三木眞一郎らが男女の生き様演じる朗読劇「黄昏流星群」、弘兼憲史の制作裏話も

11月22日に行われた「弘兼憲史・四季のドラマ オーディオドラマシアター 黄昏流星群」の様子。前列左から藍とも子、井口成人、三木眞一郎、竹内恵美子。 (c)弘兼憲史/小学館 (c)81produce

弘兼憲史「黄昏流星群」を題材とした朗読劇「弘兼憲史・四季のドラマ オーディオドラマシアター 黄昏流星群」が、去る11月21日と22日に東京・eplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて開催。コミックナタリーでは22日の公演の模様をお届けする。

1995年よりビッグコミックオリジナル(小学館)にて連載中の「黄昏流星群」は、中年、熟年、老年の恋愛を主軸に、さまざまな人間の人生観を描くオムニバスストーリー。22日の公演では、単行本29巻に収録の「星を追いかけて」、4巻に収録の「星のレストラン」が、三木眞一郎、藍とも子、井口成人らキャストにより演じられた。

朗読は川崎龍によるピアノの生演奏をバックに、モニターに作中のシーンを投影しながら展開。タクシー運転手の加瀬洋子と、乗客の植田を中心に描く「星を追いかけて」では、藍が洋子を、三木が植田を務め、謎めいた植田に惹かれていく洋子の姿を演じた。もう一編の「星のレストラン」は、料理人の北岡ヒロミ、大学の図書館で働く今村美奈の若きカップルと、一見くたびれた老人・立松一平との交流を描く物語。ヒロミ役は三木、美奈役は竹内恵美子、立松役を井口が演じ、クライマックスの立松と、藍演じるかつての恋人・ソフィーの再会シーンでは、熱のこもった演技に会場からはすすり泣く声が漏れ聞こえた。

終演後にはステージに弘兼が登壇。急遽ゲスト出演となった、女優の荻野目慶子とともにトークを展開した。客席からステージを見ていた荻野目は「声優の方々の情感の溢れ方が、なんでここまで先生の絵とシンクロするんだろうと。読んでいる方と(キャラクターの)表情が似てきて見えました」と感動を語った。

各エピソードのタイトルに「星」が付く同作。「星を追いかけて」について、弘兼は「『星を追いかけて』の“星”は、犯人の“ホシ”でもあるんです。最初にそのタイトルを思いついて、刑事の話を描こうとストーリーを考えたんです」と語る。また「タクシーに乗っているときの恐怖とか、そういうエピソードを組み合わせてみようと思っていたところに、タクシー運転手の女性から『ぜひ取材にきていただけたら』とファンレターが届いて。ナイスタイミングだったんです」と制作の裏話を明かした。

また自身が70歳になったことに触れ、「『星のレストラン』の立松一平も70歳くらいじゃないですかね、年齢的には。すごい爺さんですよね(笑)」とコメント。立松を演じた井口については「リハーサルのとき、井口さんにはひと言も文句のつけようがなかったですね。あの絵柄にピッタリあった演技をしていただいて、素晴らしかった」と絶賛する。さらに犯人役や社長役など複数のキャラクターを演じた酒巻光宏の演技について、「(演じているときの)表情まですごかった。犯人のときは完全に“犯人”で怖かったし、社長になったときは紳士になってましたから」と称賛した。

弘兼憲史・四季のドラマ オーディオドラマシアター 黄昏流星群」は、今後も冬、春、夏と各季節ごとに公演が行われる予定だ。

※川崎龍の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。

(c)弘兼憲史/小学館 (c)81produce