「Garden of Remembrance」山田尚子監督が制作秘話語る、キャラクター原案資料も公開
山田尚子監督によるオリジナルショートアニメ「Garden of Remembrance」のワールドプレミア上映が、日本時間10月29日深夜にスコットランドのアニメ映画祭「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」にて開催された。本記事では上映後に行われたQ&Aセッションステージの様子をレポートする。
「Garden of Remembrance」は、アネモネの花をテーマに、“きみ”と“ぼく”と“おさななじみ”の3人の感情が揺れ動く様を描いたハートフルショートアニメーション。アニメーション制作はTVアニメ「平家物語」でもタッグを組んだサイエンスSARU、キャラクター原案は水沢悦子、音楽はラブリーサマーちゃんが務める。今年で13回目を迎えた今回の「Scotland Loves Animation(スコットランド・ラブズ・アニメーション)」では、山田監督のほか劇場アニメーション「犬王」の湯浅政明監督が招待された。
満員の会場で熱気高まる中、参加者の大きな拍手と歓声に迎えられイベントはスタート。作品が企画された経緯について聞かれると、山田監督は「最初のコンセプトは、音楽とアニメーションのコラボレーションを考えるところから始まった」と話す。また「音楽とアニメーションは同時に制作していった」と制作過程にも言及。最初は音楽担当のラブリーサマーちゃんと2人で出し合ったキーワードをまとめる形で、山田監督が1つのポエムを作成したそう。ストーリー構造をラブリーサマーちゃんに説明するために山田監督がイメージとなるアニメーションを作成し、そのアニメーションを元にラブリーサマーちゃんが音楽のラフを作成していったと語った。
また作品の色彩が全体的にカラフルに描かれていることについて、ストーリーがシリアスで、見る人によっては「少し悲しい、切ない物語」であると思ったためその分アニメーションは見る人の気持ちが悲しくならないように「まるでお菓子のようなポップで可愛い色を使った」とコメント。参加者から作品イメージとなっているアネモネの花言葉は作品に関係しているのかと聞かれると、「企画の当初はアネモネの花言葉が『愛』だったことにインスピレーションを受けたが、作品が完成した今となっては直接的な意味はなく、『ぼくときみのための花』だと感じている」と話す。また、使われている3色については赤が“きみ”、青が”ぼく”、紫が“おさななじみ”をそれぞれ表していることを明かした。
最後に山田監督は制作秘話を披露。作品は監督とアニメーターたちとの間で「プロとしての作品というよりはアニメを作ることに憧れていたときを思い出して作ろう」ということを目標として制作に取り組んでいたことが語られ、イベントは閉幕した。
さらに山田監督からは登壇を終えてのコメントが到着。加えて水沢による「Garden of Remembrance」のキャラクター原案資料が初公開された。ギターを手にした茶髪の少女 “きみ”と、“ぼく”と称された少年、長髪で眼鏡をかけた少女“おさななじみ”の姿が描かれている。
山田尚子監督コメント
スコットランドでのプレミア上映はとても緊張していたのですが、現地の方々にとてもあたたかく迎えて頂けてホッとしました。
上映中も、みなさん真剣に観てくださっていて、たまに笑いも起こったり、いろんな反応をしていただけてうれしかったです。
素晴らしいアニメーションを作ってくださったアニメスタッフと、最高の音楽を生み出してくれたラブリーサマーちゃんにたくさんの愛をお返ししたいです。
「Garden of Remembrance」
スタッフ
監督・脚本:山田尚子
キャラクター原案:水沢悦子
音楽:ラブリーサマーちゃん
制作:サイエンスSARU
(c)Garden of Remembrance -二つの部屋と花の庭-製作委員会