は「丸1年延びてしまった。すぐにでも観られると思った皆さんには申し訳ない」とファンに謝罪する。公開を12月に決めた理由として映画の冒頭、幼少期のすずが兄の代理で海苔を届ける場面が設定上「(昭和)8年12月22日」であることに言及し、「クリスマスの準備をしている街から始まります」と強調。その上で「第二次世界大戦を描いた作品は、どうしても8月のものと言われがちです。でも、むしろそうではない、8月のものではないと考えてこの映画を推し進めていきました。戦争、それ以前の歴史は、ずっと続いている毎日、と捉えてもらいたかった」と明かす。

一方で、夏休みのある8月に公開するメリットを考えたという話も。片渕監督は「おじいさん、おばあさんとお孫さんが一緒に観てもらえる。それぞれのご家庭で『あの頃はこうだった』と話が広がるのではという期待もあった」と語りつつ、「正直言うと8月は無理です」と述べて笑いを誘う。そして「夏休みと同じように、世代を超えて話題が広がるのは、年末からお正月にかけての時期なのでは思って、冬に公開を定めました」と付け加えた。

イベントでは「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」応援チームの参加者を募集することも発表される。もともとクラウドファンディングで資金を募り制作された「この世界の片隅に」。映画のエンドクレジットには、クラウドファンディングに参加した人々の名前が並んだ。片渕監督は「クラウドファンディングが終わってからも、たくさんの方々がこの映画を応援してくださった。『もし知っていたらエンドクレジットに名前を載せたかった』という声も多くいただいた」と振り返る。

そこで今回はクラウドファンディングではなく、参加することでエンドクレジットに名前を掲載できる応援チームプロジェクトを展開。参加者には、それぞれの応援チームの名刺と宣伝用のチラシカードが配布され、それを使って映画を応援することができる仕組みだ。名刺の制作費、発送費などがあるため、応援チームは有料会員制。募集開始時期は5月下旬を予定している。詳細は映画の公式サイトにて確認を。片渕監督は最後に「12月のクリスマスの時期には、すずさんが装いを変えて皆さんの前に帰ってくる。それまでどうかよろしくお願いいたします」と呼びかけた。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は東京・テアトル新宿、ユーロスペースほかにて全国ロードショー。本日のイベントで上映された特報の第2弾はYouTubeにて公開中だ。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」

2019年12月20日(金)全国公開

スタッフ・キャスト

原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎
監督・脚本:片渕須直
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
製作:2018「この世界の片隅に」製作委員会 
出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外

(c)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会