「ヤマト2202」最終章公開、小野大輔「偉大な作品を僕ら世代が演じる意味を考えた」

前列左からシリーズ構成の福井晴敏、森雪役の桑島法子、古代進役の小野大輔、島大介役の鈴村健一、監督の羽原信義。後列左から桐生美影役の中村繪里子、クラウス・キーマン役の神谷浩史、アベルト・デスラー役の山寺宏一、ズォーダー役の手塚秀彰。

「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章『新星篇』」の上映記念舞台挨拶が、本日3月2日に東京・丸の内ピカデリーにて行われた。

アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク作品である「宇宙戦艦ヤマト2199」のその後を全7章構成で描く「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」。最終章となる第7章「新星篇」は、昨日3月1日より全国35館の劇場で期間限定上映されている。本日の舞台挨拶には古代進役の小野大輔、森雪役の桑島法子、島大介役の鈴村健一、アベルト・デスラー役の山寺宏一、クラウス・キーマン役の神谷浩史、ズォーダー役の手塚秀彰、監督の羽原信義、シリーズ構成の福井晴敏が登壇。また桐生美影役の中村繪里子がMCを担当した。

MCを務めた中村から、映画の試写後に泣いていたことを早速暴露された小野は「なんでいうんですか!」と慌てながらも、「作品に関わる立場として、(観た後に)泣くことってなかなかないんですよ。だから僕も不思議で……なぜか涙が溢れてくるんです」と感慨深げに語る。また涙の理由について「古代としてはつらいことが多く、それが全部今日で報われたこと。そして特に第七章では仲間のことが描かれるので、仲間たちのことを思うと……。恥ずかしいんですけど(笑)」と語り、はにかんだ。

小野が涙する様子を見ていたという桑島は「小野くんがこんなに涙もろいとは……。私も試写では泣いたりしてたんですけど、もう、ずっと泣いてるから(笑)」と小野を見つめる。小野から「でも、泣くでしょう?」と返されると大きくうなずき、「私は(前作にあたる)『2199』からこの作品と関わってきて、アフレコがない時期も『ヤマト』が頭の片隅にある生活を送ってました」と振り返り、「『2202』で再スタートさせていただいて、またヤマトに乗ることができた。でもこれが最後なんだと思ったらとても寂しくなって……受け止めきれない、気持ちの整理ができない状態で試写を観て」と、長年関わってきた作品が終りを迎える心境を述べる。そして「でも今日、皆さんの前で挨拶をしたら、これでひと区切りなんだと実感が湧いてきました。またヤマトがない暮らしに、戻っていくんだなって」と観客に思いを伝えた。

鈴村は、これから映画を観る観客に向かって「期待していただいて大丈夫です。素晴らしい仕上がり。僕は出演してますから、全部内容を知ったうえで観たんですけど、こんなにすごかったんだと感動しました」と絶賛する。しかし「アフレコのときって僕ら、イマジネーションを働かせながら演じていたので……」と、絵のない状況でアフレコをしていたことを振り返り、観客を笑わせる。苦笑いを浮かべる羽原監督、福井を尻目に「ずーっと白色彗星にいるみたいに、本当に真っ白だったので(笑)」と続けるが、「でも完成した作品を観ると、想像を上回る仕上がりになっている。白いのを肯定するわけではないですが(笑)、それはそれで新たな効果が生まれているのかもしれない」と持論を展開した。

アフレコに2年以上の時間を費やした本作について、神谷は「贅沢な時間を使っているなと。やっぱり信頼関係って時間が育んでいくって思うんですよね。短い時間に集中して熱量を込める作品も素晴らしいですが、じっくりと信頼関係を育んでエンディングにたどり着けたのがよかったです」と述べる。さらに隣に立つデスラー役の山寺をうかがい「山寺さんと一緒にお芝居できて、すごく楽しくて。自分はすごい狭い道を進んでいくしかない役だったので、『これしか答えがない』という状況で、そこを狙っていかないとけないのは苦労しました。そんな中で、デスラーと出会うことによってキーマンがあんなふうに変化するのは驚きでしたし、気持ちが揺れていくのを演じられてよかった」と回想する。

そんな神谷の言葉を笑顔で聞いていた山寺は「中学生の頃から『ヤマト』のファンで、デスラーも大好きだったのでとにかくプレッシャーだった」とデスラーを演じたことについて吐露。「最初は、自分がちゃんとデスラーをやれているかってことばかり気にしてたんですが、終わってみると自分なんかどうでもよくて。とにかくこの物語に参加できてよかったっていうのが一番です」と感無量の様子。そして手塚は「これだけの大作に出会うことはそうそうないこと。(ズォーダーは)あのキャラクターデザイン、あの顔ですからね(笑)。悩みながら演じてなんとか第7章まで迎えることができました。是非、期待して楽しんでください」と観客にアピールした。

終盤には、羽原監督と福井からサプライズでキャスト陣への花束が登場。小野は「胸がいっぱいで何を伝えていいのか……感謝でいっぱいです。最初はプレッシャーだけだったんですけど、偉大な作品を僕たちの世代が演じることの意味をたくさん考えました。ただただ『ヤマト』の旅路をなぞるわけではなく、今この時代に生きる僕たちの熱量、魂でこの船を進められたことを誇りに思っています」と思いを語り、「僕らもそうですが、皆さんもヤマトクルーです」と観客に投げかける。そして桑島は「これで終わってしまうんだなという寂しさがやっぱりどうしてもあるんですが、毎回劇場に足を運んでくださったり、感想をつぶやいてくださったりする熱い皆さんの心を受け取りながら、長い航海を最後までたどり着けたような気がします。これからも何度も観てほしいです」と気持ちを伝えた。

最後に、羽原監督は「一番最初の記者会見で『魂を込めます』といいましたが、今何も残ってないです(笑)。すっからかんな状態」と安心した表情を浮かべる。そして「多くの愛情がこもったリメイクのシリーズが、こういった形で締めくくることができるのは皆さんのおかげ。劇場でたくさんの人が一緒に観るのって大事なことだと思います。今日はライブビューイングの方々もいます。なかなかない機会だと思うので、この空気を共有していただいて、楽しんでくださるとありがたいです」と舞台挨拶を締めくくった。

(c)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 2202 製作委員会