あのマンガに音楽を添えて 第2回 安西信行と音楽
あのマンガの裏には、どんな音楽があったのか?
マンガ家に自身と作品を支えた楽曲を紹介してもらう本コラム「あのマンガに音楽を添えて」では、「あの作品の執筆中に聴いていた」「やる気を出したいときに聴く」「マンガの制作に影響を与えた」といった問いから、マンガ家と音楽の関係をあぶり出す。
第2回は「烈火の炎」「MÄR」「MIXIM☆11」など多数の人気作を手がけ、現在は少年サンデーS(小学館)にて「麗(うるは)の世界で有栖川」を連載中の安西信行が登場。「人生の一部」と断言するアーティストの名曲や、執筆中“ここぞ”という場面でかける1曲など、安西が選出した楽曲をメッセージとともに紹介する。
ヘッダーイラスト / ボブa.k.aえんちゃん 構成 / 粕谷太智
筋肉少女帯「詩人オウムの世界」
自分は15歳から本格的にマンガを描き始めたのですが、その頃世に生まれたこの曲を当時からずーっと今でもメインで聴き続けています。
人生の一部と言っていい筋肉少女帯。数多く存在する楽曲で「1曲だけ選べ」と言われたらこれを選びます。
Helloween「The Saints」
「MIXIM☆11」というマンガを制作していたとき、あまりにもカッコいいので「この曲MIXIMのイメージソング」と勝手に思ってました(笑)。
何となく宇宙を感じたんですよね。
歌詞見たらあまりにもイメージとかけ離れてて「見なきゃよかった」と思ったけど。
長い長い長いギターソロパート大好きです。
THE MAD CAPSULE MARKETS「Midi Surf」
イントロの瞬間から脳内麻薬ドバドバ大放出されるので、作画中ここぞという時ブッ込みます。
精神状態が攻撃的になるので、悪いキャラ描いてるときいいかも!て思ってます。
悪者描くのが一番楽しい。
「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE オリジナルサウンドトラック」
ゲーム「SEKIRO」のサントラ。「麗の世界で有栖川」作画中に必ず流しています。
雰囲気が素晴らしく、描いてて気付いたら全曲終わってるという無くてはならない酸素のような存在です。
ANGRA「Carry On」
マンガ制作時はとにかく勢いの追い風が欲しいので90%はスピードのある音楽を流します。
早くて激しく、攻撃的で美しい。
終わったらまた一から聴きたくなる曲です。
この曲はそれが全部入ってる。
いいなあ。オレもそういうマンガ描きたい。がんばります。
安西信行(アンザイノブユキ)
8月19日、千葉県生まれ。血液型O型。1990年に「剣2 STRENGER!」で第26回新人コミック大賞佳作を受賞し、1993年に読み切り「D-FUCKER」でデビュー。代表作にTVアニメ化もされた「烈火の炎」「MÄR」をはじめ「MIXIM☆11」などがある。「烈火の炎」は全33巻、「MÄR」は全15巻、「MIXIM☆11」は全12巻で刊行された。現在は、“麗(うるは)”と呼ばれる特異な世界に飛ばされ、体の一部分が男性化してしまった少女・有栖川を主人公に描く「麗の世界で有栖川」を少年サンデーS(小学館)にて連載中。単行本は5巻まで発売されている。